【解説コラム】勤怠管理の基礎知識からおすすめのシステムの選び方まで(2023年最新版)

効果的な勤怠管理システム導入のための、システムの選び方と活用法とは?

勤怠管理は、「出勤・退勤の時間を記録する」という単純なものではありません。生産性の最適化、従業員のモチベーションの維持、法的リスクの回避という、健全な企業運営に深く関わっています。

適切な勤怠管理を行うことで、業績の向上、コスト削減、法令遵守が可能になり、従業員にとっては、適切な労働時間の確保や、オーバーワークによる健康リスクの回避が期待できます。
さらに、人事・総務担当者の業務効率化につながるのです。さまざまな利益をもたらす勤怠管理システムを導入することは、企業が持続的に成長し続けるためのキーとなります。

この記事では、主に初めて勤怠管理システムを導入する企業や新たにシステムの買い替えを検討している企業に向けて、2023年最新版にアップデートされた、導入のメリットやシステムの種類といった基礎知識を中心に、具体的な選び方のポイント、さらに11ケースの状況別(課題別)おすすめ勤怠管理システムについて解説します。

※この記事は、@人事編集部が企画・制作をした、2023年9月6日公開の@人事e-book「勤怠管理システムの基礎知識と選び方」の内容を編集して構成しています。

目次

  1. 勤怠管理システムの機能と導入するメリット
    メリット1:従業員の勤怠情報を正確に管理できる
    メリット2:総務担当者の作業を効率化できる・人事
    メリット3:労働基準法違反を防ぐことができる
    メリット4:国内外で働く従業員の勤怠情報を一元管理できる
  2. 勤怠管理の方法
  3. 勤怠管理システムの種類
  4. 打刻方法の種類
  5. 勤怠管理のトレンドと法改正対応
  6. 勤怠管理システムの選び方
  7. 【ケース別】おすすめの勤怠管理システム

勤怠管理システムの機能と導入する

メリット1:従業員の勤怠情報を正確に管理できる

勤怠管理システムを利用すれば、従業員の勤怠情報をシステム上で正確に管理できます。集計時のミスを防げるだけでなく、作業にかかる時間を短縮できたり、従業員の不正を防げたりするメリットもあります。具体的には、以下の機能が役立ちます。

打刻
従業員が出勤・退勤した時刻を登録する機能です。
登録した時刻はシステムに勤怠情報として記録され、人事評価や給与計算に利用できるようになります。打刻には右の表のような方法があります。

注意点として、パソコンやタブレットを打刻機器として利用する場合、外部機器を購入する必要はありませんが、従業員による不正打刻を防ぎにくい懸念があります。指紋認証や静脈認証などを利用すれば本人確認が可能になりますが、指紋リーダーなどの外部機器の購入やレンタルが必要になります。

勤怠集計
打刻データを基に、出勤日数、勤務時間、残業時間、深夜残業時間などを集計する機能です。事前に設定した残業開始時間や休憩時間を登録しておくことで、自動的に集計できます。

休暇管理
従業員の休暇を管理する機能です。休暇申請から管理者の承認までのフローをシステム上で完結させ、承認された休暇をシフトへ自動反映します。

申請・承認フロー
従業員の残業や休日出勤の申請、そしてそれに対する管理者の承認を効率的に行う機能です。会社の就業規則に応じた設定が可能で、迅速な承認フローを実現します。

シフト作成
従業員のシフトを効率よく作成する機能です。従業員からの出勤希望をもとに、管理者がシフトを組み立て、公開します。システム上でのシフト作成は、勤怠情報の正確な集計にも寄与します。

メリット2:人事・総務担当者の作業を効率化できる

勤怠情報を集計するだけでなく、人事・総務担当者の業務をサポートする多様な機能を有しています。
給与計算のスムーズ化、従業員への就業規則の遵守促進など、さまざまな業務の効率を高めます。主な機能として以下のものが挙げられます。

