企業が学生に「経営情報」を提供すべき理由

採用のリスクを軽減する方法は、投資家意識を持つこと

通常の企業は、採用活動(特に新卒採用)は投資活動だと認識しています。大きな予算をかけて採用し、入社後も時間とコストを投下して一人前のビジネスマンに育て、売上と利益という果実に貢献してくれるまで投資活動を継続しています。

もちろん、高評価だったにも関わらず、採用した人材が入社後に想定したパフォーマンスを発揮してくれなかったり、育成手法に問題があってなかなか思うように活躍してくれないというケースもあります。こういった現象が起こりうるということ自体が企業にとっての大きなリスクであり、結果的に投資の失敗に繋がるのです。

企業はそのあたりをシッカリと認識しているからこそ、採用のリスクを極力軽減できるよう設計し、活動します。現在では心理学や統計学を駆使する事例や、テクノロジーを活用した採用活動も目立つようになってきましたが、それでも採用のリスク(人材投資の失敗)を「0」にするのは至難の業と言えます。しかしそれが分かっていても企業が採用という投資活動を続けるのは、「自社の成長」のために他なりません。

世の中に「成長」を望まない企業もなくはないでしょうが、多くの企業は「自社の成長」を標榜しているので、今後も採用活動という投資活動がなくなることはありません。そのため私は、採用担当者は、自社の資産を使って「採用という投資活動」を行っている投資家であるという認識を常に持つべきだと考えます。その上でリスクを最小限に抑える戦略や施策を検討する必要があるではないでしょうか。

就活もリスクを伴う投資活動

面接で「成長したいです」「成長できる環境で働きたいです」と答える学生が非常に多いということは、読者の皆さんもお感じなのではないでしょうか?個人的には、学生の現状を基準に考えると、成長できない会社や仕事などほとんど存在しないと思うのですが、いつの時代にも「成長」をキーワードに自己PRや、志望動機を語る学生が相当数存在しているようです。

しかし残念ながら、多くの学生たちが本気で「成長」を求めているのかは甚だ疑問に感じてしまうことがあります。また、「成長できる環境を探す」という目的で企業や仕事を研究している学生は、極めて少ないのではないでしょうか。

私は学生たちが、企業で働くことで「成長」という果実を手に入れるためには、それなりのリスクがあると考えています。それは自分が大切にしたい時間や必要としているモノを犠牲にするとか、自分の好みではない或いはあまり得意ではないこともやらなければならないといった類のもので、これは彼らにとっては大きなリスクと言えます。しかしこれまでそういった経験が少ない学生たちは、それをリスクと認識していないでしょうし、もし認識したとしても、出来ればそうしたリスクについては考えないでおきたい、というのがホンネだと感じています。

そこで社会に出て働き「成長」という果実を得るためには、リスクテイクが前提にあるということを知らしめるためにも、学生に「就職活動は投資活動」であると認識させる必要があります。つまり、自分は投資家で、「成長」というリターンを得るためには、リスクを想定して企業や仕事を選択する必要があるのだという認識を持つ必要があるということです。学生には、まさに個人投資家の視点を持って就職活動に臨んでもらいたいのです。

経営情報が採用就活のリスクを軽減し、リターンを最大化する

ここまで「採用活動は投資活動である」、「就職活動もまた投資活動である」と述べてきました。つまり企業(採用担当者)も学生(就活生)も投資家であること。そして投資にはリスクがつきもので、そのリスクを軽減するための戦略や施策が必要だということです。

そもそも「採用活動」「就職活動」とは、企業と学生の合意形成を目的とした活動です。では、両者の合意に必要な要素とは何か?それは「お互いに合意形成後に期待するリターン(果実)がどの程度得られるかを知ること」ではないでしょうか。つまり企業は資産を投資して、自社の更なる「成長」を促進する人材を発掘して採用する、一方学生は自分の時間やキャリアを投資して、自分の更なる「成長」に繋がる企業を見つけ出して入社するという考え方です。

ただこの考え方に基づき学生が就活をする上で、問題になるのが企業から提供される情報の質です。これまで一般的な採用情報の問題点を指摘してきましたが、リスクを背負って就活する学生に対して、企業はもっと真摯に情報を提供していく必要があるのではないでしょうか

なぜならば、企業も学生も「将来に投資する」という同等の立場に立っていますが、学生の方が、企業ほど知識や経験がなく、且つ組織ではないという点で、明確にリスクが大きいからです。

企業は学生に対して今まで以上に自社の定性的な採用情報と同等に、業績や財務、将来に向けた計画といった経営情報を開示することが求められてきています。もちろん学生も鎧兜に身を包むのではなく、よりリアルに自分自身を企業に伝えることが必要です。こういった情報交換を通して、お互いが「成長」というリターン(果実)を得られるようになる採用と就職が、今、求められているのではないでしょうか。

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