Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法 第2回

はじめの一歩は「ゆるく」×「ひろく」

「Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法」を研究してきたリクルートマネジメントソリューションズが、そのエッセンスを4回にわたってお伝えする連載。第1回は「新入社員意識調査2024」の結果を通して、Z世代新入社員の特徴を紹介しました。
第2回は、Z世代の人材育成を成功させる秘訣と、取り組みのポイント「ゆるく」×「ひろく」について解説します。

参考:第1回「Z世代新入社員の意識を知ろう」

目次

  1. 時代の変化が速いから、世代間ギャップも大きくなっている
  2. Z世代育成をめぐるテーマの本質は「DEI」に通じる
  3. 成功の秘訣は、初動で「ひとりの味方」をいち早く見つけること
  4. 初動は「ゆるく」×「ひろく」を多く取り入れることがおすすめ
  5. 「ゆるく」×「ひろく」はZ世代全体に有効な考え方

時代の変化が速いから、世代間ギャップも大きくなっている

第1回で詳しく説明したとおり、Z世代には「意味・価値が大事」「納得してからやる」「自分に合うものを選ぶ」「助けあう」「学びあう」「強みを伸ばす」「自分らしさを生かす」などの傾向があります。これは上司世代の特徴、すなわち「やりながら納得していく」「置かれた場所で咲く」「鍛え合う」「自分でやりきる」「苦手を克服する」「厳しさを乗り越える」「組織に適応する」といった傾向とは、まったく違うといってよいほど違います。

出所:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ主催メディア向け共有会資料より

こうした世代間ギャップが拡大した最大の理由は、時代の変化が速いからです。
時代が急速に変化しているために、同時代にいながら、お互いの当たり前がこれほど異なる者同士が関わりあう構造が生まれたのです。その結果として、人事や上司の皆さんは、Z世代の人材育成について深い悩みを抱いているわけです。

では、どうしたらZ世代の人材育成がうまくいくのか。それが第2回のテーマです。

Z世代育成をめぐるテーマの本質は「DEI」に通じる

私たちはZ世代の新人若手育成を徹底的に研究してきました。その過程で分かってきたことの1つは、Z世代育成をめぐるテーマの本質は「DEI」に通じるということです。DEIとは、ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)・インクルージョン(包括性)の略です。DEIにおける多様な個性・価値観を生かす知恵に、Z世代育成のヒントがあるのです。

「ダイバーシティ(多様性)」の観点で言えば、Z世代は個性・価値観の多様性を重視しています。これは深層レベルのダイバーシティで、見えにくさが理解の難しさにつながっています。このタイプの多様性は、チームで働く際、コンフリクト(対立)を起こしやすくします。多様性は、相互依存性が高い環境ではマイナスに影響しやすいのです。現代的なチーム型・共創型組織のなかで、Z世代の多様性を生かすのはそもそも難度が高いわけです。

出所:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ主催メディア向け共有会資料より

その難しさを和らげ、多様性の問題を解決する方法の1つは、上司世代の人事・管理者の皆さんがZ世代に歩み寄ることです。上司世代の皆さんが、チーム内のZ世代一人ひとりをよく知り、彼らへの違和感を否定せずに味わい、彼らと関わるなかで生まれた疑問を掘り下げていけば、自分にはない視点や意外な発見に出逢うことができるでしょう。こうした試みが、多様性のなかに心理的安全性を生み出すのです。

このダイバーシティを大事にする際のポイントになるのが、「エクイティ(公平性)」です。
全員に等しく対応する平等ではなく、一人ひとりの特徴や経験などを踏まえて対応する公平性が、多様性のある組織のパフォーマンスを高めます。また、新たな価値に基づいてよりよい未来をつくっていくには、個性の尊重にとどまらず、お互いの個性(違い)を生かし合う「インクルージョン(包括性)」が大事になります。

チームで議論する際は、上司世代とZ世代のどちらが正解かというスタンスを脇に置き、どちらの見方も1つの選択肢として考えることが大事です。そのスタンスが、Z世代と上司世代が共通の目的に向けて、ともによりよいものをつくる基盤となるのです。

