具体的イメージから見えてくる/研修担当者の効率アップ/受講者の満足度アップ
【事例で解説】人材育成にAIツールが効果的な場面と活用ポイント
最新の人材育成トレンドの中で、AIはダントツに盛り上がっているキーワードです。しかし話題性の割には、具体的に実践したケースや分かりやすい成功事例の報告は意外なほど少ないです。その原因の一つは、AIを人材育成にどのように生かせるかのイメージがはっきりしていないからです。そこで、新入社員教育をテーマに分かりやすい事例を紹介しながら、AIを人材育成に導入するための簡単な第一歩を紹介します。
目次
-
- はじめに
- AIツールの効果が際立つ5つの場面
1)日報のフィードバック
2)質疑応答
3)知識確認
4)定着演習
5)振り返り - クロージング
1.はじめに
今回、分かりやすい事例として新入社員教育を選択した理由は以下の通りです。
理由1:すでに世界でAIが積極的に活用されている
今年のATD2024では最新のAIツールの実践事例が紹介されました。製薬会社ノバルティスの人材育成+生成AIのセッションでは研修に必要なコンテンツを自動作成するだけではなく、受講者に対してAIがフィードバックを与えることができたことが報告されていました。
詳細は下記をご覧ください
世界最大の国際大会 ATD ICE 2024での最新トレンドと成功事例を解説。
重要で実用的で日本にも合うホットトピックと人材育成のコアコンピテンシー
理由2:最新研究で対策が必要な新入社員の課題が明確になっている
新入社員研修の領域では2024年の最新速報として今後の課題が報告されています。
・環境によって集中力が切れる・理解度の低い時がある・すぐ飽きる
・個人のスキル不足自分のわからないことに気づかない
・職場の厳しさに直面してショックを受けることが多い
詳細は下記をご覧ください
現場からの最新速報 ! 見えてきた2024年新入社員の傾向と今後の対策
理由3:現時点で日系企業は新入社員教育にAI導入がしやすい
社内情報からをータを自動作成する生成AIを活用するためには社内の情報が整理されていることが重要というレポートもあります。ですから複数のレガシーシステムの混在していることの多い日系企業にとって今後の課題になると思いますが、新入社員はまだ情報がまっさらなので懸念は少ないでしょう。
そこで今回AIを最初に取り入れる対象としてわかりやすい新入社員教育を選びました。
AIを人材育成に導入するための簡単な第一歩としてご覧ください。
2.AIツールの効果が際立つ5つの場面
実際の研修場面をイメージしやすくするために簡単な例で見ましょう。
下記の例は5日間の新入社員研修のイメージです。黒文字は研修内容で、赤文字はAIツールの役立つ場面です。
工夫ポイントをまとめるとこのようになります。
それでは各ポイントを細かく見ていきましょう。
1)日報のフィードバック
多くの企業は新入社員に毎日の報告書や日報を書かせます。狙いはPDCAに慣れる、ビジネスライティングの練習、論理思考力の強化などです。書かせるのは良いのですが、毎日数多くの日報をもらうと研修担当者の採点、添削、フィードバックの負荷は大変なものになります。
そこでAIは大活躍します。どんなに数が多くてもたった数秒でフィードバックをしてくれます。もちろん質は優れた講師ほど高くはありませんが、狙いを達成するためには十分です。このようなイメージです。
■新入社員の報告内容(左)とAIフィードバック
フィードバックの項目、表現のトーン、フィードバックの長さや文章量についてはプロンプトを書く時に指定をすればいくらでも変えられます。また過去のコメントを教え込むとAIは過去のコメントを参考にしながらより的確なフィードバックを与えます。内容を見ると確かに素晴らしい講師より良くありませんが、全く負担のない数秒の作業だと考えると十分使えます
2)質疑応答
受講者にとってAIの人気な理由の一つは質疑応答です。大人数の新入社員研修だと受講者は質問や疑問があってもなかなかその場でタイムリーに聞けないケースが多いです。理由はみんなの前に質問することが恥ずかしいだけではなくて、それ以外に質問をすると進行が止まって他の受講者に迷惑をかける、質問をするタイミングが見つけられない、研修後によく考えた上に初めて質問が出るケースも多々あります。いずれにしてもAIボットはその問題を解決します。
そこで大切なポイントはボットの事前インプットです。情報を提供しないと世の中にある汎用的な解答しか得られないです(一般的なChatGPTと変わらない)。しかし、研修内容を認識させて、その研修内容に基づいて返事をさせるように指示すると、おおむね講師が研修内容を説明するのと同じような返事をしてくれます。
■研修のテキスト
■研修内容に基づいた質疑応答
3)知識確認
知識研修の場合、受講者にとってすでに知っている内容が多いとつまらないと思って、集中力が切れて、満足度と習得度が下がります。逆に研修内容のどの部分に集中して学んだ方が良いかが事前に分かると、知っている部分が少なくてもそのパートに積極的に参加します。そのために事前の簡単な知識テストが効果的です。
知識テストは効果的だと誰もが分かりますが、現実問題テストを作ることと採点することが面倒です。そこでAIは感動するほど役立ちます。1分以内にテスト内容を作る上にWeb上で解答できるアンケート形式にしてくれます。このようなイメージです。
■プロンプト
このように知識研修の前に確認クイズを受けさせると、受講者の知識レベルとニーズが把握でき、またそれに合わせて研修内容のチューニングができます。結果的に研修効果が一気に上がります。
4) 定着演習
研修から成果を出すためには受講者の行動変容が必要です。そのためにアウトプット、繰り返し反復練習、ロールプレイなどが必要です。これまで、ロールプレイをするためには練習相手と評価する人が必要でリソース的に難しかったです。しかしAIならば相手もいらない、評価者もいらない、スケジュール調整などの問題もない……極めて楽になります。プレゼンテーションのオンライン演習とAIのフィードバックのイメージはこちらです。
AIのロールプレイはまだまだ人間ほど精度は高くないですが、いつでもどこでも練習できて、終わった瞬間にフィードバックがもらえると考えると十分使う価値があります。
5)振り返り
新入社員研修の期間が長い場合に週報や途中の振り返りをさせることがよくあります。これによって受講者の理解を深めて、自分の成長実感をさせます。その狙いは素晴らしいのですが、よくある失敗パターンは毎日の日報と同じようなフォーマットを書かせるだけのやり方です。
それだと受講者の考えは浅い、作業自体は日報の繰り返しと感じる、やらされ感があります。理想的な解決法はプロコーチによる一人一人の個別コーチングです。でもそれは当然お金、時間、リソースが必要でほとんどの場合に非現実的です。
そこでAIのチャットボットがおすすめです。プロコーチほどセンスはありませんが、やりとりをしながら受講者の考えを深める、気づかせることが十分できます。また新入社員の得意ラインやチャットのやりとりだと負担と感じないです。簡単なイメージは下記のとおりです。
3.クロージング
今の人材育成のホットトピックは間違いなくAIです。積極的に取り組んでいる企業はまだ限られていますが、簡単なところから試し始めることが必要です。
そして感覚的に以下のようなスケジュール感でAIの展開をすれば遅れないはずです。
2024年の下期:AI関連研修の軽いトライアルをする
2025年の4月:新入社員研修にAIを入れる
2025年の夏:全社的なAI関連スキルを強化する施策を立ち上げる
2025年の秋:人材育成にAIを積極的に取り入れる
劇的な受講者満足度アップと研修担当者の効率アップに向けて頑張りましょう!
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