データのダウンロード
勤怠管理システムが持つデータをダウンロードする機能です。勤怠情報をPDF、エクセル、CSVファイルへ変換して保存可能です。

工数管理
従業員の作業時間を管理する機能です。出勤・退勤時刻以外に、各作業にかかった時間を管理でき、プロジェクトごとの収益性が分析可能です。

給与計算ソフトとの連携
勤怠情報と給与計算ソフトの連携機能です。一般的には、勤怠情報をCSVファイルにしてダウンロードし、給与計算ソフトに取り込む形がとられます。API※連携が可能なサービスを利用することで、勤怠情報を直接ソフトへ取り込むこともできます。

※API:アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)。ソフトウエアやプログラム、webサービスの間をつなぎ、OSやアプリケーションの一部を他のアプリケーションから利用できるようにする

食事管理
打刻時に食券の発券や弁当の注文ができる機能です。一部のシステムでは、その場で電子マネーによる決済も行えます。

プッシュ通知・アラートメール
特定の条件を満たしたときに画面上でプッシュ通知を表示したり、従業員にメールを配信する機能です。出勤時刻を過ぎても打刻がなかったり、残業時間が上限を超えた場合などに、従業員や管理者へ自動で通知されます。

メリット3:労働基準法違反を防ぐことができる

36協定チェック
従業員の勤務時間が36協定に従っているかを確認する機能です。
36協定とは、労働基準法36条に基づく時間外労働の上限を定めたものです。事前に36協定の内容を登録することで、勤務時間が規定を超える際にアラートが表示されます。さらに、作成したシフトが法令に違反していないかを確認できる機能もあります。

法改正対応
主にクラウド型の勤怠管理システムは法改正にも対応しているため、法令違反を犯すリスクの回避につながります。
2019年4月1日以降、順次施行されている「働き方改革関連法」によって時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化、月60時間超割増賃金率引上げなど、労働規制が次々と変化していますが、これらの変更点にもアップデートで適応できます。

メリット4:国内外で働く従業員の勤怠情報を一元管理できる

多言語対応
システムの言語を英語や中国語などに切り替えることができる機能です。外国籍の従業員を雇用する際に、対応言語を確認することが必要です。

海外向けサポート
海外各国で導入支援経験のあるスタッフが、問い合わせ対応などを日本語・英語などでサポートする機能です。
異なる言語や文化の下での勤怠管理の課題をスムーズに解決できます。

タイムゾーン設定
各事業所のタイムゾーンを切り替えることができる機能です。
複数国に拠点がある場合、それぞれのタイムゾーンに合わせて時刻の正確な集計が行われます。

勤怠管理の方法

勤怠管理の方法は、時刻を記録する手段によって4つに分けることができます。
発生するコストや人事担当者の負担が大きく異なるため、会社に合った方法を選ぶことが大切です。

勤怠管理システムの種類

勤怠管理システムは、クラウド型やオンプレミス型などのシステムの違い、機能の数など、さまざまな切り口で分類することができます。

システムによる分類

タイムレコーダー型
出退勤の記録のみができる最もシンプルなものです。打刻方法には「ICカード」「指紋認証」「静脈認証」などさまざまな形態があり、精度が高くなればなるほどセキュリティ性能も高くなり打刻の不正を防止できます。ただし、高精度の打刻機は高額になります。

クラウド型
サービス提供会社の保有するサーバーに設置された勤怠管理機能を、ネットワーク経由で利用します。コストが抑えられ、簡単な設定のみですぐに利用できるメリットがありますが、自由なカスタ
マイズが難しく、インターネット接続がない環境では利用できません。

オンプレミス型
自社で保有するサーバーにソフトウエアをインストールし、勤怠管理システムを構築します。自社のネットワーク環境でシステムを構築・管理するため初期費用は高くなりがちですが、その分セキュリ
ティ面に強く、自由にカスタマイズできるというメリットがあります。

機能の数による分類

シンプル型
勤怠管理に必要な、打刻、勤怠集計、休暇管理、各種申請フローなどの機能をパッケージにしたサービスです。必要なサービスだけを利用したい場合におすすめです。

