勤怠管理の方法
(タイムカード、Excel、クラウド勤怠管理システムなど)

勤怠管理にはさまざまな方法があります。大企業ではクラウド型の勤怠管理システムを利用することが一般的ですが、中小企業では、出勤簿やタイムカードも多く使われています。また勤怠管理システムにも多くの種類があるため、従業員の人数、職場の環境、予算などを踏まえ、ニーズに合った方法を選ぶことが大切です。
このページでは、勤怠管理を行うさまざまな方法を解説します。とくに主流である勤怠管理システムについては、サービスごとの特徴や、ポイントとなる「打刻方法の種類」についても詳しく解説します。

勤怠管理の方法

会社が従業員の勤務時間を管理するには、従業員の出勤・退勤の時刻を記録し、時間を集計する必要があります。勤怠管理の方法は、時刻を記録する手段によって4つに分けることができます。発生するコストや人事担当者の負担が大きく異なるため、会社に合った方法を選ぶことが大切です。

出勤簿を利用する

紙の出勤簿を作成し、従業員や管理者に出勤・退勤の時刻を記録させる方法です。出勤簿と筆記用具があれば始められるため、コストを最小限に抑えながら、勤務時間を記録したい場合におすすめです。パソコンやインターネット環境がない、飲食店や工場などの職場でも多く利用されています。
懸念としては、記録や集計を手作業で行う必要があるため、人件費がかさんでしまったり、ミスが生じたりすることが挙げられます。また従業員が自分で時刻を記録する場合、不正行為を防ぎづらいというデメリットもあります。

Excelシートを利用する

従業員や管理者がExcelシートに出勤・退勤の時間を記録する方法です。Excelのテンプレートを用いることで、紙の出勤簿よりも、勤務時間の集計を容易に行うことができます。パソコンが利用できる職場であれば、コストをかけずに導入することも可能です。
懸念としては、従業員や管理者が手作業で時刻を記録する点は変わらないため、不正行為を防ぎづらいことが挙げられます

タイムカードを利用する

タイムカードと打刻機を使って、出勤・退勤の時刻を記録する方法です。紙のタイムカードを打刻機に差し込むことで、出勤・退勤の時刻がタイムカードへ記録されます。出勤簿やExcelシートに記入するよりも簡単に、時刻を記録することができます。また月間の合計勤務時間を、自動計算して印字できる打刻機もあります。
懸念としては、給与計算にあたりタイムカードの記録を集計しなければならないことや、タイムカードや打刻機を購入するコストが生じることが挙げられます。

勤怠管理システムを利用する

勤怠管理のために開発されたWebサービスやソフトウェアを使って、従業員の勤務時間を記録する方法です。パソコンやスマートフォンで専用サイトにアクセスしたり、ICカードをカードリーダーにかざしたりと、サービスによりさまざまな打刻方法があります。また給与計算ソフトと連携できたり、労働基準法違反を防ぐアラートを表示できたりと、人事担当者の作業を効率化する機能が多く提供されているのも特徴です。
懸念としては、システムの導入や運用にコストが生じることが挙げられます。ただしクラウド型の勤怠管理システムでは、初期費用がかからないサービスも多くあります。システムによって機能や打刻方法が大きく異なるため、職場の環境にあったサービスを選ぶことが大切です。

勤怠管理システムの種類

勤怠管理システムは、サーバー構成、機能の数など、いろいろな切り口で分類することができます。サービスの特徴が理解できるよう、それぞれのポイントを解説します。

サーバー構成 メリット デメリット
クラウド型
  • コストが抑えられる
  • 簡単に導入できる
  • カスタマイズが難しい
  • セキュリティ管理がサービス会社任せになる
  • インターネット接続がない環境では利用できない
オンプレミス型
  • 自社に合わせたカスタマイズができる
  • 自社でセキュリティを管理できる
  • サービスによっては、インターネット接続がない環境でも利用できる
  • コストが大きい
  • 導入に時間がかかる

クラウド型サービス

クラウド型のサービスでは、サービス会社の保有するサーバーに設置されたコンテンツを、ネットワーク経由で利用します。自社でサーバーを構築する必要がなく、インターネット環境が整っていればどこからでもアクセスできます。コストが抑えられること、簡単な設定のみですぐに利用できることなどから、現在はクラウド型のサービスが主流になっています。

