課題解決のための予約管理最前線 Vol.1
健康診断における予約管理の効率化と平準化~慣れている業務こそが効率化のカギ~
2015年12月から施行されたストレスチェックに代表されるように、注目が集まる健康経営。その基本的な取り組みとして、定期健康診断の実施があげられる。しかし人事担当者にとっては、受診日の調整・受診先とのやり取リ・未受診者への催促、健診後のデータ管理・保健指導、報告書の提出など、「健診は複雑かつ手間がかかる業務」である。従業員数が多く、雇用・勤務形態・拠点が多岐にわたるほど、その認識は強くなるはずだ。そこで今回は、受診日の予約管理に焦点を当て、効率化と平準化について事例を交えながら解説する。
人的コストを試算することで見えるムダ
健診の時期になると、受診日の予約調整で時間をとられ、本来の業務に専念できず残業が続く……。そんな経験をした方も多いのではないだろうか。
ある企業では受診日調整のため、社員アンケートで第3希望まで確認をし、エクセルで日程調整後、マネージャーを通じて確定した日程の告知を行う。さらに告知後も予約変更があった場合はメールや電話で再調整を行っていたという。仮にメール返信・再調整などで社員一人に対して平均5分かかるとしたら、社員数3,000人の企業では約250時間を要することになる。これは1日の勤務時間を8時間とすると、ゆうに1カ月分以上に相当することになる。
社員の健康管理やリスク回避が健診の目的であるにもかかわらず、予約調整だけにこれだけの人的コストを割くことは、はたして効率的といえるだろうか。
単純・繰り返し・手戻り作業は業務改善のチャンス
受診日の予約調整は毎年の恒例業務とされ、業務効率化からは見落とされがちだ。しかもこれらは単純・繰り返し作業が続き、かつ予約変更など手戻りも多い作業となっている。このような作業ほど業務改善を見直すチャンスなのである。
改善策として、新たなリソース(人員)の追加、アウトソーシング化など様々な選択肢があるが、その中の一つに「システムによる自動化」がある。予約受付を自動化することで、業務の負担が削減でき、さらに入力間違いなど人的ミスによるリスク回避にもつながる。
平準化は現場業務を効率化する
システム化のメリットはそれだけではない。システムにより空き枠の可視化・受付数の自動制御が可能になり、集中を回避し特定の受診日時の混雑を防ぐことができる。つまり平準化である。
ある企業では、社員ごとに受診日時を指定して一斉に告知をしていたが、現場に勤務する社員は突発的な予定変更も多く、受診日が変わるたびに担当者が電話・メールで対応に追われていた。そのため受診者が特定の時間帯に集中する、急に空き時間ができるなどの問題が発生していたという。そこで混雑を平準化し、現場の非効率回避策として、予約システムを導入した(下図「システム導入前後の平準化イメージ」参照)。
具体的にはシステム側で過剰供給(健診受け入れ枠以上の申し込み)を制御(防止)し、空き枠から予約が埋まることで平準化される仕組みだ。健診会場の集中を分散することで、現場担当者が業務に専念でき、生産性の向上につながったのである。
また人事部を通すことなく社員が自分で日時調整を行える環境も同時に実現した。
( 予約ラポ:健康診断における業務効率化のカギは予約と平準化 【清水建設株式会社インタビュー】より)
健診予約を社員の自主性に任せることで懸念されるのが受診率の低下だ。しかし、もともと受診率100%であったこの企業は、導入後も受診率が下がることはなかった。健診予約でシステムを導入した他の企業も同様に受診率低下は見られなかった。
これはシステム導入の有無にかかわらず、社員へ健康管理の重要性を浸透させる努力を行ってきた、人事部の働きかけが大きな要因となっているのだろう。
「いつもやっていることだから……」「改善するものがない」と思われる「慣れている業務」こそ、オペレーションをステップごとに見直すことで、業務効率化の第一歩となるのではないだろうか。
【企画・監修:@人事編集部 広告制作部】
※この記事はフリーマガジン「@人事第6号」(2017/1/16発行)掲載記事を再構成しています。
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