少子高齢化による労働人口の減少やさまざまな採用手法、媒体の登場などを背景に、採用活動は大きく変化しています。「募集すれば採れる」という時代が終わりを告げたことで、企業が採用に手間をかける重要性は増しました。しかし、採用活動に人手を割けない企業も多いでしょう。
このページでは、採用代行サービスを利用する背景とメリットに加え、デメリットとそのコントロール方法についても解説します。
目次
採用代行とは、RPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれ、採用活動の一部、または全てを外部の業者に委託することです。採用支援サービスの一種であり、採用関連業務を自社から手放すことで省力化が図れることが特徴です。
少子高齢化による労働人口の減少やさまざまな採用手法、媒体の登場などを背景に採用環境が大きく変化する中、採用担当者の悩みや負担は増加しがちです。これらの悩みや負荷を軽減し、採用活動を刷新するために、採用代行の利用が有効な場面は多いでしょう。
関連ページ:採用代行とは? どこまで委託できる? 採用業務のフローと合わせて解説
採用代行サービスの利用を検討する際、企業と担当者はさまざまな背景や課題を抱えています。それぞれの背景に対し、採用代行がどのようなメリットをもたらすのか、詳しく解説します。
採用活動を取り巻く環境の変化に伴い、採用そのものの難易度が上がっています。今までのやり方では採用できない、しかしどこから、どのように改善すれば採用できるようになるのか、悩んでいる企業や担当者も少なくないでしょう。
採用代行会社は採用を専門に扱っています。採用活動に関する知見やノウハウを提供してもらうことで、解決策の一つが見つかります。
関連ページ:「募集すれば採れる」時代は終わり? 採用環境の変化をチェック(ダイレクトリクルーティング完全ガイド)|@人事
企業の人材採用には「質」と「量」の両方が必要です。
自社で活躍できる「質」を備えた人材を、必要な「量」(数)採用できなければ、採用活動は成功とは言えません。採用の難易度が上がる中、候補者の質を上げる対策にも、候補者の量を確保する施策にも、非常に手間がかかります。質の向上や量の増加を目指そうとする場合、担当者だけでは手が回らないケースも多いでしょう。
採用代行を利用すれば、人手を補うことができ、計画した施策を実行に移せます。
採用活動が大きく変化する中、採用手段は多様化し、サービスは細分化し、採用期間は長期化・平行化しています。
採用活動で検討すべき手段や把握が必要な知識が細かくなり、さらに業務が長期化することで、ただでさえ手が回らない採用担当者には、情報収集や新しい施策の検討を行う時間が取れないことが多いでしょう。
採用代行を利用することで、適宜人手を補って、長期的に負荷がかかっている状態から脱することができます。採用担当者に余裕ができることで、採用活動の見直しや新しい企画を行う時間が取りやすくなるでしょう。
採用手段が多様化する中で、必要とされる知識量が加速度的に増加しています。加えて、その知識とは往々にして、特定分野の専門知識というわけではなく、その時点、その地域の採用事情に特化した細かい知識です。
採用ツールも細分化しており、試してみたいと思ってもなかなか試す時間や機会を得られないことも多いでしょう。
採用代行会社は採用活動に特化し、多くの採用活動を行っているため、幅広い知識やノウハウを有しています。採用代行を利用することで、採用担当者が自分で情報収集しなくても、そうしたノウハウを提供してもらえます。
採用活動にはさまざまなプロセスがありますが、そのうち自社で手をかけるべきコア業務は、最終面接やオンボーディング、候補者の動機付けなど、一部に限られています。そうしたコア業務に注力するために、それ以外のノンコア業務を採用代行会社に任せてしまうことが可能です。
コア業務に専念することで、動機付けやコミュニケーションの不足が原因で優秀な人材に辞退されてしまう懸念を軽減できます。
採用業務には、一般に採用担当者以外にも現場の責任者や管理職などさまざまな人が関わります。多くの人が関わることによって引き起こされる多様な要因により、採用数、採用成功率が安定しないことがあります。
採用代行会社ではある程度標準化された作業を行うため、品質が安定し、採用成功率の予測が立てやすくなることが利点です。採用数が予測できることで、予算も安定して計画しやすくなります。
採用活動は全体のプロセスが長期にわたるため、一つの採用関連施策の成否が判明するまで数年かかってしまうことも珍しくありません。したがって、採用活動を行う担当者や面接官などの育成にも時間がかかり、成功や失敗が見えにくい傾向にあります。
