第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社

人的資本経営のトレンドは、採用ブランディングのチャンス。活用術と事例を解説!

はじめまして。株式会社No Companyの代表取締役を務める秋山真です。当社は、SNSデータの分析を起点とした採用マーケティング支援のソリューションを提供しており、企業の新卒採用・中途採用を支援しています。多くの企業で「誰にどうコミュニケーションしたら良いのか」わからないという戦略策定のニーズが高く、独自のソーシャルリスニングツール『THINK for HR』を活用して、働く人や求職者のニーズ・トレンドの変化を分析し、Z世代やSNS世代に刺さる採用コミュニケーションの立案や実行などのサポートを行っています。

2023年に情報開示が始まる人的資本経営について、HR業界ではすでに多くの方が注目していると思います。採用担当者はこの潮流に乗って、採用ブランディングの施策をアップデートすることで、今の取り組みを最大限に活かすチャンスがあります。また、SNSでも企業の人的資本経営が注目されており、多くの就活生や求職者が、SNSを情報源として、企業の働く環境をチェックしています。

こういった流れがあり、採用ブランディングに成功している企業は、SNSを発信の場だけでなくデータも上手に活用しています。この記事では、「人事担当者が人的資本経営のトレンドを採用活動にどのように活かすべきか?」をテーマにSNSの活用方法と併せて、他社事例も交えながら紹介します。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目次

  1. 「人的資本経営」における、人事担当者の役割は何か?
  2. 今、採用ブランディングに欠かせないSNS
  3. SNSデータを活用した採用ブランディング手法を解説
  4. SNS上で注目を集めている、人的資本コミュニケーションの事例(3選)
  5. まとめ

「人的資本経営」における、人事担当者の役割は何か?

採用活動は企業にとって非常に重要な経営課題の一つであり、その中でも特に人材紹介エージェント(以下「エージェント」)との付き合い方は、採用成功の鍵を握る大切な要素の一つと言えます。そのためには企業側がエージェントについて良く理解し、関係構築を適切に行い、採用活動を推進する必要があります。
今回は「採用を成功させるための人材紹介エージェントとの付き合い方」について、詳しく解説していきたいと思います。

<人的資本経営・人的資本経営の開示とは?>

「人的資本経営」が注目される今だからこそ、それを追い風にして採用活動を強化することができます。本題に入る前に、まず人的資本経営とは何かについて簡単に触れておきたいと思います。

■人的資本経営とは:
人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方
(参照:経済産業省「人的資本経営~人材の価値を最大限に引き出す~ 」


人的資本経営に取り組むことは、人材・組織の現在的な価値を把握することで、改めて人事戦略や、人材の採用・育成において、より戦略的に価値向上に取り組むことができるため、企業の競争力向上にもつながると考えられています。そういった背景もあり、近年では、持続的な企業価値の向上につなげる新しい経営のあり方として人的資本経営が注目されています。

有価証券報告書では、19項目の情報開示が求められます。このうち、「女性の管理職比率」、「男性育児休業取得率」、「男女間賃金格差」といった、求職者にとって昨今特にニーズの高いテーマが3項目含まれています。つまり人的資本経営は、求職者のニーズに対応するために人事担当者が注視すべきトピックなのです。

今後、企業は自社の人的・組織的課題を洗い出し、人事方針を打ち出し、社内の環境改善や人材育成に取り組むことが求められるのです。そして、取り組みと情報開示だけでなく、投資家・求職者・従業員などのステークホルダーに対して、コミュニケーションを図ることでより企業価値の理解・浸透に繋がると考えられています。

<なぜ人的資本経営が人事担当者にとってチャンスなのか?>

人的資本経営を強化することは、組織の価値や、働く環境としての魅力が増すことにつながります。つまり、自社の魅力や強みといった“切り口”を増やすチャンスでもありますし、それを学生や求職者などの採用ターゲットに向けて発信する機会にもなります。また、採用市場においても、この視点で企業を評価する傾向が高まっていくでしょう。こういった意味で、人的資本経営の潮流に乗って採用ブランディングを行うことは人事担当者にとって大きなチャンスだと感じます。

