Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法 第1回
Z世代新入社員の意識を知ろう
人事やマネジャーの皆さんから、「Z世代の新人若手社員たちの人材育成が難しい」「Z世代とどう接してよいか分からない」「Z世代と上の世代との共創をどのように促せばよいのか見当がつかない」といった声をよく耳にします。そうした声を受け、私たちリクルートマネジメントソリューションズは「Z世代社員たちとともに良い未来をつくる方法」を研究してきました。そのエッセンスを4回にわたってお伝えします。
第1回は「新入社員意識調査2024」の結果をお知らせします。第2回は、取り組みのポイントとなる「ゆるく」×「ひろく」について解説し、第3回は「ゆるく」×「ひろく」の取り組み事例を紹介します。最後の第4回では、Z世代との日常的な関わり方のヒントをお伝えします。
目次
Z世代は「確実性」を大事にする層と「挑戦」を大事にする層に二極化
最初に、私たちリクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査2024」の結果を通して、Z世代新入社員の特徴をいくつかお知らせします。
図表1は、「あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?」の回答結果です(最大3つまでの複数選択制)。このデータで第一に注目すべきは、「任せられた仕事を確実に進めること」(39.4%)、「失敗を恐れずにどんどん挑戦すること」(31.0%)が、調査開始の2010年以来、過去最高だったことです。
しかも、対象者の回答傾向を見たところ、両方ではなく、いずれか一方を選択している割合が高く、「確実性」を大事にする層と「挑戦」を大事にする層が二極化していることが分かりました。
【図表1】Q.あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?(最大3つまで複数選択/n=738)
出典:リクルートマネジメントソリューションズ「調査レポート 新入社員意識調査2024【前編】」
「任せられた仕事を確実に進めること」は、例年選択率が高いのですが、今回は特に高くなっていました。Z世代の多くは、それまでの世代以上に失敗への不安や恐れが強い傾向があり、確実性を重視する意識が高まっているようです。ただ一方で、学生時代から積極的に行動を起こし、社会人経験や仕事経験を積んでいる層も増えており、そうした人たちが「失敗を恐れずにどんどん挑戦すること」を選んでいると推測できます。この2つのタイプが両極端になってきているのが、Z世代の特徴の1つといえそうです。
図表1は、ほかにも注目すべき点が2つあります。1つ目は、「社会人としてのルール・マナーを身につけること」が6年ぶりに1位になったことです。コロナ禍が明け、出社や対面コミュニケーションへの回帰が起こったことで、マナーを身につける必要性を感じている新入社員が増えているようです。2つ目は、「何があってもあきらめずにやりきること」(13.8%)が過去最低になったことです。うまくいかないことや自分にフィットしないことなどに無理に固執せず、インターネットやSNSなどで他の選択肢を調べ、気軽に新たなチャレンジを始めるのが当たり前になったと考えられます。
Z世代が働きたいのは「心理的安全性の高い職場」
図表2は、「あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?」の回答結果です。1位は「お互いに助けあう」(64.1%)、2位は「遠慮をせずに意見を言いあえる」(45.1%)でした。実は、「お互いに助けあう」は調査開始以来不動の1位なのですが、「遠慮をせずに意見を言いあえる」は、調査開始以来最高値での2位でした。
この2項目を選択した対象者の回答傾向を見たところ、いずれかではなく、どちらも選択している割合が高くなっていました。「お互いに助けあう」と「遠慮をせずに意見を言いあえる」の両立を求める傾向がうかがえたのです。これはZ世代ならではの特徴の1つです。
【図表2】Q.あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?(最大3つまで複数選択/n=740)
出典:リクルートマネジメントソリューションズ「調査レポート 新入社員意識調査2024【前編」」
2010年以来、「お互いに助けあう」の回答率がずっと高いのは、学校教育がアクティブラーニングを採用した影響で、小さな頃からグループワークを頻繁に行っており、周囲のメンバーとともに課題に取り組む経験を積んでいることが大きいと考えられます。新入社員たちは、助けあいながら成果を出すことの重要性をすでに知っているのです。これはZ世代以前からの話です。
