「学ぶ。みがく。変わる。」かんき出版の“誌面”研修

第6回「チーム生産性を上げる4倍速仕事術」の心得

「みなさんは日々の仕事のスピードが遅いと感じたことはないでしょうか。「人に中断され、仕事がはかどらない」「周りが思うように動いてくれず、仕事が滞る」など、仕事の進め方においてこれらの問題に直面しているのが原因です。しかし、「選択力」「処理力」「突破力」「持久力」を強化し、“ボトルネック(仕事の流れを遅くしてしまう要因)”を解消することによって、「4倍速」で仕事を片付けることができるのです。第6回は、『チーム生産性向上リーダーシップ研修』などのプログラムを提供する清水久三子氏の近著『1時間の仕事を15分で終わらせる』より、ビジネスパーソンに役立つ「4倍速の仕事術」の一部をご紹介します。

4つの要因を解消して仕事を4倍速で片付ける

元IBMのコンサルタントであり、数々のビジネス書のベストセラーを生み出している清水久三子氏。独立後は会社員時代と比べて4分の1の稼働時間でありながら収入は2〜3倍を実現していると言います。そんな清水氏が実践する時短仕事術をまとめたのが『1時間の仕事を15分で終わらせる』(写真)です。
本書で提案するのは、4つの“ボトルネック”を解消することによって、「4倍速」で仕事を片付けることができるという考え方です。

ここでいう“ボトルネック”とは、仕事において、全体の効率を落として流れを遅くしてしまう要因のこと。この仕事の効率化を妨げているボトルネックが、自分の仕事のどこに隠れているのかを突きとめ、解消するためには、「IPO」の考え方が有用です。

これは「インプット(入力)」「プロセス(処理)」「アウトプット(出力)」の頭文字で、ほとんどの仕事は、どんなに複雑に思えてもこの3つの流れで進んでいます。この3つに「コンディション」を加えた4つの要素が、「4倍速仕事術」の軸となります。
まず、この4つの要因の中で、自分の働き方のどこが弱い点であるかを分析して把握。そして次の4つの力によって、そのボトルネックを解消していきます。

  • 不要なモノやタスクを捨てて残った重要なものにだけエネルギーを集中させる「選択力」
  • 時間・習慣・思考を整えてやるべきことをより速く効果的に処理する「処理力」
  • 相手の期待に応えて最短でYESを引き出す「突破力」
  • 高い生産性を発揮する土台となるメンタルや体力を維持する「持久力」

仕事を終盤でストップさせる大きな要因は「利害関係」

本書では、4つの力について、「仕事のムダを見極め、捨てるもの、アウトソーシングをするものを決める」「箱から出す時間/しまう時間を短縮させる」「効率の良いスケジュールを作成する」「さまざまなフレームワークを使いこなす」など多くのスキルを紹介していますが、今回は、最終的な「アウトプット」の段階で求められる「突破力」について解説しましょう。「4倍速仕事術」のスキルを駆使し、インプット、プロセスと順調に進んできたとしても、それを周囲の人々が受け入れて、動いてもらわなければ仕事は完了しません。

プロジェクトを進めるにあたり、周りが思うように動いてくれないことはよくあります。周囲に協力・依頼する実行段階になったときに起こってしまう思わぬ抵抗。アウトプット段階でのボトルネックの大半はここだといっても過言ではありません。実行段階を最速で進めるには、「利害関係者」を把握して、どう伝えるかを工夫することが必要です。

この、利益や被害を受ける可能性のある利害関係者を「見える化」したツールが「利害関係者マップ」(下記図)です。自分がやりたいことに対して、縦軸に関係者が持つ「影響力」、横軸には賛成・中立・反対の「姿勢」をとり、関係者をこの二軸でマッピングします。

影響力は、必ずしも役職や上下関係だけでは決まりません。一般社員なのに業務に精通して大きな影響力を持っていたり、上の人に通じていたりする人もいます。また、時間とともに人の姿勢は変わることもあるため、常にマッピングは変動すると考えましょう。

