デジタルコンテンツ教材をビジネス成果につなげるには?

オンデマンド研修のよくある5つの落とし穴と解決のヒント

品質の管理/個別ニーズの把握/アウトプットの機会/ITプラットフォーム/困った時のマニアルと位置付ける

人材育成関連で最近話題になっているのが、「オンデマンド研修」です。
オンデマンド研修の利点はいろいろあるものの、気をつけなければあまり効果的な研修になりません。今回は、オンデマンド研修のよくある5つの落とし穴(課題)と解決のためのヒントを紹介します。

目次

  1. オンデマンド研修の代表的な課題と解決ヒント
  2. 品質を管理する
  3. アセスメントでニーズを把握して、個別ラーニングパスを作る
  4. アウトプットの機会を一緒に与える
  5. わかりやすいITプラットフォームを使う
  6. 位置付けを教育からマニュアルに変える
  7. まとめ

1.オンデマンド研修の代表的な課題と解決ヒント

この数年でオンライン情報、データベース、プレゼン資料、映像教材のようなデジタルコンテンツが一気に増えたおかげで、受講者一人一人が都合の良い時に必要な内容だけを選んで受講することが容易になりました。このような自己学習をオンデマンド研修と呼び、そのメリットは時間、場所、予算の制約があまりないことです。小さな単位だけ学べるという意味でマイクロラーニングとも呼ばれますが表現が違うだけです。

さらにオンデマンド研修のコンテンツを用意するには、企業向けのオンデマンドコンテンツライブラリー(例:Udemy、Degreed、グロービスの学び放題 etc)を使うと非常に便利ですが、用意するだけでは従業員のスキルアップやビジネス成果につながりません。気をつけないと以下のような問題が起きます。

課題 解決のヒント
品質が悪い、ムラがある アセスメントで個別のニーズを把握して、それに適した個別ラーニングパスを設定する
内容は受講者のニーズに合わないので、受講者は何を勉強すれば良いかがわからない アウトプットの機会を一緒に与える
インプットだけで終わってしまう アウトプットの機会を一緒に与える
何がどこにあるかがわからない 手順や教材などリソースの配置がわかりやすいITプラットフォームを使う
行動変容につながらない 位置付けを受身的な教育から行動のためのマニュアルに変える

今回のコラムではこのような課題ごとの解決ヒントを一つずつ詳しくご説明します。

2.品質を管理する

YouTubeやTikTokと同じようにコンテンツライブラリーには膨大のコンテンツがあるものの、品質はかなりばらつきがあります。
例えば忙しい管理職にとって意味のない、自分の仕事と関連性がない、職場で生かされないようなコンテンツを提供するのでは受講者に嫌われます。研修関連テーマのコンテンツを事前に確認して良いものを選別しましょう。さまざまなベンダーやサービスがありますが、際立った特徴のある3つを紹介します。

サービス 特徴 イメージ
LinkedIn Learning 人材育成の色が強くて質が安定している
TED レベル高い惹きつけるプレゼンテーションスキル
Master Class 映画並みに立派な撮影と有名講師

出典:https://jp.linkedin.com/learning/https://www.ted.com/https://www.masterclass.com/

3.アセスメントでニーズを把握して、個別ラーニングパスを作る

対面研修の弱点の一つは全受講者が同じ研修内容を勉強する必要があることです。
新入社員研修では問題はありませんが、ベテラン社員ではそれぞれが異なる知識、スキル、経験を持っています。自分がすでに知っている内容の研修を受けるのは時間の無駄です。さらに仕事内容によって求められるニーズとその深さが違います。

例えば、営業部門の経理担当は財務研修を受ける価値はありますが、営業現場のセールスパーソンにとって財務研修は仕事ですぐ使う機会はありません。
これにくらべてオンデマンド研修は自己学習ですので、受講者は自分のニーズにピッタリ合わせて必要な研修のみを勉強できます。

この個別ニーズに基づくラーニングパスを設定し、最適な自己学習を進めることを、私は「個別ラーニングジャーニー」と呼んでいます。ただし、何を学べば良いかを特定するためにはサポートが必要です。お勧めするサポートは以下の通りです。

