特定技能外国人雇用のキホン【後編】
特定技能外国人採用の流れとよくある課題点
BEENOS HR Link株式会社代表取締役社長の岡﨑陽介が特定技能制度の成り立ちから課題点、これからの展望などを実際の例を交えながら紹介する本連載。前回は基本的な特定技能制度の成り立ちと現状について解説しました。後編は実際の制度の運用面にフォーカスして、事前準備や関わる団体、特に多くの企業が特定技能外国人雇用の業務を委託する登録支援機関などについて解説します。
目次
特定技能外国人の採用をするにあたっての事前準備とコスト(必要な届け出と書類や環境整備)
特定技能1号において外国人材を雇用する前に必要な手続きは、特定技能雇用契約、支援計画策定、支援を委託する場合は支援委託契約、事前ガイダンス、在留資格関係の申請などとなっています。
特定技能制度で大きく関わる団体・機関は外国人材を送り出す母国の機関で、候補者の研修や手続き支援を行う「送り出し機関」、日本で特定技能外国人を雇用する「受け入れ企業(所属機関)」、受け入れ企業から委託を受けて外国人の生活・労働支援を専門に行う「登録支援機関」の3つが主となっています。
受け入れ企業は特定技能外国人に入国後の就労や生活全般について支援を行う義務があり、支援計画の作成が必要なほか、労働条件、活動内容、入国手続きの方法、支援の無償提供などについて事前ガイダンスの実施が必要です。雇用条件などについては特定技能雇用契約を結ぶ受け入れ企業は特定技能外国人が理解できる言語で説明・契約を行う必要があります。
特定技能外国人の受け入れが決定した後は、地方出入国在留管理局に在留資格の申請を行い、雇用する特定技能外国人に関する技能試験や日本語試験の合格証明書と受け入れ企業の労務・税務関係書類や支援計画書を提出します。
申請の許可後は交付された在留資格認定証明書を受け入れ企業から特定技能外国人へ送付します。海外在住の場合は証明書を受け取った特定技能外国人が来日し、就労が開始します。
参考:特定技能外国人を受け入れるのに想定される採用コストについて|Linkup Journal
受け入れと就労にあたっての留意点
前項目で解説したように特定技能1号の雇用にあたっては多岐にわたる書類作成や申請などの事前準備が必要とされていますが、制度の複雑さから「企業が最初に何をすべきか」という段階からBEENOS HR Linkにご相談をいただくことが多いです。
日本人の雇用の難易度が上がっている状況下で新たな活路として外国人材を雇用したいと考えたときに、在留資格が多数あることからどの制度を利用すべきかわからないといった声も聞かれます。該当する制度が特定技能制度であるということにたどり着いたとしても、制度の複雑さから導入を足踏みしている企業も少なくありません。
そして導入を決定した後も煩雑な書類作成や申請・届出が必要であること、就労や生活面などにおいての支援が義務付けられていることから、日本人を雇い入れるよりも労務管理の人的リソースやコストが継続的に必要となる点が導入の上での課題となっています。
また、文化の違い、就労観の違いや、コミュニケーション方法についても、よくご相談をいただきます。こうした課題解決についても当連載では解説していきたいと思います。
特定技能制度導入にあたっては制度への十分な理解を促すことが制度利用の拡大につながると考えられます。BEENOS HR Linkでも制度の認知度を高めるために特定技能制度に関する情報発信を積極的に行っています。
登録支援機関の役割
特定技能1号の外国人材の雇用にあたっては、受け入れ企業に特定技能外国人への就労や生活面での継続的な支援が義務付けられています。具体的な支援内容は入国前の事前ガイダンス、出入国の際の送迎、住居確保の支援、行政手続き、日本語学習支援、相談や苦情への対応、定期的な面談など専門的な内容を含み内容も多岐にわたります。これらの支援を受け入れ企業自身が行うのは難しい場合に、業務を委託して支援を代わりに行うのが登録支援機関です。
2022年の入国制限解除以降、特定技能外国人の数は増加を続け、それにともなって登録支援機関の数も増加しています。BEENOS HR Linkが提供する特定技能雇用の支援業務管理システム「Linkus(リンクス)」もサービスを導入している登録支援機関数は拡大しています。
登録支援機関は協同組合や人材関連事業者、行政書士や弁護士といった士業のほか、支援体制が整備されている団体や企業が登録を行っていることが多く、雇用企業と外国人材双方にとって円滑な就労環境を整える役割を果たしています。
特定技能外国人が日本人と差異なく働ける社会へ
政特定技能外国人が日本社会において日本人と同等に働ける環境を整備することは、人手不足の根本解決の上で重要なポイントです。まず、制度的な支援が不可欠であり、企業は雇用契約や義務付けられている支援体制を確実に整える必要があります。そして、外国人材が長期的に働きやすい環境を作るためには、受け入れ企業は既に義務付けられている支援のほかにも宗教や文化の違いなどを理解する姿勢も求められています。
支援業務は企業にとって人的リソースなどの負担が大きく、特に中小企業では支援の質を維持することが難しいという課題も浮上しています。適切な支援が行われない場合、外国人材が労働環境に不満を抱くことで、早期離職につながってしまう可能性もあります。
また、定期的に発生する各種の手続きを適切に行わなければ、日本で就労する特定技能外国人本人には何の問題がないのにも関わらず、不法滞在になってしまう場合もあるのです。
今後、多様な働き方が促進され、外国人材が日本人と差異なく働ける社会を実現するためには、まず企業が提供する支援の質を高め、特定技能外国人が日本の文化や労働慣習に適応できるようサポートすることが重要です。さらに、制度の柔軟性を高め、企業がより良い支援を行える状態こそが、長期的に安心して働ける環境整備を進行させ、制度を利用する外国人材の拡大に寄与すると考えられます。
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