ビジネスを「劇的」に変える人材教育の秘訣

そろそろ考えたい研修の内製化。講師に必要なスキルとは?

研修の内製化は、リーマンショック以降急速に取り沙汰されるようになり、現在もその流れは変わりません。既に社内講師の擁立が済んだ会社もあれば、これから内製化を進めていきたいという会社もあるでしょう。

今回は人材育成の秘訣という観点から、これから育て上げたい社内講師のスキルとその研修スタイルについて話したいと思います。

本末転倒になってしまっている内製化のケース

外部に受注する研修はコストがかかります。世の中にはプロ研修講師があふれているので、なかには安価に引き受けてくれる講師もいますが、研修会社に依頼すると相応の金額がかかります。ですから、自社内で講師を擁立して「研修を独自に提供できるようになれば外注コストが減る」ということで内製化に踏み切るのですが、形だけ講師を擁立しても、研修の質が伴わなければ本末転倒です。

社員の育成のために研修を行うのに、その研修を行う講師のための育成が不十分だということがよくあるのです。プロとなるための講師トレーニングを受けているわけではないのです。つまりはアマチュアということです。

いってみれば、野球経験のない人が突然野球部のコーチをやりだすようなもの。それで野球部が強くなるわけはありません。研修の内製化において最も重要なことは、社内講師をプロフェッショナルにすることです。

研修は既成事実をつくるためにあるのではない

同じ研修内容であっても、教える講師のスキルによって、受講者の満足度も学習の定着率も全く異なります。「Aという内容を教えた」という既成事実をつくるだけで満足していてはいけません。Aという内容を、受講者が理解し、モチベーションを高め、仕事の中で応用し、血となり肉となってこそ研修をやった意味が出てくるのです。

「教えればいい」という必要最低限のレベルを満たそうとするのではなく、意味ある研修にするには、社内講師といえどプロの自覚を持たなければいけませんし、我流で行うのではなく、しっかりと研修講師のイロハを学び、鍛練を積んでスキルを向上させていくことが大事です。

「プロフェッショナル」と呼ばれる講師に必要なスキルとは?

講師には、大きく分けて「研修の設計」と「研修の実施」という二つの仕事があります。つまり、準備と本番です。これにアセスメントやフォローアップまで入れて、三つとすることもできます。

「研修の設計」の際には、タイムテーブルやテキスト、ワークシート、プレゼンテーション資料などを作成しなければいけません。教える内容を深く理解しておくことが必要ですし、それを時間内にどう噛み砕いて説明するのか、どう効果的に指導していくのか創意工夫が必要です。

研修の実施の際には、言葉での説明のわかりやすさや、退屈させない抑揚ある喋り、自信にあふれる目線やジェスチャーや表情の技術、受講者の理解度を把握する観察力や受講者の疑問や課題を解決し、前向きに鼓舞してあげる力などが必要です。これらは非常に複雑で奥が深く、一朝一夕に身につくものではありません。

コスト削減という意識が内製化のプロセスに強く働くと、どうしても講師力の向上がおろそかになってしまいますが、時間をかけてプロフェッショナルなスキルを身につけてもらわないと、研修の成果が低調になってしまいます。

アクティブラーニングのできる講師に育てる

特に現在は、知識だけを教える「一方通行の講義型研修」にはほとんど価値がありません。一週間もすれば忘れ去ってしまうからです。これも研修をやったという既成事実の満足止まりです。

知識だけなら、情報はありふれています。E-ラーニングで学ぶこともできます。といっても、自ら学ぶ意欲が相当ないと、自分で調べて学ぼうとしないので、自学自習を期待しても無駄です。

生身の身体を持つ研修講師が、ライブで教える以上、知識以上のものを持ち帰らせないといけません。特に、双方向のやりとりができる講師が求められます。一方通行的に教えるのではなく、インタラクティブに受講者と関わりながら、豊富なワークを通して受講者に体験を通して学ばせる力です。

つまり、アクティブラーニング型の研修が出来る講師です。プロ講師のなかでも出来る人が少ないのですが、社内研修講師の擁立であっても、こうしたファシリテーション能力の高い講師を育成していきたいものです。

アクティブラーニングをファシリテートできる講師を目指して

こうした質の高い実りある研修を提供できるようになるには、まず綿密な研修設計が出来なければいけません。その際に重要なのは、理論とワークのバランス配分です。本当に理解して身につけてほしい内容を、わかりやすく説明した上で、ワークで体験してもらいます。このワークも、ペアワークやグループワークなど、どんな形を選べばいいのか、工夫が必要です。

受講者が能動的に取り組み、「だから~~なんだ」「やっぱり~~は必要だ」と、自分から実感できるように促します。受講者主体のワークでは、どんな意見が出てくるかわからないし、進度も人やグループによって異なります。講義型よりも予測不能なことが多くなるだけに、場を円滑にファシリテートしていく高度な技術を身につけていかなければいけません。そのために、観察力や表現力も磨いていきましょう。

まとめ

研修の内製化において本当に必要なのは講師力。プロ級の講師を育成するつもりで、社内講師の育成に取り組まなければいけません。その際、独学では困難なので「講師塾に通わせる」「研修会社と協力しながら育成計画を作る」「プロ講師の研修を見せ、スキルを磨かせる」など、社内講師の育成にコストをかけましょう。ここで妥協してしまうと、質の低い研修が生まれることになり、期待する成果が出ずに本末転倒となってしまいます。

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