勤怠管理システム選びで
失敗しないための6つの比較ポイント

一口に「勤怠管理システム」と言っても、その機能やサービス形態は多種多様です。自社のビジネスモデル、職場の環境、予算に応じて、最適なシステムを選ぶことで、勤怠管理業務の効率化が期待できます。このページでは、勤怠管理システムの代表的な機能を紹介するとともに、勤怠管理システムを選ぶ際にチェックしておきたい6つの比較ポイントを解説します。

目次

勤怠管理システムを導入するメリット

自社に合った勤怠管理システムを導入することができれば、正確な勤怠管理が実現するだけでなく、コストの削減や法令順守が可能となり、企業の持続的な成長へとつながります。勤怠管理システム導入の主なメリットとしては、下記の3点が挙げられます。

  • 勤怠情報の正確な管理
  • 人事担当者の作業効率化
  • 労働基準法違反の防止

勤怠管理システムを選ぶ際に最も大切なのは、必要な機能がきちんと備わったサービスを選ぶことです。本章では、3つのメリットと、それを実現する各種機能について紹介します。

関連ページ:勤怠管理とは? 目的や必要性、主な方法を解説

勤怠情報の正確な管理

勤怠管理システムを導入することで、従業員の勤怠情報を正確に把握できるようになります。これにより、残業の上限超過や不正な行為を防ぐことが可能です。具体的な機能と着目すべきポイントは以下の通りです。

打刻 出勤・退勤した時刻を記録する機能です。 社員証での打刻以外にも、サイトやアプリでのログイン、静脈認証など、打刻にはさまざまな方法があります。不正打刻を防止するためにも、「外回りの従業員が多い」「在宅勤務を導入している」「打刻忘れが多い」など、会社の事情に合わせた適切な打刻方法を選びましょう。
*関連ページ:勤怠管理の方法 タイムカードやExcelなど12種類の打刻方法を解説
勤怠集計 打刻した時刻をもとに、出勤日数、勤務時間、残業時間、深夜残業時間などを集計する機能です。
給与計算の正確性を確保するため、集計方法を適切に設定することが重要です。例えば、一定の条件で時刻を修正する機能(8時55分の打刻を9時として集計できる)などがあります。自社の就業規則に合った集計方法を選択すれば、集計エラーの解消や効率化にもつながります。
休暇管理 従業員の休暇を管理する機能です。
自社で設けている休暇制度が、正確に反映されるかを確認しましょう。例えば、休暇として登録できる時間の単位(1日、半日、1時間など)が設定できるか、という観点も1つのチェックポイントです。
申請・承認フロー 従業員が残業や休日出勤などを申請し、管理者が承認する機能です。
会社の就業規則やルールに応じて、項目を設定する必要があります。また、会社が複数の組織に分かれている場合は、組織ごとに管理者や項目を設定する必要があります。カスタマイズすれば当然費用もかかるため、最低限求めるフローと予算はあらかじめ確認しておきましょう。
シフト作成 シフトを作成する機能です。
勤怠管理システムでシフトを作成すると、集計する勤怠情報にそのまま反映できるメリットがあります。週ごとにシフトが固定されている、早番と遅番だけ分かれている、まったくパターンがないなど、シフトの組み方は業種によってさまざまです。会社のルールに即したシフトを作成できるかを確認しておきましょう。

人事担当者の業務効率化

勤怠情報を自動集計する機能のほかにも、給与計算の効率化や、就業規則の遵守をサポートするなど、さまざまな場面で人事担当者の業務効率化に役立つ機能があります。具体的な機能と着目すべきポイントは以下のとおりです。

