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落ちこぼれを作らない最強チームの作り方 第1回

「応援して囲い込む」~落ちこぼれを作らない組織マネジメントとは~

タカマツハウスは2019年に創業した木造戸建住宅のデベロッパーで、後発ながらも急成長を遂げています。わずか3名でスタートし、中途採用を活用して社員を集めた結果、5期目には売上高269億円に到達しました。この急成長を支えたのは、かつて積水ハウスで伝説的な業績を残した代表取締役社長・藤原元彦によるチームビルディングの力です。

本コラムでは、藤原氏のチームビルディングに焦点を当て、組織作りやマネジメントに課題を抱える皆様にヒントをお届けします。

目次

  1. 「応援が足らない」
  2. 「落ちこぼれを作らない」タカマツハウス流の組織作り
  3. 体育会系ではない「応援」
  4. 小さなゴールの設定で「達成感」を味合わせる
  5. 挫折はやり切らないと味わえない
  6. 期待して寄り添うリーダー

「応援が足らない」

藤原は積水ハウス出身、私は大和ハウス工業出身です。私たちはそれぞれ大手住宅メーカーでキャリアを積み、創業当初、不動産営業未経験者を中心にチームを結成しましたが、思うように成果は上がりませんでした。

私が「能力もやる気もない者が結果を出せるはずがない」と感じていた時、藤原は私にこう言いました。
「君たちの応援が足らない」。

この言葉を最初に聞いた時、私はすぐに理解できませんでした。しかし、藤原が大切にしていたのは、「誰も最初から落ちこぼれたいとは思っていない」という考えです。世の中に落ちこぼれてもよいと考える人はいません。しかし、どうしても一人では打開できずに落ちこぼれてしまう人がいるのです。

タカマツハウスに限らず、どの会社の従業員も「この仕事なら頑張れる」という思いで仕事を選んだはずです。営業が得意だから営業職、開発や研究が好きだからその分野を選ぶなど、自己の適性や将来の理想像をイメージして選んだ仕事です。最初から落ちこぼれようと思って仕事を選ぶ人などいません。

「落ちこぼれを作らない」タカマツハウス流の組織作り

しかし、どんなに意欲的でも一人ではどうにもならず、落ちこぼれてしまう社員もいます。そんな社員を「応援して囲い込む」のがタカマツハウス流の組織作りです。

営業の上司、同僚、後輩だけでなく、営業支援や管理部門に至るまで、実務面でも精神的にも支援を惜しみません。孤立してしまう前に手を差し伸べ、声をかけ続けることが、独りぼっちの状態から社員を救い出す鍵となります。

応援を受けた社員はどうなったでしょうか。契約が取れなかった営業社員の中から、ついに初契約を果たす者が現れました。朝礼で、その社員は「●●さんと●●さんのお陰です」と感謝の言葉を、声を震わせながら伝えました。成果を出せなかった社員も、「こんなに応援してもらっているのに申し訳ない」「来月こそ必ず成果を出します」と涙を流して悔しがりました。

体育会系ではない「応援」

このような話をすると、採用面接で「御社は体育会系ですか?」と質問されることがあります。確かに、結果にコミットし、自分に厳しい鍛錬を課すアスリートは、特に営業職に向いているかもしれません。

タカマツハウスの社員の3分の2が営業職であり、学生時代に野球やサッカー、ラグビーなどの団体競技で結果を出した者も多くいます。しかし、タカマツハウスの「応援して囲い込む」組織作りは、単に体育会系の根性論ではありません。誰もが持つ「頑張りたい」という気持ちに応え、社員を孤立させないための仕組みです。

タカマツハウスのチームビルディングは、社員全員が「応援されている」と感じられる環境を作り、全員が成果を出せる組織を目指しています。この取り組みは、単なる一時的な支援ではなく、社員が成長し続けるための持続的なサポートです。これこそが、藤原のチームビルディングの真髄なのです。

小さなゴールの設定で「達成感」を味合わせる

藤原は、メンバーの成長を促進するために「小さなゴール」を設定することがリーダーの最も重要な役割だと考えています。大きな目標を掲げて努力させるだけでは、特に経験の浅い社員にとって、その目標が遠すぎて現実感がなく、モチベーションを維持することが難しくなります。

見えないゴールに向かって精一杯頑張ることは非常に困難です。だからこそ、努力すればギリギリ達成可能な、適切な難易度のゴールを設定し、成功体験を積み重ねさせることが重要です。これにより、メンバーは達成感を得て、自信を持ち、次のステップへ挑戦する意欲が湧き上がります。

営業の世界では、最終的な目標は契約獲得です。しかし、不動産営業においては契約までの道のりは非常に長く、経験の浅い社員や、長期間成果が出ていない社員にとって、契約というゴールは途方もなく遠いものに感じられます。だからこそ、契約に至るまでのプロセスを細かく分解し、その社員の現在の実力であれば達成可能な「小さなゴール」を設定することが重要です。