マッピングした位置ごとの適した対応方法

「利害関係者マップ」は、エリアごとに適した対応方針があります。番号順に解説していきます。

①影響力も大きく賛成してくれるもっとも強い味方の人には、こまめな報告や「この人のおかげで仕事ができている」ことを周囲にアピールして、満足している状態を維持してもらいましょう。

②影響力が大きいものの、中立的姿勢をとる関係者は、反対派に回ると非常に厄介です。「あなたにとって良いことがありますよ」とアピールするなど積極的に巻き込みましょう。

③影響力が大きい反対派は、ケアが必要です。②のように巻き込むのが望ましいのですが、うまくいかないこともよくあります。その場合には、その人の影響力を下げます。具体的には、より影響力が大きい人を連れてきて、相対的にその人の影響力を弱めてしまいます。影響力はあくまでも相対関係で決まるのです。

④影響力は中程度ながら賛成してくれる人は、ありがたい存在になります。自分の考えや仕事の成果などをその人を通じて周囲に伝えてもらうなど、スポークスマンとして活躍してもらうと良いでしょう。自分が直接言っても動いてくれそうもない人には、彼らを通じてコミュニケーションした方が、不要な衝突が避けられます。

⑤、⑦、⑧に入った関係者には積極的にコミュニケーションする必要はありませんが、「そんな話、聞いてない!」など何かのきっかけで反対派に回られないように、折に触れて「今、こんなことをしています。問題があったら教えてください」という情報提供をしておくと良いでしょう。

⑥、⑨の影響力は大きくはないものの反対派である人は、強い味方をつけて反対ののろしを上げてくるかもしれないので要注意。常に動向を観察しつつ、別の人に本音を探ってもらう役をお願いしてみましょう。

すべて自分で対応せず人に任せることも大切

さらに、各利害関係者の興味・関心、建前と本音、その人なりのこだわりなども考慮することが必要です。鋭い観察力でそれらを把握しましょう。

一見、面倒に思われる利害関係者マップですが、最速にコトを進めたいのであれば、最初が肝心です。こじれてからの修復は時間がかかる割に、元の水準には戻りにくいからです。意外な鉄則は「すべて自分で対応しない」こと。大きな会議でトップからフォーマルに伝えられたことに従う人もいれば、ひざを詰めて個人的にお願いされることで、「あなたがそこまで言うならしかたない」と自己重要感を満たされて動く人もいます。誰から、どんな場で、どんな風に伝えるのが一番速いのかを考えましょう。

以上、ほんの一部ですが『1時間の仕事を15分で終わらせる』の内容をご紹介しました。
みなさんが、仕事上のボトルネックを解消して、ハイスピードかつハイクオリティの仕事の成果を手に入れ、ひいてはプライベートも充実されることを願っています。

研修では座学だけでなく仮想プロジェクトを体験

これら本書の内容も入れ込んだ『チーム生産性向上リーダーシップ研修』プログラムでは、座学だけでなく仮想プロジェクトを通じて、必要なスキルを実践しながら習得していきます。このプログラムを受講された方からは、「どこにボトルネックがあるのか分かり、意識して仕事を進めることができるようになった」「利害関係者マップを活用し、根回しをしている」といった反響をいただいています。

このほか、清水氏は、「経営層向けプレゼンス向上特別プログラム」「女性管理職向けビジネス“突破力”向上プログラム」「ダイバーシティマネジメントプログラム」ほか、クライアントの要望に応じたプログラムを提供しています。
かんき出版では、どの講師の研修も、各企業のご要望に沿ってカスタマイズし提案できますので、お気軽にご相談ください。

【企画・監修:@人事編集部広告制作部】

※この記事はフリーマガジン「@人事第8号」(2017/6/30発行)の転載記事になります。

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