データのダウンロード システムで管理しているデータをダウンロードできる機能です。
記録された勤怠情報から「出勤時刻」「休憩時間」など必要な情報を選択し、PDF、エクセル、CSVなどのファイルに変換して保存できます。ダウンロードする目的に合わせ、ファイル形式や出力フォーマットを確認すると良いでしょう。
給与計算ソフトとの連携 管理している勤怠情報を給与計算ソフトと連携させる機能です。 勤怠情報をCSVファイルでダウンロードし、給与計算ソフトで取り込む方法と、API※連携により勤怠情報を給与計算ソフトへ直接取り込む方法があります。後者の方法が便利ですが、利用できるサービスの組み合わせが限られるため、運用中の給与計算ソフトで使用できるかを確認する必要があります。
プッシュ通知/アラートメール 特定の条件を満たしたときに、画面上の表示や、メール配信によって自動通知する機能です。
出勤の定時を過ぎても打刻がない場合や、残業時間が上限を超えそうな場合などに、従業員や管理者へ自動で通知できます。
工数管理 従業員の作業時間を管理する機能です。
出勤・退勤時刻だけでなく、稼働時間の内訳を管理できます。個人ごとや組織単位といったセグメントで、労働時間と工数を簡単に把握できるので、リソースの管理や最適化に活用することが可能です。また、プロジェクトごとの収益分析にも役立ちます。

※API:アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)。ソフトウエアやプログラム、webサービスの間をつなぎ、OSやアプリケーションの一部を他のアプリケーションから利用できるようにする

労働基準法違反の防止

勤怠情報の自動集計機能をはじめとする多くの機能が、労働法違反を防止するのに役立ちます。具体的な機能と着目すべきポイントは以下のとおりです。

36協定チェック 従業員の勤務時間が36協定に違反していないかチェックする機能です。
あらかじめ36協定の内容を登録し、プッシュ通知やアラートメールと組み合わせることで、より厳格に36協定違反を防ぐことができます。また、シフト作成時点で36協定に違反していないかをチェックできる機能もあります。
法改正対応 労働基準法など、勤怠管理に影響する法改正基準に対応する機能です。
時間外労働の上限規制や有給休暇5日以上取得義務、「月60時間超割増賃金率引上げ」の中小企業猶予措置廃止などの設定を行うことが可能です。法令違反を避けるため、法改正が行われた際にシステムが自動更新を行うのか、オプション機能なのかを確認しておきましょう。

勤怠管理システム選びで検討すべき6つの比較ポイント

数多くの勤怠管理システムが存在しますが、「何を優先するか」に応じて、推奨されるシステムとその種類が限定されます。まず、システム導入によって解決したい課題を明確にし、必要な機能の優先度を順位付けしておくと、サービスの絞り込みに役立ちます。ここでは、システムを比較する際に、特に軸として検討すべき6つのポイントを解説します。

システム提供形態

勤怠管理システムは、サーバー構成によって「オンプレミス型」と「クラウド型」に分類できます。 オンプレミス型は導入にコストがかかりますが、セキュリティ性が高く、カスタマイズの自由度も高いのが特徴です。一方のクラウド型はカスタマイズ性に欠けるものの、初期導入が容易で、運用の費用と手間が少ない点が特徴です。

関連ページ:【状況別11選】おすすめの勤怠管理システムの特徴・機能

既存システムとの連携状況

給与計算や労務管理など、他の既存システムと連携できるかは重要な観点です。「API連携ができるか」は特に重要なため事前に確認しましょう。
連携することでデータの重複入力や集計の手間が省ける上、計算ミスも防げます。せっかく新たな勤怠管理システムを導入しても、既存システムと整合性が取れないと、業務の効率化どころか現場の混乱やエラーの原因となりかねません。

サポート体制

勤怠管理システムの運用には、サプライヤーからのサポートも欠かせません。システムに問題が生じた際や労働関連法令の改正時など、迅速なサポートが受けられるのかを確認しておくことが重要です。
システムの選定段階から導入に向けた相談ができ、導入後も不明点の解消に迅速に対応してくれるようなサポート体制を求めるのが理想的です。

機能の網羅性

勤務形態に応じた打刻方法が選べるか、不正打刻を防止するためのGPS機能があるかなど、求める勤怠管理の要件を満たす機能が備わっているかを確認することが大切です。当然予算との兼ね合いも考慮しつつ、必ず必要な機能と、あれば良い機能とを明確にしておくと選定がスムーズです。

