パンデミックを乗り越えたこの1年でわかった
“意味のある”効果的な対面研修の成功ポイント
位置付けの明確化/演習の工夫/交流の重視/研修設備の万全な準備
これからも対面研修は多く実施されると思います。パンデミックを乗り越えたこの1年間の経験から明らかになった、対面研修を成功させるためのヒントとアドバイスをお伝えします。
目次
1.2022~2023年の研修方式を振り返る
突如世界を襲ったパンデミックにより、2020年の4月から企業での研修は一気にリモートに切り替わりました。同様に大学もリモート化が普及し、その後の新入社員の平均的な資質にも大きく影響を与えたことは周知の事実です。
そして2023年5月、新型コロナウイルス感染症の5類移行により社会はアフターコロナへのシフトが加速し、多くの企業は研修を対面に戻し始めました。
弊社が企業へ実施した2023年の研修方式を振り返ってみると、対面研修の割合は以下のグラフの通りです。
傾向としては、
- 2023年の1月から対面研修は50%以上になりました
- 4月の新入社員研修は主(71%)対面で実施しました
- 新入社員研修以外の研修はおおむね2023年夏を過ぎてから対面に戻り始めました
- 2023年秋以降だとリモートより対面研修の方が多くなりました
この結果から、傾向としてリモート研修から対面研修へのシフトには4つの段階があることが読み取れます。
2.忘れてはならない研修設備の万全な準備
弊社で久しぶりの対面研修を実施した際には、パンデミック前になかった細かい問題が発生しました。下記の表にこの1年で実際に起きたハプニングをリストアップしました。対面研修の実施が増えることによって自然と落ち着くと思いますがそれまでに一度確認しておくことをお勧めします。
このような問題は恥ずかしいほど当たり前だし、本来あり得ないですが、この1年間ですべて実際に生じています。皆さんもぜひそうならないように気をつけましょう。
3.対面ならではの交流の重視
わざわざ対面で集まるなら受講者は当然リモート研修でできないことを期待します。その中でも一番わかりやすい期待はさまざま受講者との交流と情報交換です。
さらに、研修の早いタイミングで交流の機会があると対面研修に対する抵抗(リモートでもできるじゃない?という疑問)がなくなります。
交流を促進するためのヒントとして
- 研修のオープニングで交流の時間を入れる
- 受講者は一緒に昼食を食べるように工夫する
- 交流の必要な演習を入れる
- 研修後の交流ができる時間を確保する
- 研修後の懇親会のような交流の場を用意する
細かいやり方にこだわりはありませんが、なるべく早いタイミングで交流をさせることがもっとも重要で、その後の研修はスムーズに進みます。
逆にお勧めしないのは交流と対面研修の良さを生かせないツールの活用です。リモート環境で役に立ったツールも対面研修で常に有効かといえばそうではありません。たとえば
- デバイスを使った投票、質問などを多く入れること(周りの受講者よりデバイスに集中しがちになる)
- 教材を共有フォルダーに入れて、各受講者は自分のパソコンで確認しながら研修を進めること(ペーパーレスは良いが、受講者はパソコンに集中して交流できなくなる。パソコン中心だとリモート研修で十分と思う受講者も多くいる)。
4.対面の良さを引き出す演習の工夫
さきほど少し触れましたが、久しぶりの対面研修ということで演習を少し工夫すると対面の良さが強く引き出せます。お勧めの工夫は演習を増やすことです。というのは講師の解説はリモートでも対面でも変わりませんが、対面研修の良さが生きてくるのは演習だからです。
パンデミック後ならではのポイントは
- 演習の頻度を高めて、リモートワークでマルチタスクに慣れてしまった受講者を飽きさせないようにする
- 受講者の交流と情報交換につながるディスカッションを多く入れる。回答の決まったロールプレイやグループワークより有効です
- ディスカッションのテーマとしては仕事や職場の関連するテーマ、たとえば、職場の抱える課題、現場での悩み、研修内容を現場で生かすための工夫を行う。
などが考えられます。
5.対面研修の適切な位置付け
これまでお伝えしてきたポイントを参考にすると、対面研修は良くなりますが、そもそも対面研修の位置付けを明確にする必要があります。端的に言うと対面研修はできるからやった方が良いということではありません。
むしろ研修のデフォルトをリモート研修にしましょう。
参考「パンデミック前の対面主体研修に戻ってはいけない3つのポイント」
対面研修は、リモート研修で十分できない受講者の交流、ダイナミックな演習、特別な設備を使う時に限って企画するようにしましょう。そして受講者への期待を伝えることが重要です。なぜなら最近の対面研修ではパンデミック前では考えられないような受講態度がよく見られるからです。たとえば
- 講義中にパソコンを開いて、まったく遠慮しないでメールを始める
- 講師の解説中に無視してスマホでネットサーフィンを始める
- 筆記道具を持ってこないでメモを一文字も書かない
- 研修後に教材とゴミを残す など
これは、受講者がリモートワークでマルチタスクに慣れてしまっている上に、対面研修を受けていないため、期待されているマナーやルールがわからないケースが多いからです。人材育成担当者として怒らないで、ガッカリしないで、まずそのルールを先に説明することをお勧めします。
最後ですが、講師にも課題が残っています。パンデミック前の対面研修を思い出すと講義中心の一方通行の研修が多かったことを忘れてはいけません。リモートになってさらに一方通行の講義中心に慣れた講師が多くなっています。でも、効果的な対面研修をするなら演習中心のインタラクティブな研修が必要です。それができるように講師のトレーニングとスキルアップが必要です。
6.クロージング
人材育成担当者の努力と最新技術の導入でパンデミックを乗り越えた今日、対面研修、リモート研修、オンデマンド研修のどれも実施可能です。どの企業でも対面研修を増やす方向にありますが、以前に戻るのではなくこのコラムのヒントを参考にして意味のある効果的な対面研修を目指しましょう。
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