落ちこぼれを作らない最強チームの作り方 第2回
「家族のように寄り添うリーダーシップ」:インクルージョンと組織の一体感
タカマツハウスでは、社員一人ひとりがチームの一員として活躍できる環境を整えるために、リーダーシップの在り方が非常に重要視されています。私たちが掲げている「社員は家族」という考え方は、単なるスローガンではなく、社員同士がお互いを支え合い、共に成長していくための基本的な考えです。このリーダーシップの在り方は、いわゆるインクルージョン(包括性)の観点からも非常に効果的であり、組織全体の一体感を強化する重要な要素となっています。
第1回:「応援して囲い込む」~落ちこぼれを作らない組織マネジメントとは~
目次
藤原流リーダーシップスタイル
タカマツハウスの成長を支えているのは、代表取締役社長である藤原元彦氏のリーダーシップです。藤原氏は、「誰も最初から落ちこぼれたいと思っていない」という信念のもと、どんな社員でもその潜在能力を引き出すことができると確信しています。
藤原氏は積水ハウス出身で、積水ハウスでは数々の実績を残した伝説のリーダーですが、そのリーダーシップの根幹をなすのがこの「社員は家族」という考えです。
藤原流のリーダーシップは、社員一人ひとりに寄り添い、家族のように支える姿勢があります。この姿勢こそが、社員が孤立することなく、自分の役割を果たし、組織に貢献できる環境を築くための鍵となっているのです。
家族のように寄り添う姿勢
藤原氏は、社員が困難に直面したとき、決してその人を見捨てることはありません。「応援して囲い込む」というタカマツハウス独自の文化が、組織の中で重要な役割を果たしています。
この文化は、営業部門の社員が成果を出せないときでも、上司や同僚、さらにはバックオフィスや管理部門までもが、その社員を全力で支援するというものです(第1回参照)。営業の実務的なサポートはもちろん、精神的な面でも常に支え続けることで、社員が孤立することなく、組織の一員として成長できる環境を整えているのです。
特に忘れられないのは、2023年の期初のスタートを盛り上げるために企画した「ロケットスタートキャンペーン」での出来事です。このキャンペーンでは、長期間契約を取れなかった営業社員を社内全体で応援し、成果を上げられるよう支援しました。営業部門では、毎日のフィードバックやロールプレイング訓練、同行営業を実施し、営業事務では未契約の案件の優先処理が行われました。設計部門では、未契約社員の案件を優先的に作図するなど、全社的なサポートが行われました。その結果、キャンペーン中に初めて契約を取ることができた社員が現れ、朝礼で感謝の言葉を述べる姿に、私たち全員が胸を打たれた瞬間でした。
社員の家族とのつながり
さらに、タカマツハウスでは、社員自身だけでなく、その家族も大切にしています。社内イベントやサマーイベントなど、社員の家族を招待して交流する機会を設けることで、社員は「家族のために頑張る」という意識を強く持つことができます。
特に、2023年8月に開催されたサマーイベントでは、神奈川県茅ケ崎市の海の家を貸し切り、150名以上の社員とその家族が集まりました。このイベントの目的は、社員同士の日々の慰労でしたが、家族を招待することで、より深い意味を持つものとなりました。
イベントでは、社員が上司や先輩、そして経営幹部に自分の家族を紹介し、家族の前で日本一のお父さん(お母さん)でありたいという姿が見られました。上司や同僚からは「お父さん、いつも頑張っているよ!」と声がかけられ、子どもたちからは「初めて父の仕事振りを聞いた」「お父さんってすごいんだね!」という声があちこちに溢れました。奥様からは「前職と違って、主人が毎朝元気よく会社に出掛けるようになりました!」という声も聞かれ、社員が家族からの尊敬を得る場面が多く見られました。
このように、家族を招待することで、社員が家族からの支えや尊敬を感じる機会を提供し、社員とその家族、そして会社全体の絆がさらに深まるイベントとなりました。社員にとって、家族の前で自分の仕事に誇りを持てる場を作ることができたことが、組織全体の士気向上にもつながったのです。
リーダーの役割~寄り添うことで生まれる成長~
リーダーの役割は、単に命令を出すだけではなく、社員一人ひとりに寄り添い、その成長を支えることです。藤原氏が説くリーダーシップの基本には、「厳しさ10倍、愛情100倍」という考え方があります。これは、社員に対して厳しくすることはあっても、その厳しさは結果を責めるのではなく、プロセスに寄り添いながら、その10倍の愛情で支えることを意味します。