オンプレミス型サービス

オンプレミス型のサービスでは、自社で保有するサーバーにソフトウェアをインストールし、勤怠管理システムを構築します。自社のネットワーク環境でシステムを管理できるため、セキュリティポリシーが厳しい大企業などで利用されています。また、クラウド型のサービスでは十分な機能が得られず、独自のカスタマイズを行う目的で導入される場合もあります。

機能の数による分類

勤怠管理システムは、必要最低限の機能のみを搭載したものから、人材管理に必要な機能を取り揃えたものまでさまざまな種類があります。またERP(統合基幹業務システム)の一部として、勤怠管理の機能が提供されている場合もあります。

分類 機能の数 メリット デメリット
シンプル型 少ない
  • コストが抑えられる
  • 必要な機能だけを利用できる
  • システムに含まれない機能を利用したくなったとき、別のシステムとの連携が必要になる
統合型 多い
  • 従業員の情報を一元的に管理できる
  • コストが大きい
  • 必要のない機能が提供される場合がある

シンプル型

勤怠管理に必要な、打刻、勤怠集計、休暇管理、各種申請フローなどの機能をパッケージにしたサービスです。必要なサービスだけを利用したい場合におすすめです。

統合型

勤怠管理だけでなく、人事担当者が行う労務管理や給与計算などさまざまな業務を、一元的に管理するシステムです。ビッグデータ解析の技術が進歩したことで、人材に関するデータを集約し、能力開発や人員配置に活かすサービスの開発も進んでいます。また人事向けのサービスだけでなく、会社経営に必要な基幹システムを統合したERP(統合基幹業務システム)の一部として、勤怠管理の機能が提供されている場合もあります。

対応業種による分類

勤怠管理システムには、いろいろな業種での利用を想定したものと、特定の業種での利用のみを想定したものがあります。それぞれの特徴をご説明します。

多業種向けサービス

さまざまな業種で利用できるように開発されたサービスです。機能の数はサービスによって異なりますが、一般的なオフィスで広く利用できるように設計されています。

特定業種向けサービス

業界特有のニーズを踏まえて開発されたサービスです。具体的には以下のようなものがあります。

・派遣会社向けサービス
派遣先の会社ごとに就業条件を設定できる。
派遣社員が登録した勤怠情報を、派遣先の担当者が確認できる。

・運送会社向けサービス
GPSを活用して、ドライバーの走行距離を記録できる。
車両の情報を登録し、車両台帳として管理できる。

・飲食店向けサービス
15分ごとなど細かい時間単位でシフトを作成できる。
正社員、アルバイト、パートなどさまざまな雇用形態に対応できる。

・介護業者向けサービス
シフトを作成する際、法令で定められたスタッフの必要人数を満たしているか確認できる。

打刻方法の種類

勤怠管理システムを使う際の打刻方法にも、多くの種類があります。「外回りの従業員が多い」「不正打刻がある」「打刻忘れが多い」など、会社ごとの事情を踏まえて打刻方法を選ぶことが重要です。

打刻方法 やり方 使用する機器
パソコン・タブレット 専用サイトにログインして打刻ボタンをクリックする パソコン・タブレット
スマートフォン 専用サイトにログインして打刻ボタンをクリックする スマートフォン
スマートフォンアプリ 専用アプリを開いて打刻ボタンをタップする スマートフォン
ICカード ICカードをカードリーダーにかざす ICカード、カードリーダー
バーコード バーコードの印刷されたカードをバーコードリーダーにかざす バーコードの印刷されたカード、バーコードリーダー
カメレオンコード カメレオンコードをiPadなどのWebカメラにかざす カメレオンコード、パソコン・タブレット
指紋認証 指を指紋リーダーにタッチする 指紋リーダー
静脈認証 指や手のひらを静脈リーダーにかざす 静脈リーダー
指ハイブリッド認証 指を指ハイブリッドリーダーにかざす 指ハイブリッドリーダー
Bluetooth Bluetooth通信をオンにしてエントランスを通過する パソコン・タブレット、スマートフォン
チャット チャットツールでテキストを投稿する パソコン・タブレット、スマートフォン
通話 指定の番号に電話をかける 固定電話、携帯電話