採用業務の経験が豊富な採用代行会社の手を借りることで、そうした人材が自社で育つまでの時間を待たず、安定した採用を行えます。
採用のための面接には、採用したい人材の配属予定部署の現場担当者なども参加するケースが多くあります。しかし、現場が繁忙期であったり業務の都合がつかなかったりして引き受けてもらいにくいことや、採用担当者が希望する通りの面接が難しいこともあるでしょう。
こうした場合、採用代行会社に依頼することで、多少品質が下がる可能性はありますが、安定した面接を行えます。
採用業務はもともと工程ごとに分解しやすいため、一部だけ外注することが比較的容易です。コア業務以外の部分を全て採用代行会社に依頼することも、一部のみ分離して依頼することもでき、外注する作業量のコントロールが可能です。
採用業務の場合、他社の取り組みについて情報が得にくかったり、情報が得られても自社にうまく当てはめられなかったりすることも多いでしょう。
採用代行会社は、複数の企業の採用活動に関わっています。もちろん秘匿性の高い情報を得ることはできませんが、相談に応じて過去の事例を一般化し、自社に合う手段としてアドバイスしてくれる可能性があります。
採用業務は、ある程度限界が決まっており、非常に高い品質を実現するなどの差別化の難しい業務です。したがって、自社独自の道を模索するよりも、安定した品質で人材を採用できる方が良い場合もあるでしょう。
採用代行会社に依頼して安定した品質の採用活動を行うことが大きな利点となる業務と言えます。
採用業務の場合、広くデータを収集することが困難で、分析するためのデータ量が得られず、自社の採用をどう改善すれば良いのか、方針が立てられないこともあるでしょう。
自社の中では袋小路に陥りがちなこうしたケースでも、豊富なデータを所有している採用代行会社なら、データを踏まえたアドバイスをしてくれる可能性があります。
採用業務では、必ずしもライバルが同業種の企業とは限らず、競合の調査などを行うのは困難なケースが多いでしょう。
採用代行会社は採用に関する他社のデータも所有している場合が多いため、採用担当者が自分で市場や競合の調査をしなくても、情報を提供してもらえます。
採用代行を依頼することには、費用がかかる、社内にノウハウが蓄積されない、認識違いのリスクがある、内定者とのコミュニケーションが不足しやすい、という4つのデメリットがあります。しかし、採用代行では業務を一部だけ外注することが可能であり、依頼の仕方や分量によって、デメリットをコントロールできます。
採用代行サービスを利用すると、当たり前ではありますが費用がかかります。しかし、採用業務は非常に手間のかかる作業が多いため、社内で行う場合の人件費と比較し、費用対効果が高い範囲の業務を代行してもらうことで、総合的にはコストカットにつなげることもできます。
採用業務を外注してしまうことで、ノウハウが蓄積されないという懸念が存在します。しかし、現在の採用市場は変化が速く、一方で採用担当者の育成には時間がかかります。そのため、採用市場の現状に合った外部の知識を利用するという意味で、採用代行は役に立つでしょう。また、まずは採用代行に頼り、情報を提供してもらうことで、専門家のノウハウを自社内に吸収し、将来的に自社の採用体制を構築するために役立てるという考え方も可能です。
実際の採用業務を採用代行会社が行うため、採用代行会社とのコミュニケーションや認識合わせにエラーが発生した場合、適切な採用が行われないリスクがあります。特に、自社内にノウハウが蓄積されていない場合に、採用代行会社への指示の過不足などが起こりやすくなります。採用代行会社に依頼したからといってそのまま丸投げにせず、コミュニケーションや認識のすり合わせを定期的に行うことで、リスクを回避できるでしょう。
採用代行会社によっては内定者フォローなどの工程まで代行してくれるため、依頼する業務の範囲によっては内定者と社内の人員のコミュニケーション機会が十分に得られず、関係性を構築しにくくなる恐れがあります。この場合は、自社とのコミュニケーション機会が十分確保できるように業務を委託するなど、外注の範囲をコントロールする必要があります。
採用担当者が人手不足に陥りがちな現在、採用代行を利用することにはさまざまなメリットがあります。自社の課題や状況を確認し、外注が可能な業務と必要な範囲を検討し、適切にアウトソーシングすると良いでしょう。本ページの内容を参考に、メリットを生かし、デメリットをコントロールして採用代行サービスを活用し、安定した採用活動を効率的に行ってください。
※こちらのページに掲載している情報は2023年10⽉時点のものです。
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