Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法 第4回
Z世代との日常的な関わり方のヒント
「Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法」を研究してきたリクルートマネジメントソリューションズが、そのエッセンスを4回にわたってお伝えする連載。第1回は「新入社員意識調査2024」の結果を通して、Z世代新入社員の特徴を、第2回はZ世代の人材育成を成功させる秘訣と取り組みのポイントを、第3回でははじめの一歩をスムーズに踏み出した3つの事例を紹介しました。
最終回となる第4回では、Z世代との日常的な関わり方のヒントをお伝えします。
これまでの連載:https://at-jinji.jp/expert/column/101
目次
関わり方のトップ3は「こまめな声がけ」「目的や意味の伝達」「意見や考えの尊重」
私たちのもとには、Z世代の新入社員との関わり方について、先輩・上司の皆さんから多くのお悩みが寄せられています。そこで当社は「新人・若手に関するアンケート調査」を行い、新人・若手社員と上司・周囲の両方に、上司・周囲から新人・若手社員への有効な関わり方は何かを質問しました。図表1がその結果です。
面白いことに、新人・若手社員も上司・周囲も、トップ3は「日頃からこまめに声をかける」「やることの目的や意味を伝える」「本人の意見や考えは否定せず、まず受け止め尊重する」でした。少なくとも調査では、この3つの関わり方に効果があることが見えてきました。では、実際はどうでしょうか。
▼図表1
出所:リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手に関するアンケート調査」(2023)
新人ヒアリングやアンケートでトップ3に効果があることを実証できた
私たちはさまざまな場で新人にヒアリングし、新人若手研修の受講者アンケートを取ってきました。そうやって、Z世代の皆さんから「上司・周囲から新人若手への有効な関わり方」の声を継続的に集めてきました。
その結果、まさにアンケート調査のとおり、「日頃からこまめに声をかける」「やることの目的や意味を伝える」「本人の意見や考えは否定せず、まず受け止め尊重する」ことに背中を押されたという声が多く上がったのです。調査結果のトップ3に効果があることを実証できました。
具体的な声を紹介しましょう。すべて、私たちのヒアリングやアンケートから抽出したコメントです。
- 「なんでそれが必要なのか?」「これをするとどんなことが起こるか?」などの目的や背景を伝えてもらえたのがよかったです。
- 否定せず、「次はこうできるといいかもね!」「もしかしたら○○かもしれないね」と言ってもらえて安心しました。
- 「間違っていても、なんでもいいから、自分の考えをもっと発言していこう」という言葉に後押しされました。
- 仕事がうまくできなかったときや、挑戦して失敗してしまったときに、「(昔は)自分もできなかった、気にしなくていいよ!」など温かい言葉をくれて頑張れました。
- 「どうかした?困っていることある?」などこまめに聞いてもらえて、安心して仕事に取り組めました。
- 仕事の話をしている時に「一人でできるようになったね」「この業務も分かるようになったね」とほめてもらえて、モチベーションを上げることができました!
「もう一歩なところも知りたい」「具体的なフィードバックがほしい」といった声もある
新人ヒアリングや新人・若手社員研修の受講者アンケートからは、さらに多くのことが分かりました。トップ3の「こまめな声がけ」「目的や意味の伝達」「意見や考えの尊重」だけでなく、さらに、求める関わりとして「自分自身の良いところ・もう一歩なところも知りたい」「具体的なフィードバックやアドバイスがほしい」という声も聞こえてきたのです。
これらは、初動ではなく、新人がある程度軌道に乗ってからの関わり方です。彼らは、多少の自信がついてくると、ポジティブな関わり方だけでなく、少し厳しい指導やネガティブ面の指摘、具体的なフィードバックもほしい、と思うようになるのです。
こちらも具体的な声を紹介しましょう。
- 自分の良いところや、ダメなところも言ってもらえたらありがたいです。
- 今やっている仕事の進め方が最適なものなのか、確認しながら進められると安心して仕事ができそうです。
- これからは指摘されることも増えてくると思うので、ときには厳しく指導いただきたいです。
- トライしてみたことに対して、「こうやってくれていたらもっとスムーズだった」などの具体的なフィードバックをいただきたいです。
- 何か間違っても、怒るのではなく背景を説明してもらえると、やる気も出てきて気持ちよく進められると思います。
- 良いところは褒めてほしいし、間違えてしまったところは、アドバイスがほしいです!
日常の関わり方では「4つのアプローチ」が効果的
以上の調査結果も反映して、私たちは、人事・上司・育成担当者の皆さんがZ世代と日常的に関わる際の「4つのアプローチ」を編み出しました。
人事・上司・育成担当者がZ世代と日常的に関わる際の「4つのアプローチ」
【1】「認める・受け止める」
Z世代のどのような姿勢や行動も、まずいったん肯定的に認めて、受け止めましょう。
【2】「納得感をつくる」
認めて受け止めたうえで、意図・背景をすり合わせながら、Z世代の納得感をつくっていくのです。
【3】「フラットに問いかける」
思考を誘導しないようフラットに問いかけ、Z世代の考えを引き出していきましょう。
【4】「前に進めるフィードバック」
ただ褒めるのも、単にダメ出しするのもお勧めできません。そうではなく、目的に向けて前に進めていけるようにフィードバックすることが大切なのです。
このなかで難しいことの1つが「フラットな問いかけ」です。どのような問いかけが効果的かを考えながら、状況に応じて問いを投げかけることが大切です。ときには自分自身もともに考え、材料や選択肢を提供していきましょう。
フラットな問いかけの例をいくつか提示します。ぜひ参考にしてください。
●相手の立場・期待について問いかける
「あの発言は、何を伝えたかったのだと思う?」
「相手の人は、どんなことを期待しているのかな?」
●仕事の意味・価値について問いかける
「これって何のためにやっているのだと思う?」
「この仕事の経験は、どんな成長につながると思う? 何が身につきそう?」
●本人要因を探る
「もし自分の中にも原因があるとしたら何だと思う? 他に思い当たるのは?」
「もっとこうしておけばよかったと思うことはある?」
●これからできることを問う
「もっとどんな状態を目指したい? できればこうしたいというのはある?」
「そこに向けて、今自分にできることでいいので、できるだけ挙げてみて?」
「まず、どこからだったらできそう?」
フィードバックするときは「More」と「SBI視点」を意識しよう
なお、フィードバックするときは、相手の行動と成果について、目的に照らして「Good(よかったこと)」と「More(こうするともっとよくなること)」の観点で伝えることが大切です。特にMoreが効果を発揮しますから、フィードバックの際はぜひ意識してみてください。
もう一段階高いレベルのフィードバックをしたい場合は、「SBI」の視点を持つとよいでしょう。「どんな場面(Situation)」の「どんな行動(Behavior)」が、「相手や成果にどう影響したか(Impact)」を意識しながら、フィードバックするのです。事実ベースなので受け止めやすく、影響を知ることができるので、新たな気づきや、自主的な改善につなげやすいメリットがあります。SBIは当社のトレーナーも活用している有益な視点です。
以上、全4回にわたり「Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法」をお伝えしてきました。皆さんの会社の新人・若手社員が少しでもいきいきと働けるヒントになれば幸甚です。
Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法
全4回:https://at-jinji.jp/expert/column/101
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