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2025年の新入社員研修から見えてきた傾向と今後の対策

人材育成の現場にとって、4月の新入社員研修は毎年の重要イベントの一つです。私自身、2025年4月7日から25日までの期間に、延べ約2,000名の新入社員に対して講師を務めました。その経験を踏まえ、今年の新入社員の傾向と今後の人材育成に役立つアドバイスをお伝えします。
目次
1.今年の新入社員の傾向と特徴のまとめ
例年以上に新入社員の傾向がはっきりしていて、コロナ後の新たな新入社員研修のニーズも明確に感じられました。
■マインド
集中力が高く、この数年には見られなかったほどの前向きな姿勢と心の余裕があります。一方、学生気分が完全には抜けていない印象を受ける場面も散見されました。
また、ここ数年の新入社員と比較すると、リスクやミスを恐れない一方、完成度が高くなくても満足してしまう傾向があります。
■研修内容の習得度
積極的に発言し、コミュニケーションにはとても前向きです。ただし、成果は普通です。特に、ロジカルシンキングは個人差が目立ち、文章作成や説明の構成力に課題があるケースも目立ちました。
■今後のフォロー
コロナ禍を経てニーズが変化したため。来年以降は新入社員研修のリニューアルが必要です。
例えば、今の新入社員は単語ベースのコミュニケーションに慣れているため、ロジカルな文章作成が苦手です。また、電話に対する抵抗感があり、「電話に出ないといけない。そのとき、話しているスマホではメモはとれないから、ペンと紙を用意してね」というような基礎から教える必要があります。ビジネスメールの基本的な書き方ももちろん分かりませんが、教える際には生成AIツールの上手な使い方もあわせて伝えないと職場での行動変容にはつながりません
2.実践例と工夫ポイントを伝えるための「2025年の新入社員研修レポート」
(1)受講者数に対するサブ講師の配置
今年は44~375名規模の研修を担当してした。右の表のように100名未満、100名台、200名以上の割合はだいたい同じです。
例ここで大切なポイントは、大人数に対して講師による一方的な講義にしないことです。特に演習の多いプログラムでは、受講者数に応じた講師のフォローが必要になるため、受講者30名に対してサブ講師1名を入れました。数百名規模の研修の場合は全体の解説をするリード講師と、演習をフォローする複数名のサブ講師のチームで行います。これにより、多くの新入社員のアウトプットを見ることができ、短時間で新入社員の傾向をつかむことができます。
(2)受講者数に対する実施形態~ハイブリッド研修という選択も
2020年はほとんどの研修はリモートに切り替わりましたが、2023年から少しずつ対面研修に戻ってきています。ただし、数百名以上の新入社員がいる企業では、現在でもリモート研修やハイブリッド研修を実施しているケースも多くあります【表1】。
代表的なハイブリッド研修は、数十名のクラスごとに部屋分けして講師の解説を配信し、各部屋では受講者は演習を対面で行ってサブ講師がサポートするスタイルです【表2】。
このようなセッティングは若干複雑ですが、大人数に対して安定した高い質の研修を提供するのに効果的です。例えば、今年実施したハイブリッド研修の各クラスの受講者の修了アンケート結果を見ると総合評価は高く、クラスごとのばらつきはほとんど見られません【表3】(縦の研修に対する総合評価は5点満点)。
参考:「何もないよりはまだ良いハイブリッド研修」の効果を高めるための工夫ポイント
(3)実施した研修内容の3大テーマ
1.プロフェッショナルマインド:主体性向上、社会人マインドの醸成、配属後の対策
2.ロジカルシンキング:論理思考の基本(ピラミッド構造、ロジックツリー、MECEなど)
3.コミュニケーション:ロジカルコミュニケーション、報連相、傾聴、プレゼンテーション
(4)受講態度から見えた傾向
接した新入社員全体に対して言えることは、集中力が高くとても前向きでした。200名以上の研修でも眠そうにしていた受講者は一人もいませんでした。
特に印象的だったのは、コミュニケーションに対して抵抗がなく、非常に積極的だったことです。ちょっと変わった演習(例:職場での上司とのやりとりの実演)でも、恥ずかしがらずに素直に一生懸命取り組んでいました。コロナ直後の新入社員によく見られた自信がなさそうな態度はほとんど見られず、心の余裕があるように見えます。そのためか、導入研修中に学生気分が抜けていない人もいました。
(5)習得度の分析
きわめて前向きな姿勢が特徴的だったのに比べると、研修内容の習得度は普通より少し良いくらいでした。
3.新入社員の今後のフォローは何が求められそうか?
導入研修期間中、新入社員はとても楽しそうでした。良い仲間もできて研修も楽しみ、けっこう快適にしていた印象があります。とても良いことですが、配属された後にギャップを強く感じる新入社員もいるかと思います。
そのフォローとして必要になるのは、職場の厳しさに対応できるように促し、かつ前向きな姿勢と高いモチベーションを維持させることです。そのため、配属から数カ月後のヒアリングと秋のフォロー研修が特に大切になってきます。
4.来年度の新入社員研修に向けてのアドバイス
新入社員研修の内容を見直すべき時期がいよいよ来ているな、と感じています。コロナ前から言われていた「主体性がない」「正解をすぐ求める」「リスクを恐れる」という点が変化してきている気がします。
また、従来実施していた定番の新入社員研修と現在のビジネスシーンで求められる能力が少々合っていないところが見受けられます。例えば、「電話応対」というテーマはもちろん大切ですが、固定電話の出方と転送などが現在の業務にない場合は省略したほうが良いです。逆に、過去になかった新しいニーズがあり、それを反映することが何より重要です。
例えば、
- 電話でほとんど話さない新入社員向け、電話に出る重要性とふさわしい話し方
- 議事録を作成する際に効果的なAIツールの活用方法
- ハイブリッドワークでの、チームメンバーとの良いコミュニケーションのとり方
- ハラスメントを恐れて遠慮する上司との人間関係構築
5.クロージング
新入社員研修おつかれさまです。今年も講師として多くの新入社員と接することができましたが、感じたことを再度まとめると、
■態度は非常に良い
■能力と習得度は普通または普通よりちょっと良い
■来年度からは長年やっていた新入社員研修に少々手を入れたほうが良い
です。
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