例えば、成果がなかなか上がらない若手社員A君に対しては、単に結果を咎めるのではなく、リーダーが同行して営業活動を見守り、そのプロセスを細かく分析しながら指導します。訪問先の選定や商談の進め方など、具体的な改善策を提示し、結果に結びつけるためのサポートを行います。
また、ベテランのB君に対しても、彼の強みを生かしながら信頼関係のある顧客との関係を深め、新たな紹介を得るための具体的なアプローチを教えることで、無理のない目標を設定し、それに向かって取り組ませることが重要です。こうした過程で、リーダーは厳しさを持ちながらも、愛情を注いで社員を導いていくことが求められます。
重要なのは、リーダーが妥協を許さず、社員に寄り添いながらも厳しく奮い立たせる姿勢です。「家族のように接する」という言葉は、単に優しさや甘やかしではなく、社員の成長を本気で考え、時には厳しく接することを意味します。このリーダーシップが、社員一人ひとりの成長を促し、最終的に組織全体の成果につながっていくのです。
挫折を通じて学び、組織の一体感を生むリーダーシップ
タカマツハウスでは、社員一人ひとりを家族のように大切にし、単に成功体験を与えるだけでなく、時には「挫折」を経験させることも重要視しています。
結果だけでなく、そのプロセスや努力を尊重し、挫折を乗り越える力を養うことで、社員はさらなる成長を遂げることができます。全力を尽くした結果、達成できなかった経験が、次のステップに向けた貴重な糧となり、社員はより大きな目標に挑戦し続ける力を養っていきます。
この過程では、リーダーや同僚が家族のように寄り添い、支え合うことが欠かせません。挫折を乗り越えることで、社員同士の絆が深まり、「社員は家族」というタカマツハウスの理念が一層強固なものとなります。リーダーは社員に対して厳しさと愛情をもって接し、共に成長していくサポートを惜しまない存在です。このリーダーシップが、社員の自信を育み、組織全体の一体感を強化します。
家族のように寄り添い、支え合うことで、社員は自分の弱さに打ち勝ち、前に進む力を得ます。この姿勢は、チームとして団結し、共に成長する組織文化を生み出します。タカマツハウスのリーダーシップスタイルは、単なる業績達成を超え、社員一人ひとりの成長を促し、組織全体を力強く前進させる原動力となっています。
結論:真のリーダーシップとは
「家族のように寄り添うリーダーシップ」は、タカマツハウスが大切にしている組織作りの核心です。しかし、家族のように接するといっても、実際には血がつながっているわけではありません。だからこそ、時には困難や葛藤が伴います。甘えが許される環境ではなく、リーダーとしての厳しさや期待も同時に求められます。
社員一人ひとりに対して家族のように期待し、応援して囲い込むことが求められるのです。リーダーが家族のように接することを私たちは期待しています。それができないと、「このリーダーは冷たいな」と感じてしまうこともあるでしょう。しかし、真のリーダーシップとは、甘やかすことではなく、時には厳しく見守りながら、共に成長していく姿勢を示すことです。タカマツハウスのリーダーは、まさにその「家族のような」サポートを通じて、社員の成長を支えていくのです。
次回は「礼節・コミュニケーション・団結」:強い組織を支える三本柱
タカマツハウスでは、「礼節・コミュニケーション・団結」という3つの要素を大切にしています。これらは単なるスローガンではなく、組織の活性化と社員一人ひとりの力を引き出すための基盤を紹介します。
【編集部より】関連書籍紹介:『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』
同書は、3年で売上高191億円を実現したチームマネジメントの秘訣を紹介。「全員が一人の仲間の〝応援部隊〟となることで、四方八方からサポートが入る仕組み」を徹底して行い、落ちこぼれをつくらない最強チームが起こした数々の奇跡を記している。書籍紹介記事はこちら
著 者 :タカマツハウス株式会社 取締役・専務執行役員 金田 健也
発行日 :2024年5月1日(水)
価 格 :1,650円(税込)
発行元 :株式会社ぱる出版
ISBN978-4-8272-1446-8 C0034
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4827214468
ぱる出版:https://www.pal-pub.jp/book/b10083764.html
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