時代・環境が変化しても変わらない研修担当者の意識
新入社員研修の失敗につながる代表的なフレーズと対策
秋から翌年の新入社員研修を企画し始める担当者が多いと思いますが、これは最も重要なテーマになってきました。なぜならこの数年で、さまざまな変化(パンデミック、リモートワーク、AI、ウェルビーイング、Z世代など)があり、研修に対するニーズが大きく変化してきたことがあります。
リモート導入には対応できましたが、研修の目的や内容については昔のまま進めていることが多いのではないでしょうか。
特にこの1,2年は、対面形式の研修へと戻り始めている中で、「受講者のニーズと育成担当者のねらいとのずれ」が大きく拡大していることを痛感しています。
今回は、ニーズに合わない研修が引き起こす問題と、解決に導いてゆく効果的な新入社員研修のポイントを紹介します。
目次
新入社員研修が失敗する担当者は〇〇という言葉を使う
当社は、長年の経験から人材育成担当者の日常の口癖やちょっとした発言から、その人が企画する新入社員研修が例外なく大きな問題点を抱えているかが分かるようになりました。
こうした担当者が無意識に発言しているフレーズには共通点があります。その中から代表的なものを紹介しますので、ご自身や他の育成メンバーがこのようなことを言っていないかをぜひ確認してください。
新入社員研修の失敗につながる代表的なフレーズ
人材育成担当者の言葉 | 課題 |
---|---|
本来、新入社員研修って | 伝統的な新入社員研修の固定概念が強く、現在のビジネス環境と受講者ニーズに合わせてブラッシュアップしていない |
ゼロから教えないといけない | この言葉だけで問題とはならないが、こうした発言をする担当者の研修内容は極めて基本的で概念説明が多くなりがち。そのため、新入社員は現場での活用イメージを持てないうえ、現場で使えるほどの能力に高める時間もない |
対面研修になったから | リモート研修にあった問題(受講者の集中力が切れる、研修設計が一方通行、受講者は受身的になるなど)を解決しないで研修をしている |
今の新入社員は◯◯ができない | 研修企画で解決すべき問題を受講者のせいにしている(集中力がない=研修設計の質が悪い、研修内容を忘れる=覚えさせる工夫が不十分) |
まぁこの程度でもしょうがない… | 研修に対する期待が低すぎる。すぐ妥協して、成果が出なくても良いと思っている |
こうした発言をしてしまう要因や育成担当者が引き起こす問題を1つずつ詳しく分析しながら、解決策を探っていきます。
「本来、新入社員研修って…」
これを言う人は古い伝統的な新入社員研修の固定概念にとらわれています(本人の新入社員研修の経験が普通と思い込んでいるケースが多々あります)。つまり、最近のビジネス環境の変化、最近の受講者ニーズと特徴、研修内容とのマッチングについて十分考えていないことがよくわかります。
そのため、研修内容とビジネス環境がずれてしまうのです。
例えば、リモートとハイブリッドワークの対応ができない、DXやAI時代についていけない、今ならではのヒューマンスキルが身に付かないなどです。さらにデジタルネイティヴのZ世代である新入社員の特徴と傾向をよく考えないと、受講者は研修で十分に集中しない、聞かない、覚えないことになってしまいます。
【解決のためのクエスチョン】
自分の新入社員研修に対する考え方が現在のニーズに合っているかどうかを確認するために下記の質問について答えてください。もし、明確に答えられないようでしたら、改善する余地があると認識すべきでしょう。
「ゼロから教えないといけない」
入社直前まで社会人経験のない学生であれば、確かにゼロから教える必要があります。ここで気をつけないといけないことは研修内容があまりにも基本的になると、職場経験のない新入社員にとって研修内容を職場でどのように使うかのイメージができないことです。職場で使うイメージが持てないと研修内容の価値を感じられず、研修にも積極的に取り組まないですし、たとえ覚えたことがあっても配属後に職場で使わないです。
また、内容があまりにも簡単だと限られた時間でビジネスに必要なレベルまで持っていけないです。実際のビジネスで使えるレベルにまで達していなと、配属後に新しいスキルを試す自信がないことから、本来、現場で試しながらスキルアップを重ねていくはずなのに、それもできなくなります。最終的には研修内容を忘れてしまうでしょう。厳しく言うとそれは研修を受けないことと同じ状態になってしまいます。
