新卒採用に経営情報・IR情報を!

「なんとなく良さそうな会社」では、優秀な学生は納得しない

企業の公開情報が、学生の意思決定に大きく影響する

新卒採用支援に従事するようになってから、早いもので20年もの月日が経過し、その間多くの企業と学生のコミュニケーションの現場を見てきました。「選考プロセスにおける意思決定」、「内定前後における意志決定」、企業も学生もそれぞれの判断基準を自らに問いかけながら最終的な判断を下し、合意形成を目指していきます。そしてこの判断の際に必要となるのが、それぞれが公開している「情報」です。

企業側は「学生の素養や特性情報」、学生側は「企業(採用)情報」を吟味します。これらの情報の重要性は、誰もが認めるところだと思います。では企業と学生はどのように情報を収集し、どのようなメカニズムで意思決定をしているのでしょうか?まずは学生の目線で考えてみたいと思います。

学生が最終的に「会社の雰囲気」で判断する3つの理由

多くの学生は、多様化が進むメディアや情報リソースを駆使し、漠然と自分にとっての「良い会社」を探しています。最近はケタ外れの情報量に戸惑う学生も少なくありませんが、「安定した経営をしている」あるいは「将来性が期待できる」といった視点で企業を探し始める学生が少なくないようです。しかし、就活を終える頃には「会社の雰囲気や社風」「一緒に働きたいと思える社員がいるか」といった基準で就職先を決めた学生が多いというデータがあります。

この現象の背景には大きく3つの要因があると考えます。

まず1つ目は、前述の通り、採用情報の量が増え過ぎ、学生が1社1社を丁寧に研究・分析する余裕がないこと。そして2つ目は、そもそも学生に企業(採用)情報から安定性や将来性を予測するためのスキルが備わっていないということ。最後に3つ目の要因は、採用情報を提供する側の企業が、学生に自社の安定性や将来性の根拠となる情報を提供していないことです。
つまり、学生が最終的に「会社の雰囲気」で判断する現状には、学生だけでなく、企業側にも原因があるということです。

離職者の多くが「企業研究不足」を後悔している

多くの採用情報は、自社の理念やビジョン、社風や社員の人柄、事業の社会性の高さといった主観的且つ定性的な情報が中心になっています。もちろん採用活動において、これらの情報が非常に重要であることは事実です。しかし、そういったイメージ主体の情報のみが発信されていた場合、学生は論理的な企業比較ができず、イメージやフィーリング、あるいは知名度や企業規模の大小などの理由で企業を選択してしまいがちです。私は、この現状に危機感を募らせています。事実、2017年4月入社で、既に離職してしまった人の多くが、入社後後悔した(離職の)理由に、「もっとしっかりと企業研究をすればよかった」と答えている調査結果もあります。

そもそも人間は、「感情」と「理論」というふたつの側面で意思決定をする生き物です。
例えば、PCやスマホを購入する際、デザインやカラーといった側面と、機能や価格という側面の2つの情報で総合的に判断して購入の意思決定を行います。また、自分が優先するのが、機能やスペックであれば、好みのデザインでなくてもそこは多少我慢して購入するというケースもあることでしょう。仮に何も考えずに、なんとなく良さそうだからとか、単に見た目が好みだったからという理由だけで購入してしまい、後々後悔してしまうという経験は誰しもが一度はあるのではないでしょうか。

就活における企業の選択も同様に、本来は2つの側面で意思決定すべきなのですが、前述のような理由から「感情」の側面に依存する傾向にあり、学生たちは結果的に「なんとなく良さそうな会社」を選択しているのが現状です。

「なんとなく」から脱却し、客観的な情報による判断を増やす

面接時に受け答えがしっかりしている、明るい、堂々と話せるといった学生であっても、過去の体験等を掘り起こしていくと、その行動の同期、結果の根拠等を説明できない学生、つまり中身の伴わない「なんとなく優秀そうな学生」も一定数存在しています。そういった「なんとなく優秀そうな学生」が入社後に想像通りのパフォーマンスを上げないというお声をよく耳にすることもあります。こうしたミスマッチを避けるためにも、企業はより客観的な情報を重視する必要があるのです。

企業が学生に対して情報発信をする際も、客観的情報は重要です。学生に主観や定性的な情報だけで自社を伝えようとするコミュニケーションでは、誰もが知るブランド企業でない限り「なんとなく良さそうな会社」という印象は与えられても、納得感や腹落ち感には至らないのです。

学生を投資家に見立て、明確な数字を発信することが採用の成功につながる

そこで重要になってくるのが、学生を投資家に見立てるという考え方です。上場企業は、投資家に対して自社の過去・現在・未来を明確な数字や事実を使って定期的に説明をしています。学生には少しハードルの高い情報も多く含まれていますが、少なくとも最低限の経営情報は学生でも十分理解できますし、そういった情報を理解しようとする学生の方が、相対的にみてビジネスポテンシャルも高いのではないでしょうか。

「なんとなく良さそうな会社」から脱却し、「成長している根拠が明確な会社」「数字的にも経営が安定していることが分かる会社」「経営課題を的確に捉え、対策も取れている会社」であることを示すことで、「本当に優秀な学生」を呼び込むことができます。学生を投資家としてとらえ、経営情報による積極的なコミュニケーションを行うことが、結果的に学生・企業双方が納得する採用へとつながるのです。

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