統合型
勤怠管理だけでなく、人事担当者が行う労務管理や給与計算などさまざまな業務を、一元的に管理するシステムです。
人材に関するデータを集約し、人材開発や人員配置などのタレントマネジメントに生かすサービスの開発も進んでいます。

対応業種による分類

多業種向け
さまざまな業種で利用できるように開発されたものです。機能の数はサービスによって異なりますが、一般的なオフィスで広く利用できるように設計されています。

特定業種向け
業界特有のニーズを踏まえて開発されたサービスです。具体的には以下のようなものがあります。

<運送会社向け>
GPSを活用して、ドライバーの走行距離を記録。車両の情報を登録し、車両台帳として管理できる。
<介護業者向け>
シフトを作成する際、法令で定められたスタッフの必要人数を満たしているか確認できる。

打刻方法の種類

勤怠管理システムを使う際の打刻方法にも、多くの種類があります。「外回りの従業員が多い」「不正打刻がある」「打刻忘れが多い」など、会社ごとの事情を踏まえて打刻方法を選ぶことが重要です。

勤怠管理のトレンドと法改正対応

働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業がテレワークを導入しました。
ポストコロナに移行してからは、出社とテレワークを掛け合わせたハイブリッドワークに変わった企業もあります。

テレワーク

自宅など、オフィスとは別の場所で働くスタイル。
遠隔地での人材を雇用できたり、ワーク・ライフ・バランスを実現できたりするなど、企業・労働者双方にメリットがある。

ハイブリッドワーク

テレワークとオフィスワークを組み合わせたスタイル。
従業員の業務内容や置かれている状況に応じて効率の良いスタイルを選択でき、どちらの働き方のメリットを享受できる。

人事労務担当者はここをチェック!

常時出社勤務と異なり、テレワークは管理者側が従業員の働く様子を直接確認できません。また、在宅での勤務時は仕事と仕事外の切り分けがしにくく、結果として長時間勤務になってしまうことも。そのため、不正打刻や超過労働が行われていたとしても気付きにくくなります。テレワーク時の適切な勤怠管理を実現するために、以下の点に注意しましょう。

テレワークに対応した機能が備わったシステムを選ぶ
●オフィス外でも打刻できる機能、GPSなどの不正打刻防止機能が備わっている
●フレックスタイムやスライド勤務に対応したシフト作成や打刻ができる

管理者および労働者の業務に適した勤怠管理ルールを制定する
●深夜労働・休日労働は原則禁止
●例外的に行う場合は事前に上司の許可が必要とする など

2023年以降の労務関連の法改正ポイント

勤怠管理に深く関係している労働法は改正されることが多く、知らないうちに法令違反していたという事態を防ぐためにも、人事労務担当者は法改正にも迅速に対応する必要があります。

中小企業の残業割増 / 賃金率引き上げ

月60時間を超える時間外労働の割増賃金率について、2023年4月1日に施行した改正労働基準法では大企業・中小企業を問わず、一律50%となりました。

給与のデジタル払い
近年のキャッシュレス決済の普及状況を踏まえて、給与のデジタルでの支払いが可能になりました。

時間外労働の上限規制
業務の特殊性や取引慣行の課題がある一部業務(下記枠内4つの事業・業務)は、2019年(中小企業は2020年)より適用されていた時間外労働の上限規制について5年間の猶予と特例付きの適用がされていました。2024年4月からは猶予期間が終了します。

●工作物の建設の事業
●自動車運転の業務
●医業に従事する医師
●鹿児島県及び沖縄県における
●砂糖を製造する事業

【おわり】


e-bookでは、今回紹介しきれなかった、「勤怠管理システムの選び方」「【ケース別】おすすめの勤怠管理システム」を紹介しています。システム導入を成功させるためには、自社に適したシステムを選ぶことが大切です。ぜひ、このe-bookを活用して、システム選びの際の参考にしてください。

記事企画:@人事編集部

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今回コラムで紹介したe-bookはこちらよりダウンロードできます。
https://at-jinji.jp/library/577

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