<人的資本経営に足りないもの>

ここで人事担当者が考えなければならないのは、有価証券報告書に載せて開示する情報をどのように求職者や従業員に伝えていくのか?という視点です。

有価証券報告書では主に定量的なデータを公開するため、採用ターゲットが本当に知りたがっている組織ビジョンや働く人のストーリーや声などの情報を伝えるためには、有価証券報告書という手段以外のコミュニケーションを実践する必要があります。

定量的なデータのみの開示で、人的資本における求職者や従業員に対するコミュニケーションが不十分だと、せっかくの自社の強みや魅力が届かず終わってしまうので、採用視点ではもったいない課題と言えます。

これらの理由から、採用担当者の方は組織のビジョンや、人的資本の中でも自社が強化している領域(働き方や制度など)を、社員の価値観やストーリーと一緒に伝えることが重要です。また、伝える内容がより伝わりやすいフォーマットやメディアを選び、コミュニケーション施策に落とし込むことが大切です。

今、採用ブランディングに欠かせないSNS

SNS上でも企業の人的資本経営が注目されていますが、一方で多くの就活生や求職者がSNSを就活・転職の情報源にして企業研究をしています。実際に、ここ数年で採用ブランディングを成功させている企業は、SNSのデータを活用することと、発信場所として活用することを併用しています。
この章では、採用担当者の方がどのようにSNSを活用したらよいか活用法を紹介していきます。

<求職者のインサイトを知るためのSNS>

多くの採用担当の方が既にSNS活用の重要性を把握されていて、SNSを「発信の場」として活用するのが一般的かと思いますが、実は活用術が他にもあるのです。なぜなら、SNSには、ユーザーの投稿やいいねといった反応など、非常に多くの生活者の行動やインサイトのデータが蓄積されているので、働き方やキャリアなどにおける求職者の価値基準やインサイトを分析し、把握するためには最高のツールだからです。

働く人が何を基準にして企業選びをしているのか、そのマインドや価値観も常に変化していくものですので、SNS上で情報収集することは採用広報担当者にとって重要な作業だと捉えています。“SNSを「発信の場」として活用するだけではもったいない”と述べましたが、インサイトを知った上で自社の打ち出すポイントを決めたり、コミュニケーションを図ることで、結果的に自社の採用ブランディングをより効果的に行うことができるのです。

通常は、弊社のサービスであるSNSデータ分析ツール「THINK」を活用していますが、Twitterでキーワードを検索するだけでも傾向が見えてきます。このような方法でも、簡単に情報収集が可能です。

参考:「THINK」について
https://www.no-company.co.jp/service

SNSデータを活用した採用ブランディング手法を解説

この章では、実際に収集したSNS上のデータ(インサイト)をどのように採用ブランディングに活用していくかといった具体的な手法を紹介していきます。

【人×媒体×メッセージ】

誰を主語に、どんな媒体で、どんな切り口で発信するかを組み合わせることで、コミュニケーションの起点となるコンテンツを考えることができるフレームワークです。

例えば、【自社の産休・育休支援制度】について打ち出したい場合、下記の手順で整理して設計していくとよいでしょう。

・まずは、「産休」「育休」などに関して既にSNS上でいいねを多く集めている記事など、注目を集めているコンテンツを分析し、キーワードや切り口を分析します。記事の内容と切り口の特徴を見ていくことで、ターゲットに対してどんな切り口・メッセージで発信すべきかという参考の材料になります。実際の分析例でいうと、「産休・育休の取得」だけでなく、大事なのはその際に社内にコミュニケーションしやすい環境があるのか、またそれが組織的なビジョンやスタイルと紐づいた考え方になっていると、心理的安全性が高い組織として魅力的に伝わる。などがSNS上では共感が得られており、産休・育休に関わる周囲の社員との関係性や会社の組織ビジョン・カルチャーなどと紐づけた切り口は共感性が高い、などの示唆になります。

・次に、どの人を主語にするかという語り手を決めます。働く人・求職者の共感を呼ぶために誰に語ってもらうかは重要な要素の一つです。

・最後に、媒体の選定について。採用サイト、オウンドメディア、外部メディア、SNS、動画メディア、Podcastなど、SNS以外にも共感を呼びやすい媒体がたくさんあります。発信するチャネルとしてSNSのみならず、SNSと連動しやすいWEBメディアやプラットフォームを活用することで、よりターゲットと日常に近いところでタッチポイントをつくれる可能性が高まります。