【解決のためのクエスチョン】
自社の研修内容のレベルが十分高いかどうかを確認するため下記の質問について答えてください。明確に答えられますか?。
「対面研修になったから」
2020年の4月に多くの新入社員研修がオンラインに切り替わりました。突然な変更だったため、特に一年目の研修に課題が多かったです。
例えば、一方通行、講義中心、受講者の集中力が切れる、内容は記憶に残らない、受講者は寝る――などです。しかし、よく考えるとその原因はリモートだからではなく、もっと根本的な「研修内容、研修設計、講師スキル」にあったといえます。
去年から対面研修に戻ったケースが多いですが、リモート時代の問題と原因について何も手を打っていないのではないでしょうか。「対面研修になったらから」と言って研修がよくなることはないです。
むしろ対面研修にしたところで問題は余計に目立ちます。対面研修の場合、受講者は朝の通勤から疲れている、暗い部屋に閉じ込められて眠い、リモートと違って研修以外の作業はできないし自由度が低いために退屈します。
さらに言うと、パンデミック後は対面研修に対する期待が一気に上がりました。その高い期待に応えるネットワーキング、交流、特別感、インパクト、ダイナミックなインタラクションがないと受講者は満足しません。
【解決のためのクエスチョン】
対面研修を企画する時のチェックポイントです。あなたは下記のポイントを意識して対面研修を企画していますか?
「今の新入社員は◯◯ができない」
この数年で人材育成担当者から下記のようなコメントをよく耳にします。
今年の新入社員は…
…受身的で主体性がない
…ちゃんと集中して聞かない
…社会人としてのマナーがない
…論理思考力が弱い
…メールが書けない など
気持ちはわかりますが、よくよく考えるとこのような問題を解決するために新入社員研修があって、解決するのは我々人材育成メンバーの仕事です。ということで研修を受けても受講者がこのような状態であれば、責任は受講者ではなくて我々研修を提供している側です。
「受講者は◯◯ができない」が言いたくなるというのは、人材育成担当者が受講者の特徴とニーズを十分把握していない証拠であり、裏を返せば、新入社員が会社から求められるレベルに達するまでの研修を実施できていないことを意味しています。
【解決のためのクエスチョン】
「受講者は◯◯ができない」と言う前に、まずは人材育成担当者が下記の質問にしっかりと答えられなければなりません。
「まぁこの程度でもしょうがない…」
「まぁ」の後にくるのは大体残念な話で、「まぁ、しょうがない」のような考えがあれば研修から高い成果が得られにくいです。人材育成の場合に、研修の効果は講師と企画者の期待を超えることはほとんどないです。ということで期待が低い=効果が低くなります。
講師に影響されやすい新入社員の場合は特にそうです。新入社員は手を抜いても良い、ちょっとしたボロがあっても許される、ある程度やれば大丈夫のように感じてしまえば間違えなく成果が低くなります。
新入社員研修の大事な役割の一つは新入社員のマインドセットです。例えば、自分の成長に対する重要性をしっかり意識させて、学習する習慣を身につけさせることです。
また、仕事に対する価値観、ポリシー、スタンダードの設定にも大きく影響します。ということで自分の提供している研修に対して「まぁ、これで良いじゃない」的な姿勢を見せると研修だけではなくて新入社員のマインドセットにも影響します。
【解決のためのクエスチョン】
自分の期待と受講者のマインドセットに良い影響をするために、まずはこの質問についてよく考えてください。
クロージング
新入社員研修は人材育成業界にとって、とても大切なテーマの一つです。
残念ながら、急激な世の中の変化が訪れたこの数年で、対応できている企業とそうでない企業との差が大きく広がってしまっています。もったいないです。
そうした原因の1つはわれわれ人材育成担当者の考えにあります。
ぜひ、今回紹介した育成担当者の無意識な発言のフレーズを確認して、ご自身が研修に悪影響を与えていないかを再確認しましょう。
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