藤原が提唱するゴールの設定においては、次の2つの点を意識する必要があります。

  1. 自分の努力で達成可能な目標
  2. 相手があって、自分だけではどうにもならない目標

営業で例えるなら、訪問件数や電話営業の件数、メールの件数は、自分の努力で達成できる目標です。一方で、案件取得件数や契約件数は、取引先や競合が絡むため、いくら頑張っても自分の力だけでは結果に結びつかないことがあります。

「自分の努力で達成可能な目標」とは

特に営業経験の浅い段階ではこの設定が非常に重要です。なぜなら、相手に依存せず、自分の行動だけで達成可能なためです。
例えば、訪問営業の準備をし、効率的にエリアを訪問する計画を立て、練習したトークやツールを駆使して実行する、といった具体的な行動に焦点を当てた目標を設定します。目標は、単に「1日〇件訪問する」といったおおざっぱなものではなく、会議やアポイントなどを考慮し、その週や日に努力すれば達成可能な現実的な目標を設定することがポイントです。

準備と行動力次第で達成できる目標をクリアした際には、「よく頑張ったな!」とリーダーが称賛し、次のステップへ進むモチベーションを高めます。こうして、少しずつ難易度の高い目標に挑戦させ、自分の努力で達成できることを増やしていくのです。

「相手があって、自分だけではどうにもならない目標」とは

メンバー自身の努力では左右しきれない部分があるため、目標設定や達成に向けての工夫が必要です。藤原は、このタイプの目標に対しては、メンバー一人ひとりの実力や状況に応じて個別に目標を設定することが大切だとしています。

例えば、よくある手法として、一人当たりの目標件数を均一に割り振るやり方がありますが、これは実力差のあるメンバー全員に適切とは言えません。これでは、成績が低迷しているメンバーには重荷となり、逆に成績が良いメンバーには成長の機会を奪うことになってしまいます。

リーダーの役割は、ただ目標を割り振ることではなく、メンバーが今の自分の実力よりも少し高いレベルの目標に挑戦できるよう、目標を設定し、その達成をサポートすることです。

挫折はやり切らないと味わえない

さらに、藤原は「挫折」の重要性を説いています。小さなゴールを達成する喜びを積み重ねることは大切ですが、時にはやり切った結果としての「挫折」を経験することも成長には不可欠です。

この「挫折」とは、ただ達成できなかったという意味ではなく、全力を尽くして努力した結果、成し遂げられなかったことを指します。このような挫折は、悔しさを通じて、自分が目指す理想の姿を描き出し、より大きなゴールを設定する原動力となります。理想と現実のギャップを感じることで、さらなる努力を続けられるようになります。

期待して寄り添うリーダー

最後に、リーダーはメンバーに対して期待し、寄り添いながらサポートすることも大切です。目標達成には困難が伴い、メンバーが弱気になったり、諦めそうになることもあります。その際、リーダーが「君ならできる!」「期待しているぞ!」といった励ましの言葉を掛けることで、メンバーは自分の弱さに打ち勝ち、前に進む力を得られます。

藤原は、社員が全力で取り組む姿を見守りながら、時には営業活動に同行し、具体的なアドバイスを与えています。リーダーが自分のために時間を割いてくれているという実感は、メンバーに強い責任感を生み、「ここまでしてもらったからこそ、必ず成果を出したい」という意欲を引き出すのです。

このように、藤原のマネジメントは、メンバー一人ひとりが自分の努力で達成できる小さなゴールを設定し、達成感と挫折の両方を経験させながら成長を促すことにあります。
リーダーは、教え、応援し、共に喜びを分かち合い、時には厳しさも持ってメンバーの成長を支える存在です。これにより、メンバーは自信を持ち、次の大きなゴールに向かって挑戦していく力を養っていきます。

次回は、「家族のように寄り添うリーダーシップ」をテーマに、組織の一体感についてお話します。タカマツハウスでは「社員は家族」と考えていますが、インクルージョン(包括性)の観点から当社のチームマネジメントを紹介します。リーダーが社員一人ひとりに寄り添い、家族のように支えることで、全員がチームの一員として貢献できる環境を築く大切さを解説します。

書籍紹介:『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』

同書は、3年で売上高191億円を実現したチームマネジメントの秘訣を紹介。「全員が一人の仲間の〝応援部隊〟となることで、四方八方からサポートが入る仕組み」を徹底して行い、落ちこぼれをつくらない最強チームが起こした数々の奇跡を記している。

著 者 :タカマツハウス株式会社 取締役・専務執行役員 金田 健也
発行日 :2024年5月1日(水)
価 格 :1,650円(税込)
発行元 :株式会社ぱる出版
ISBN978-4-8272-1446-8 C0034

Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4827214468
ぱる出版:https://www.pal-pub.jp/book/b10083764.html

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