他方で、Z世代は、個性尊重の時流を背景として、学生時代から一人ひとりの個性を認める教育を受けており、「誰でも自分自身の意見を発信できること」が当たり前だと考える傾向があります。学校教育などでのディスカッションの経験も豊富です。だからこそ、「遠慮をせずに意見を言いあえる」ことの重要性を意識しているのです。
この2つの特徴をあわせると、Z世代の新人若手社員は、まさに「心理的安全性」が担保された職場環境を求めていると言えます。一方で、「アットホーム」(36.4%)は過去最低でした。Z世代は、心理的安全性を大事にする一方で、職場に家族のような関係性を求めなくなってきているようです。
Z世代は「どこでも生き残れる力」を早く身につけたい
図表3は、「あなたが仕事をする上で重視することは何ですか?」の回答結果です。トップ3は「成長」(32.2%)、「貢献」(23.1%)、「専門性」(19.7%)で、最下位は「競争」(2.6%)でした。実は、成長と貢献は例年どおりのトップ2でした。しかし、専門性が上位に来たのは例年どおりではありません。注目すべきポイントだと考えています。
【図表3】Q.あなたが仕事をする上で重視することは何ですか?(最大2つまで複数選択/n=1,775)
出典:リクルートマネジメントソリューションズ「調査レポート 新入社員意識調査2024【前編】」
「専門性」が躍進した大きな要因の1つは、学校教育のなかに自分のキャリアを考える機会が多く設けられていたり、インターネットやSNS上でキャリアアップにつながる情報を簡単に入手できたりするなかで、自分のやりたいことを追求したい、専門性を極めたいというモチベーションが高まっているからだと考えられます。
もう1つの要因は、ジョブ型雇用の潮流、転職が当たり前の労働環境、生成AIの台頭などを受けて、「若いうちから自分の市場価値を高めなければ」「将来性のある職業に就いて専門性をつけなければ」という危機感に近いモチベーションが高まっているからでしょう。いずれにしても、Z世代は「どこでも生き残れる力」を早く身につけたいと考える傾向にあります。
なお、「定年まで現在の会社で勤めたいですか? それとも現在の会社で勤め続けることにこだわらないですか?」という質問に対しては、「現在の会社で勤め続けることにこだわらない・どちらかと言えばこだわらない」(52.1%)が、「定年まで現在の会社で勤めたい・どちらかと言えば勤めたい」(41.4%)を上回っています。ある意味当然かもしれませんが、Z世代は、転職はありえると考える人のほうが多数派になっています。
Z世代は「個の尊重」と「オープンでポジティブな関わり」を求めている
最後の図表4は、理想の職場と理想の上司について、「新入社員意識調査2014」と「新入社員意識調査2024」を比較したデータです。この10年間で、回答率が特に激しく上下した項目をピックアップしました。
【図表4】「新入社員意識調査2014」と「新入社員意識調査2024」を比較したデータ
出典:リクルートマネジメントソリューションズ「調査レポート 新入社員意識調査2024【前編」」
「あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?」という質問に対しては、「お互いに個性を尊重する(12.7ポイント)」「お互いに助けあう(11.4ポイント)」「遠慮をせずに意見を言いあえる(9.8ポイント)」の回答が増え、「アットホーム(-6.0ポイント)」「皆が一つの目標を共有している(-10.5ポイント)」「活気がある(-13.4ポイント)」が減りました。
また、「あなたが上司に期待することは何ですか?」という質問に対しては、「よいこと・よい仕事をほめること(15.0ポイント)」「一人ひとりに対して丁寧に指導すること(13.0ポイント)」が大きく伸び、「言うべきことは言い、厳しく指導すること(-11.8ポイント)」「仕事に情熱を持って取り組むこと(-8.3ポイント)」は著しく少なくなりました。
Z世代は、お互いの個性の尊重を重視する一方で、皆が一つの目標を共有することや、活気のある職場を必ずしも求めなくなっています。また、助け合いや意見の言いあい、褒めること、丁寧な指導などを大事にする一方で、厳しい指導や仕事への情熱などを忌避する傾向が出てきています。
まとめていえば、Z世代は「個の尊重」と「オープンでポジティブな関わり」をより求めるようになったと言えるでしょう。そして、心理的安全性のある環境のなかで、確実性あるいは挑戦を大事にして、成長・貢献・専門性を重視しながら働きたいと思っているのです。
では、このようなZ世代社員たちとともに良い未来をつくるには、いったいどうしたらよいのでしょうか。それは第2回で詳しくお伝えします。
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料