第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社

【第10回】研修マスターの6つ星“指南術”

「指示や依頼を断る部下」の能力を引き出すマネジメント

依頼した仕事をはっきり断る、飲み会には行かない……理解できない部下の態度に、困惑している管理職の方も多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、一見無気力にも見える「個性の異なる部下」の能力を引き出し、マネジメントしていくためのコツを、例を交えながらご紹介していきます。

目次
  1. 自分が断ったことはないのに、今の部下には断られる
  2. 無気力だった彼女を変えた「仕事を任せられる」体験
  3. 「一人ひとりの力を最大化する」青学・原監督のマネジメント
  4. 個性を認めた上で、相手に関心を持って接することが大切

自分が断ったことはないのに、今の部下には断られる

管理職研修を担当すると次のような悩みをお聞きします。

「部下に仕事を与えても『できません』『やれません』と、平気で言ってくるんですよ」
「部下が仕事とプライベートをしっかり分けたがるので、仕事後に飲みにいくのも誘いにくくて」

そして次に続く言葉は、

「自分たちのときは、上司に言われたら断るなんてことがなかったんですが……」

管理職のみなさまのお気持ち、痛いほどよくわかります。私もビックリしたことがありましたから。でも、その経験は今から20年以上前。私が新入社員の時です。

学生時代の私はもともと体育会系。登下校の際、先輩と一緒のときは決して前を歩いてはならず、電車で先輩よりも先に降りる場合は「お先に失礼します」と一礼し、先輩が乗った電車が見えなくなるまで一礼している。こんなルールで育ってきた私にとって、上司や先輩からの指示を拒否するような言動を取ることはありえません。そのため、当時の同期が上司の指示に対し「嫌です」と答えたのを見て内心(ありえない……)と、驚いた経験がありました。

しかし、そんな態度をとる同期に対し、上司は「そう。わかった」と、それだけしか反応しませんでした。そして、その後どうなるか見ていたのですが、上司も同期も普通に過ごしていました。同期はもともと働くことにほとんど関心がなく、仕事をサボったり、手を抜いたりして、結局のところ早々に退職しました。

無気力だった彼女を変えた「仕事を任せられる」体験

それから3年後。久しぶりにその同期に会うと、見違えるようなキャリアウーマンに。そして彼女は「仕事最高! 今は仕事が楽しくて仕方がない!」と言ったのです。私は、全くやる気がなかった人がなぜこうも変わったのか。そのギャップにショックを受けました。

彼女に話を聞いてみると、私と同じ会社を辞めて以降、複数の会社で仕事をしたそうです。しかし、そのどれも全く面白いと感じられなかったそう。その理由は、「あーしなさい、こーしなさい」と、上司の価値観を押し付けられたから。

しかし、その後入社した会社では、「私たちの会社ではこれを目指す!」というビジョンを熱く語られ、いきなり重要な仕事を任されたそう彼女は最初は戸惑ったものの、自分の仕事が人の役に立っている実感や、仕事が形になっていくのを体感し、そこから仕事が面白くなったそうです。

実は、若手~中堅社員を対象に研修をする際に「仕事の面白さ」についてアンケートをとると、似たような傾向が見られます。「仕事が面白い」と感じるときの項目を見ると、「仕事を任されているとき」、「自分でアイデアを出したり工夫ができるとき」、「手ごたえを感じられているとき」といった意見が並ぶのです。

同期の経験、アンケートの傾向に基づいて仮説を立てると、部下がやる気になるポイントは「自分らしく仕事ができているとき」のようです。

「一人ひとりの力を最大化する」青学・原監督のマネジメント

実は、一人ひとりが自分らしく能力を発揮できているマネジメントの好事例があります。それは、2015年から3年連続で箱根駅伝で優勝している青山学院大学陸上部、原晋監督のマネジメントです。

青山学院大学陸上部の目標は「大会での優勝」です。しかし原監督には、優勝以上に大事にしていることがあります。それは、「社会に出たときに通用する人を育てること」。その方針のもと原監督は、選手の希望や個性を大事にした上で、一人ひとりの力が最大化できるようなチーム活動や個別練習を支えることに徹しているそうです。

これは組織におけるマネジメントにも適用できる大事なポイントです。管理職が「組織を超えて活躍できるメンバーに育てよう」と考えれば、本人の希望や個性(得意・不得意)をふまえる必要性がでてきます。

そうした「管理職としての想い」を伝え「相手を知ろうとする」過程では、それ相応のコミュニケーションが必要になってきます。このコミュニケーションを通じ、部下一人ひとりの個性がつかめます。

個性を認めた上で、相手に関心を持って接することが大切

それでは今一度、一人ひとり個性が違うことを前提に、「できない」「やれない」という言葉を部下が発するとき、彼らがどんな気持ちからその言葉を発しているか考えてみましょう。

部下がそうした発言をするのは、「ミスしたくない」「失敗したくない」「ダメだというレッテルを貼られたくない」など自己防衛の意識からかもしれません。あるいは、家族や自分が健康に問題を抱えていて時間的に余裕がないからかもしれません。単純に「それをやるメリットがわからない」といった場合もあるでしょう。

どれがその部下にとっての本音かは、人それぞれです。それぞの個性を認めた上で、上司の価値観で相手を見るのではなく、「部下は何をどう感じているのだろうか。それを聞きたい」と、相手に関心を持って接すること。このことが大事なのではないでしょうか。

原監督も昔は、体育会系のマネジメントスタイルをとっていた時期があったのですが、廃部寸前まで部の状況が悪化し、そこから「選手が自発的に考え動けるようにするために自分はどうあるべきか」を考え、マネジメントスタイルを変えたのだそうです。

一般的な組織ではそこまで危機的な状況には陥りづらいので、上司のマネジメントスタイルの問題が見えにくいのですが、上司が先入観を持たずに部下を見るようにしていくと、部下本来の持ち味が見えてきます。それぞれの部下の持ち味を見つけ伸ばすこと。これができると、人も組織も大きく成長していきます。

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