以上のフレームワークを実践していくことが、求職者の共感を生むコンテンツ作りを成功させるための第一歩になります。今後、採用ブランディングにおいて、人的資本経営の項目を打ち出す際などには、このフレームワークをぜひ活用してみてください。

SNS上で注目を集めている、人的資本コミュニケーションの事例(3選)

ここまで、人的資本経営の概念や、SNSのデータを活用した採用ブランディング手法について紹介してきました。この章では、人的資本経営に関わる取り組みを通して求職者や従業員と上手にコミュニケーションを図っている注目企業の事例を紹介します。私なりの考察を踏まえて、人事担当者にとって参考にしていただけるポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

マネーフォワード:産休育休ガイドブック

・内容:妊娠・出産・子育てや復職に関する制度やお金などのさまざまな情報、また実体験にもとづいた従業員のインタビューをまとめたブック。
・媒体:オンラインで閲覧可能なPDF資料を公開
・考察:制度の記載だけでなく、ご自身が出産された方やパートナーが妊娠し育休を取得した方&その上司のインタビューがまとめられていて(全部で40ページほど)、かなりコンテンツの内容が充実しています。
元々はインナーブランディング(社内向け)のために作ったそうですが、現在は求職者も読めるコンテンツとしてポータルサイトで掲載しています。
「マネーフォワードであれば安心して産休育休が取得できる」と一回読んだだけで思える内容になっていると思います。

・人事担当の参考ポイント:
└通常の企業だと、制度が書いてあるだけなのですが、このガイドブックは、社員の想いや、体験などもインタビューなどで盛り込まれているのが良い点。
└社内だけで展開していた社内報やガイドラインなどの資料を、社外にも公開してみること。
└イラストを用いたデザイン、URLからクリックして確認できる仕様など、スマホでも閲覧できて理解しやすい資料であること。

サイボウズ:研修内容の公開

・内容:エンジニア新人向け研修用の講義資料を公開
・媒体:「サイボウズエンジニアのブログ」上で無料公開
・考察:Cybozuでは、2018年から約3ヶ月間の研修資料を求職者やエンジニア向けに公開しています。エンジニアにとって「どんな技術が得られるか」「スキルアップに繋がるか」は企業選びにおいて重要な軸だと思います。入社後にどんな育成システムなのか、得られるスキルはどんなものがあるかなどが把握できると興味関心の度合いが上がり、応募の動機形成がしやすくなるのではないでしょうか。

・人事担当の参考ポイント:
└エンジニア職に限らず、研修や育成システムに関連する資料を公開してみる。

メルカリ:YOUR CHOICE

・内容:メルカリが2021年9月1日より導入した、リモートワークなどワークスタイルを自ら選択できる制度「YOUR CHOICE」の活用状況をインフォグラフィックで公開。
・媒体:コーポレートサイトで公開
・考察:働き方とかリモートワークといった求職者にとっても注目される領域で、実際の社員が制度をどのように活用しているか実態の情報開示を行っています。また、インフォグラフィックで数値やデータがひと目で見やすく、SNS上でもエンゲージメントが高いニュースとして取り上げられていました。

・参考ポイント:
└多様なメンバーが「自分らしい働き方」を実現しバリューを発揮するために、働く場所や住む場所、働く時間などを自由に選択できる制度を導入。その制度を実際に社員がどのように活用しているかの“実態”を開示することで、入社後の働き方のイメージを醸成でき意欲UPが期待できる。
└その際にインフォグラフィックで数値やデータがひと目で見やすくまとめると情報が伝わりやすく、拡散もされやすい。

まとめ

今回は採用ブランディングを起点に、人的資本経営のトレンドを読み解き、実際に採用活動に活かせるノウハウや事例について紹介しました。

産休・育休制度や働き方に関する制度など、人的資本への投資によって得られた「企業・組織価値」を積極的に発信することが、採用ブランディングにつながることがご理解いただけたのではないでしょうか。弊社でも、「人的資本経営の開示に向けて、どのように採用ブランディングを行えばよいか?」という相談が徐々に増えてきていることを受け、私自身も支援方法を模索する日々です。
まずは、Twitterでエンゲージメントの高いニュースを探すことから始めるのも、ひとつの手かもしれません。
今回ご紹介したフレームワークを実践していただき、貴社の採用ブランディングに少しでも役立てば幸いです。

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