サポート ヒント
ニーズ調査 簡単なアンケートで良い。受講者のニーズや必要なテーマをざっくり大・中・小、高い・普通・低い、◯・×・△でコンテンツを絞る
知識クイズ 

ニーズの高いテーマに絞って簡単な知識テストを行う。簡単な数問程度で良い。
ポイントは既存知識レベルと研修を受ける必要があるかどうかを測ることだけ。各コンテンツの最後に出る理解度確認テストをそのまま使っても良いし、生成AIを使って研修内から質問を作ってもらっても良い。
もう1つのポイントは軽い感覚、短い時間で受ける価値のあるコンテンツを把握すること

コンテンツコンシュルジュ

必ずしも必要ではないが、人材育成担当者がこのステップで少し関わると受講者のモチベーションが一気に上がる。
出てきたニーズとクイズ結果に基づいて10分のビデオ会議をしながら個人別のプログラム(ラーニングパス)を一緒に考えると受講者は納得するし、研修の動機付けにもなる

アセスメント結果のイメージ

個別ラーニングジャーニーについてより詳しく知りたい場合には「一人ひとりのカスタムラーニングジャーニーが可能な時代にようこそ」を参考にしてください。

4.アウトプットの機会を一緒に与える

インプットというのは講義、映像、読書などによる受身的な知識習得のことです。しかし残念なことにオンデマンド研修はインプット中心です。インプットによって「◯◯を知る」、「◯◯がわかる」ようにはなりますが、「◯◯ができる」ようにはなりません。
できるようになるために主体的な実践演習やアウトプットが必要です。すべてのテーマにアウトプットが必要ではありませんが、コミュニケーションやマネジメントのようなスキル系の研修の場合にはアウトプットは必要不可欠です。

幸いなことにアウトプットをするためには大人数の対面集合研修を実施する必要はありません。少し考えるといろいろなやり方があります。例えば次の表のようなやり方です。

5.わかりやすいITプラットフォームを使う

さまざまなコンテンツ(PDF、ホームページ、映像、ポッドキャストなど)やインプットとアウトプットの両方がある場合にはプログラムが複雑になってしまいます。
そうすると受講者は迷って、何がどこにあるかがわからなくなってしまうリスクが高くなります。
これを解決するためにはラーニングジャーニープラットフォームが極めて便利です。大事なポイントはどの順番で何をいつまでやれば良いか、インプットはすべて一カ所にあり、アウトプットのリンクやツールも一緒にアクセスできることです。参考までに、当社で使用しているプラットフォームは下記のようなイメージです。

このプラットフォームを使って当社スタッフがコースを作成した実例を紹介しましょう。
この研修コースでは、6カ月間かけて6種類の内容を、月ごとにインプットを1週間と個別コーチング3回実施するものでしたが、すでにある教材を受講者がログインできる形に用意するため要した時間はわずか一時間弱でした。また、AIによってこのようなプログラム作成時間はどんどん短縮されています。

6.位置付けを教育からマニュアルに変える

ここまでオンラインコンテンツを研修のように勉強するイメージで話していました。でも、オンデマンド研修の一番の魅力は困った時にすぐ使えることです。
そう考えるとオンデマンド研修というものは集合研修より、マニュアルに近い位置付けの方が適切です。イメージはオンラインにあるチュートリアルです。

例えば、購入したテントの組み立て方、殺虫剤の使い方、スマホアプリの使い方、などです。そう考えるとオンデマンドコンテンツの最強の内容は、講師の解説ではなく、仕事を実際にやっている達人の作業方方法とアドバイスです。今後コンテンツを作る時にぜひそのような内容にしましょう。

7.まとめ

オンデマンド研修とコンテンツライブラリーは最近話題となっています。オンデマンド研修の利点はいろいろありますが、気をつけないとあまり効果的な研修になりません。今回お届けした解決ヒントやコツを是非参考にして、オンデマンド研修の効果を高めるように頑張ってください。

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