パソコン・タブレット

従業員がWebブラウザで専用サイトへログインし、自分で時刻を登録する方法です。多くのサービスで追加費用をかけずに利用できます。社外からの不正打刻を防ぐため、IPアドレスを制限し、オフィスの端末のみアクセスを許可することができるサービスもあります。

スマートフォン

従業員が専用のスマートフォンサイトへログインし、自分で時刻を登録する方法です。運送会社のドライバーや外回り営業など、オフィスで打刻ができない従業員でも登録できるのが特徴です。GPSを利用して登録時の位置情報を記録し、従業員の不正を防ぐことができるサービスもあります。

スマートフォンアプリ

従業員が専用のスマートフォンアプリをダウンロードし、自分で時刻を登録する方法です。Webブラウザで専用サイトにログインするよりも、シンプルな操作で打刻できるのが特徴です。GPSによる位置情報の記録も可能です。

ICカード

従業員にICカードを配布し、カードリーダーにタッチさせることで時刻を登録する方法です。カードリーダーはパソコンに接続して使用するものと、インターネット回線に接続して使用するものがあります。
カードは、社員証や入館証として従業員に配布することもできますが、従業員が持っているICカードをそのまま利用することもできます。後者の場合、FeliCa(ソニーが開発したICカード技術)に対応したカードを打刻に用いるのが一般的です。
FeliCa対応のカードには以下のようなものがあります

  • 交通系ICカード(Suica、PASMO、ICOCAなど)
  • 流通系ICカード(WAON、nanacoなど)
  • Edyカード
  • おサイフケータイ

バーコード

従業員にバーコードの入ったカードを配布し、バーコードリーダーにかざすことで時間を登録する方法です。ICカードと比べ、カードの作成コストを抑えられるのが特徴です。

カメレオンコード

従業員がカメレオンコードをカメラにかざすことで時刻を登録する方法です。カメレオンコードは、シフトが開発した4色構成のカラーバーコードです。専用のリーダー端末が必要なく、iPadなどのカメラをそのまま利用できるのが特徴です。

指紋認証

従業員が指紋リーダーに指をタッチすることで時刻を登録する方法です。高い精度で本人確認ができるため、従業員による不正行為の防止に効果的です。

静脈認証

従業員が指や手のひらを静脈リーダーにかざすことで時刻を登録する方法です。体内の静脈パターンを読み取るため、指の状態(怪我やふやけなど)の影響を受けずに本人確認ができるのが特徴です。

指ハイブリッド認証

従業員が指ハイブリッドリーダーに指をかざすことで時刻を登録する方法です。静脈と指紋を同時に読み取るため、指の状態(怪我やふやけなど)や血流の影響を受けずに本人確認ができるのが特徴です。

Bluetooth

従業員がエントランスを通過するとき、従業員が持っているスマートフォンとBluetooth通信を行い、自動的に時刻を登録する方法です。エントランスを通過した時刻をすべて記録し、最も早い時刻を出勤時刻、最も遅い時刻を退勤時刻として記録します。従業員が自分で打刻をする必要がないため、打刻忘れを防ぐことができるのが特徴です。

チャット

従業員がチャットツールを使ってテキストを投稿することで、時刻を登録する方法です。社内のコミュニケーションにチャットを利用している場合、同じツールで打刻することができます。

通話

従業員が指定の電話番号に電話をかけることで、時刻を登録する方法です。従業員がスマートフォンの操作に慣れていない場合も利用できるのが特徴です。

自社の課題に即したサービスの導入を

勤怠管理にはさまざまな方法がありますが、中でも効率的に従業員の勤務時間を記録できるのが勤怠管理システムです。ただし、システムの導入を成功させるには、会社の課題を把握し、自社に合ったサービスを戦略的な視点で選ぶ必要があります。システムや打刻方法の種類を理解したうえで、どのサービスが適しているかを検討しましょう。※こちらのページに掲載している情報は2017年6⽉時点のものです。


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