予算とコスト

提供される機能やセキュリティに対して、コストが妥当であるかを検討することが重要です。初期導入費用だけでなく、維持費やアップデート費用も視野に入れる必要があります。導入費が低価格でも運用コストが高ければ、想定していた費用対効果が得られない可能性もあります。システム導入は長期的な視点で考えることが大切であり、打刻機器の購入費や通信費といった隠れたコストに注意しながら計画的に進められることが求められます。

無料トライアルの有無

システムの使用感を事前に試すための無料トライアル期間の有無も、選定の際の大きなポイントです。システムは人事担当者や管理者だけでなく、実際に毎日使用する従業員にも使いやすくあるべきです。また、実際の運用で発生する予期せぬトラブルや問題にも対応できるかを確認する意味で、無料トライアルは大変有用です。

勤怠管理のトレンドと機能

労働関連法への対応はもちろん、現代の多様化する働き方に応じて、勤怠管理システムも日々進化しています。現状の働き方や就業規則に合った勤怠管理システムを選ぶことはもちろん大切ですが、最新のトレンドや中・長期的な課題、観点に目を向けておくことも重要です。

多様化する働き方

働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業がテレワークを導入しました。最近は、出社とテレワークを掛け合わせたハイブリッドワークに移行した企業も増えています。テレワークの導入により、外勤の移動時間を有意義に活用できるメリットが生まれていますが、一方で通常の出社と異なり、従業員が働く様子を管理者が直接確認することが難しいため、不正打刻や超過労働に気付きにくくなっています。また、仕事とプライベートの境界があいまいになることから、結果として長時間勤務になってしまうケースも発生しています。
テレワークを導入している、もしくは導入予定の場合には、以下の点も考慮すると、最適な勤怠管理システム選びに役立ちます。

  • オフィス外でも打刻できる機能があり、GPSなどの不正打刻防止機能が備わっている
  • フレックスタイムやスライド勤務に対応している
  • テレワーク勤務でもストレスなく利用できるサポート体制が整っている

2023年以降の労務関連の法改正ポイント

労働関連法令が改正されると、勤怠管理システムのアップデートが求められます。特に近年は、働き方改革の推進により、労働時間に関する規定が多く見直されています。法令違反を未然に防ぐためにも、自動アップデート機能を持つ勤怠管理システムはおすすめです。

項目 内容
中小企業の残業割増賃金率引き上げ 2023年4月1日に施行した改正労働基準法において、大企業・中小企業を問わず、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は一律50%となりました。
給与のデジタル払い 近年のキャッシュレス決済の普及に伴い、給与のデジタルでの支払いが認められました。
時間外労働の上限規制 2019年(中小企業は2020年)から一部業務における時間外労働の上限規制が5年間の猶予と特例付きで適用されていましたが、2024年4月からこの猶予期間は終了します。
  • 工作物の建設の事業(建築業)
  • 自動車運転の業務(運送業)
  • 医業に従事する医師(医療業)
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

※参考:時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務|厚生労働省

勤怠管理システムの選定は機能やセキュリティ、サポート体制、コストの観点から比較

勤怠管理システムを選ぶ際は、機能やセキュリティ、サポート体制、コストの観点からサービスを多角的に比較する必要があります。本記事で紹介した比較検討の軸を参考にシステムを評価すれば、効率的にサービスを選別することが可能です。※こちらのページに掲載している情報は2023年8⽉時点のものです。

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  • 勤怠管理システムとは?

    勤怠管理システムの意味だけでなく、企業が勤怠管理を行う目的や必要性についても解説しています。

  • 導入するメリット

    勤怠管理システムの機能と導入によるメリットを解説。あなたの会社にはどんな機能が必要か、チェックしましょう。

  • 勤怠管理の方法

    勤怠管理を行うさまざまな方法とシステムについては、サービスごとの特徴や打刻方法の種類について詳しく解説。

  • よくあるご質問

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