成功の秘訣は、初動で「ひとりの味方」をいち早く見つけること

ここからは、もう少し具体的な話をします。

私たちは2022年に、人事や上司の皆さんに向けて、Z世代の「はじめの一歩」の大切さをお伝えしました。Z世代の多くは、自ら積極的に行動したり、欲しいものを何とかして手に入れたりする経験が乏しいため、周りの出方を確認しながら、慎重に行動する傾向があります。だからこそ、人事や上司、新人育成担当者の皆さんは、新入社員の意欲が高まる瞬間を捉え、行動を促すコミュニケーションを取ったり、初めてのトライに伴走したりする「はじめの一歩」を意識的にフォローする必要があるのです。

それから2年間、私たちは「はじめの一歩」のフォロー事例をたくさん見てきました。そのなかには多くの成功事例、失敗事例がありました。現代はVUCA環境のもと、新人も人事・上司・新人育成担当者も、誰もがこれまで以上に高難度の業務を強いられているため、新人フォローが成功しないことがあるのは当然です。

しかし、私たちは多くの事例のなかから、成果に結びついている事例の共通点を見つけ出すことができました。ポイントは、全世代ともにはじめの一歩の際に「ひとりの味方」をいち早く見つけることです。彼らが初動で一人でも味方を見つけることができれば、Z世代は挑戦と成長に向けて恐れずに踏み出していけるようになるのです。

初動は「ゆるく」×「ひろく」を多く取り入れることがおすすめ

では、人事や上司、新人育成担当者は、Z世代が「ひとりの味方」をいち早く見つけるためにどのようなフォローをすればよいのでしょうか。私たちは、Z世代のはじめの一歩をフォローする際に、「ゆるく」×「ひろく」を多く取り入れることをお勧めしています。

「ゆるく」とは

「ゆるく」とは、人事・上司・新人育成担当者がZ世代に対して、ゆるさを大事にまずはやってみようと呼びかける行為を指します。

具体的には、
「できそうなことからやってみよう」
「失敗したらそこから学ぼう」
「何となくでも出してみよう」
「心の動きに従おう」
「ときには休みながら続けよう」
「弱みも見せよう」
などとZ世代に声をかけるのです。

反対に、いきなり厳しく接したり、ロジカルに関わったりしてはいけません。「上位を目指そう」「うまくいくことをやろう」「最速で目的へ到達しよう」「逃げずに向き合おう」「裏付け・確証を集めよう」といった声がけは、初動でゆるく進めながら、段々と取り入れていくようにしましょう。あくまでも「ゆるく一歩を踏み出そう!」というスタンスで接することが大切なのです。

出所:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ主催メディア向け共有会資料より

「ひろく」とは

「ひろく」とは、人事・上司・新人育成担当者がZ世代に対して、選択肢の広さを提示する行為を指します。

具体的には、
「一見、意味が感じられないこともやってみよう」
「いろんな人に相談しよう」
「新しい場に行ってみよう」
「異なる価値観を取り入れよう」
「他者の強みを借りよう」
「多様な人とつながろう」
などとZ世代に声をかけるのです。

反対に、いきなり強く指示したり、効率性を強調したりしてはいけません。「手短に済ませよう」「苦手なことも自分でやろう」「自分で責任を持って進めよう」「確固たる基準をつくろう」などの声がけは、初動でひろく進めながら、徐々に取り入れていくようにしましょう。あくまでも「選択肢を広く考えよう!」というスタンスで接することが大切です。

出所:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ主催メディア向け共有会資料より

この「ゆるく」×「ひろく」は、甘えでも迎合でもありませんし、ずっとこのスタンスで接する必要もありません。経験の少ないZ世代たちに対して、困難な状況下で第一歩を踏み出す手段として考えてください。別に難しくかまえる必要はありません。上に紹介したメッセージのなかで、自分がピンとくるものを取り入れ、活用してもらえたらよいですし、成長が感じられたら関わり方を変えていくことができます。

「ゆるく」×「ひろく」はZ世代全体に有効な考え方

出所:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ主催メディア向け共有会資料より

「ゆるく」×「ひろく」は、新入社員だけでなく、Z世代全体に接するうえで常に有効な考え方です。もっといえば、新人若手のキャリア入社者などにも効果があるはずです。職場内のDEIを実現して、心理的安全性の高い職場をつくり、チームの協働やイノベーションを起こすうえで、広範囲にポジティブな影響を及ぼす可能性があるのです。

第3回では、「ゆるく」×「ひろく」の取り組み事例を3つ紹介します。これらの事例に触れると、「ゆるく」×「ひろく」の効果がより具体的に、より深く理解できるはずです。

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