マネジャー昇格3年目までに覚えたい“普段づかい”のマネジメント 第5回
1on1で何を話している?
すっかり一般用語として定着した感のある「1on1(ミーティング)」ですが、皆さんの所属企業でも活用が進んでいるでしょうか?
「なんとなく、やることが推奨されているから」「制度上、決まっているから」という理由で実施されている方も多いのではないでしょうか?
1on1はそもそもメンバーのための時間のはずなのですが、各種記事などでは部下側からの「1on1で話すことがない」「上司のための時間になっていて憂鬱」という声が上がっています。そうなるとマネジャーとしても「正直やりづらいな・・・」と思ってしまうのではないでしょうか?
本記事では、
- 1on1は決められているので実施しているが、あまり効果実感がない
- しばらく続けていたが、忙しくなり止めてしまった
というようなマネジャーの皆さんに、改めて、1on1をやってみたいなと思ってもらうことを目的にしたいと思います。
参考:
第4回 年上の部下を持ったらどうする?
第3回 マネジャーとしていかに良いチームを作るか?
第2回 第2回 煩わしい目標設定をマネジメントに生かすには?
第1回 マネジャーになってからのこと、ふりかえってみませんか?
目次
そもそも、なぜ1on1が必要なのか?
この問いに答えることからスタートしてみたいと思います。
本来の1on1は通常仕事をしている中ではなかなか話題にできない・話す時間がとりにくいことを、あえて時間を確保してマネジャーとメンバー間で対話するための時間です。
もちろん、緊急対応などでどうしても業務の話をしなければいけないこともあるでしょう。しかし、本来のテーマは「今」の「業務」のことではありません。
忙しい毎日の中ではなかなかお互いに話せないことを、定期的に話す場が1on1です。
しかし、お互いの忙しさ(特にマネジャーの多忙さ)により、1on1の時間がやっとまともに業務の相談ができる時間になってしまう場合もあるでしょう(「課長、あのメールの件ですが・・」と冒頭から切り出される、など)。しかし、そうなると本末転倒です。
1on1でやりたいこと
本来のテーマは「今」の「業務」のことではない、と書きましたが、では何の話をするのが良いのか? ということをお伝えしたいと思います。
まずもって、行いたいのがメンバーとの関係構築です。様々なテーマで対話していくためにも、ある程度オープンに話せる関係性をメンバーと作っておけるのが理想です。
現代のマネジャーはこの距離感に悩むことが多いかと思いますが、ざっくばらんに話せる関係性を作ることに、まずは集中しても良いぐらいです。メンバーが話したいと思うこと(趣味でも、仕事についてでもOKです)について、たくさん聞いてみましょう。
次に、1on1でできるとよいことは、メンバーのコンディション把握です。体調面はどうか? 仕事に対するやる気はどうか? など、様子の変化をとらえながら、今どのような状態なのかを把握します。当然、本人がどう感じているのかを言葉にしてもらうことは重要でしょう。マネジャーに対して安心して自分のコンディションを伝えられる、そしてそのための時間があるとメンバーが思ってくれていれば、安心感が高まります。
そして、振り返りの支援です。
メンバーの取り組んだ仕事について、「結果をどう受け止めるか?」「次にどう生かすか」といった、仕事からの学びを具体化していくことを手助けする時間です。
1つの仕事の区切りや、マネジャーとして気になる事象があった際には、このアプローチをとっても良いでしょう。
最後にメンバーとの関係構築もでき、コンディションも把握できるようになった、仕事の振り返りもできているとなれば、「未来」に視点を移していきます。「未来」のこととは主に以下のような内容です。
- 次にしたい仕事のこと
今後、どういうことに取り組んでいきたいのか? 取り組むべきだと思うか? ということについて話します。メンバー自身がやりたいと思っていることもあるでしょうし、チームとしてやったほうがいいことのアイデアが生まれる可能性もあります。
最初は聞いてもなかなか出てこない、ということがあるでしょうが、問いを定期的に投げかけることで、メンバー側にも考える視点ができてきます。 - キャリアのこと
メンバー自身のキャリアのことです。将来どのようになりたいと思っているのか? どんな仕事をしていきたいと考えているのか? などやや中長期的なことについても会話をしましょう。もちろん、出てきた話を全て叶える、ということは不可能ですが、本人も不明確な将来像についてマネジャーが共に考える姿勢を示す、ということが重要です。
まとめると、1on1の目的には以下のようなバリエーションがあると言えるでしょう。
[2]コンディション把握
[3]振り返りの支援
[4]未来に向けた会話
必ずしも、この順序で進めなければならない、ということはありませんが、[1]から進めていくことを推奨します。もちろん、回によっては行ったり来たりしながら会話することになるでしょうが、それもOKです。
さらに、どの目的の1on1でやろうとしているのか? はメンバーに冒頭で明示するとよりよいでしょう。慣れてくるとメンバー側からも、「今日はこのテーマで話したいです」と言ってくれるようになるはずです。
現実的にどう日常に取り込んでいくか
1on1の目的のバリエーションは分かったが、常にこのような意図的な1on1ばかりできるか? というとそうではないと思いますので、メリハリをつけ、ポイントポイントでメンバーにとって有益な時間を作っていければいい、という割り切りが必要です。
お勧めは、第2回(煩わしい目標設定をマネジメントに生かすには?|@人事プライムコラム (at-jinji.jp))でお伝えした、目標設定(面談)および、中間面談を起点にすることです。
おそらく、目標設定→評価は半年のサイクルになると思いますので、目標設定時にやりたい仕事やキャリアの話をしておくことで、折に触れてその話題を持ち出すことは自然に行えるはずです。
そうすることで、少なくとも3カ月に一回は「未来」について話す。それ以外の場面では、日常の問題解決に加え[1]関係構築[2]コンディション把握[3]振り返りの支援を狙っていく、とするのが現実的ではないでしょうか?
また、皆さんの悩まれる1on1の頻度と時間ですが、毎週30分、隔週で1時間などが理想的です。難しい場合は、定期的に「今」の「業務」のこと以外を話す、ということを重視して、自分に合ったスケジューリングをしてみてください。
業務については、1on1以外で時間を取り、気軽に相談してもらえていて解決できているという場合は、頻度を少し下げても良いでしょう。
リモートワーク対応
皆さんの中には、リモートワークと出社とをハイブリッドで組み合わせた形態で勤務されている方もいらっしゃると思います。その場合、メンバーと対面で1on1がなかなかできずにオンラインで実施という場合もあるでしょう。
前述の目的によっては、オンラインに適したものとそうでないものがあります。
[1]関係構築 [2]コンディション把握については、できれば対面の方が良いでしょう。オンラインでは得ることの難しい、非言語情報もこれらのテーマには重要な情報です。また、対面の方が初期の関係構築には効果的だと考えられます。
一方で、関係構築ができており、コンディションに懸念が無ければ、[3]振り返りの支援[4]未来に向けた会話はオンラインでも実施が可能でしょう。
多少煩雑にはなりますが、メリハリをつけた1on1実施に向けて、目的×形式(対面・オンライン)×頻度を自分なりにデザインしてみてください。
このように1on1のあり方について述べてきましたが、改めて、重要なのは、メンバーにとっての時間であるということが大前提です。
加えて、マネジャーであるご自身の「持続可能な」1on1の形式を探り、すべての1on1で明確な成果を求めず、必要な場面で狙った対話ができるように活用していただければと思います。
少し肩の力を抜いて、1on1に取り組んでいただくヒントになれば幸いです。
>>>【第5回】 『同僚のマネジャーと話していますか?』
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