採用を成功させるための人材紹介エージェントとの付き合い方
はじめまして!ワミィ株式会社の代表として、企業向けにエンジニア採用のコンサルティングやRPO、IT・DX関連の人材育成などに従事している伊藤和歌子と申します。元々私自身がインターネットの会社でITエンジニアや人事をしていた知見を元に、エンジニア採用にお困りの企業様を採用成功へ導くためのお手伝いをしています。
「人事の仕事」と聞いてどんな仕事を思い浮かべますか?制度設計・採用・研修・労務・組織開発・ダイバーシティ推進等、様々な仕事の種類があり、細分化・多様化してきています。最近では “HR Tech” という言葉もよく耳にするようになり、人事担当者もテクノロジーの領域に詳しくなる必要が出てきました。
テクノロジーの進化に伴い、従来は当たり前だった常識や手法が今となっては通じなかった・・・なんてことも発生しています。
本コラムでは、人事業務に携わる方々や経営者の皆さんに向けて、お役立ち情報をお届けしていきます。
今回は初回として「採用を成功させるための人材紹介エージェントとの付き合い方」と題し、お話をしていきます。
目次
採用を成功させるための鍵はエージェントとの付き合い方にある
採用活動は企業にとって非常に重要な経営課題の一つであり、その中でも特に人材紹介エージェント(以下「エージェント」)との付き合い方は、採用成功の鍵を握る大切な要素の一つと言えます。そのためには企業側がエージェントについて良く理解し、関係構築を適切に行い、採用活動を推進する必要があります。
今回は「採用を成功させるための人材紹介エージェントとの付き合い方」について、詳しく解説していきたいと思います。
採用市場における日本の状況~労働人口不足/IT人材は奪い合い~
はじめに、採用市場における日本の状況をご説明します。
【1】 深刻な少子高齢化による労働人口の不足
リクルートワークス研究所の「未来予測2040」の調査によると、日本は2030年には約341万人、2040年には約1,100万人の労働力不足が生じる可能性があります。
出典:「未来予測2040」(リクルートワークス研究所)
【2】 IT業界では特に人材不足が顕著
経済産業省のIT人材需給に関する調査によるとITニーズの拡大やテクノロジーの進化に伴い、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予想されています。
出典:IT人材需給に関する調査(経済産業省)
【3】 副業をする人や正社員・フルタイムではない働き方の増加
副業解禁等、働き方の自由化に伴い、フリーランスをはじめ「正社員・フルタイムではない」人たちの数が増加傾向にあり、2021年時点で国内のフリーランス人口は1,670万人で前年より約6割増えました(※1)。とくにIT系のフリーランス人材は「奪い合い」の市況です(※2)。
上記データから、労働人口は今後も不足し続け、中でもIT人材は奪い合いの状況、そして一つの会社にしか所属しない人やずっと一つの会社で働き続けるという人は減り続けているということが分かります。
※1 「国内フリーランス人口1670万人に、コロナ禍以降6割増」(日本経済新聞)
※2 「ITフリーランス、奪い合い」(日本経済新聞)
多様化する採用チャネルの中でも利用率1位はエージェント
近年、採用手法が多様化してきており、ダイレクト・リクルーティングやリファラルといった手法に加え、面談をすると求職者に報酬が支払われる新しい概念のサービス等も出現しており、従来と比べると採用手法は多様化してきています。
ある人事系メディアの調査によると、依然として、キャリア採用で利用している手段やサービスのトップは「エージェント」になり、すべての企業規模で7割を超えています。
つまり、自社の採用を上手く進めたいとしたら、まずはエージェントを使った採用活動を適切に実行するのが良さそうだということが分かります。
エージェントの立ち位置を理解し、エージェントと良好な関係を築く
エージェントと契約したからといって、自動的に人が紹介されるわけではありません。昨今の労働力不足・超売り手市場の市況下においては、なかなか紹介すらしてもらえない企業が多いのも現実です。ここでは、エージェントと良好な関係を築くためのいくつかのポイントを紹介します。
【1】エージェント担当者の「紹介しやすい一軍企業群」に入れるかが重要
エージェントは売上目標を持ち活動しています。企業によって設定にばらつきはありますが、中小エージェントの場合、年間1億円を売り上げられるエージェント担当者はプレイヤーとして優秀であると定義される場合が多く、大体一人前と言われる基準は年間売上5,000万を売り上げられる担当者です。
仮に年収400〜500万円の求職者を平均的な紹介料で成約させる場合は、エージェント担当者1人当たり月間2〜3名決めればよいことが多いです。つまりエージェント担当者は自分が案件として抱えている数百数千の企業の中から「成約しやすい」企業にフォーカスし優先的に紹介していきます。
理論だけで考えると「人数×給与×fee」で優先順位が決まりそうですが、加えて「企業の採用担当者と気持ちよく仕事ができるか」「応援したい企業かどうか」など、定量面だけではない感情的な指標もはいるでしょう。
上記指標を踏まえ、その担当者が「まず紹介する一軍企業群」の中に入れるかがポイントになります。
【2】こんな採用担当は嫌われる!5つの特徴
では「一軍企業群」に入るにはどんなことに気をつけたら良いでしょうか。当社が主催するセミナーのエージェントをテーマにした回で、「こんな採用担当がいる企業には紹介しない!」という声を主要エージェントのRA/CAの方々にヒアリングしたことがありましたので、記載します。
1.情報提供が不十分
会社情報や事業内容、選考フロー、合否理由の詳細フィードバック等、情報提供が不十分だと、求職者にも説明しづらく、なかなか紹介へ動くことができません。
2.選考スピードが遅い
求職者は10社〜ないしはそれ以上の企業に同時に応募することもあります。選考スピードが遅いとそれだけで離脱につながってしまいます。
3.相対するのが採用担当だけ
特にエンジニアやデザイナーのような専門職の採用の場合は、「事情をよく理解していない採用担当」だけでは対応が不十分なことがあります。エージェントとの打ち合わせに現場部門の人を出席させる、カジュアル面談のフェーズから現場部門に対応してもらう等、採用担当だけでなく、全社で採用活動をまわしていくようにする必要があります。
4.採用管理システムを導入しておらずオペレーションが煩わしい
採用管理システムを導入することは、採用数値の可視化や業務効率化、セキュリティ強化等、さまざまなメリットがありますが、エージェント側も求人内容の確認や求職者の推薦行為がしやすくなりました。
従来のようにレジュメにPWをかけてメールで送るというオペレーションをしている場合は、それだけでエージェントが躊躇してしまう可能性もあります。
5.採用要件が高い、ふわっとしている
冒頭にも述べたとおり、労働人口は減り続けており、特にITエンジニアは超売り手市場でオファー年収も高額になってきています。自社の希望を100%かなえる人材はいないという前提で、採用要件を決め、客観的に捉えられる定量的な要件で求人要件を定義する必要があります。
本質的には自社の魅力を再構築することも必要
給料が安すぎるとか従業員や経営者が魅力的でないとか将来性のない事業内容だとか、会社としての魅力がそもそも少ない状態で、「採用活動そのものとしてのエージェントとの付き合い方」を試行錯誤ところで採用には結びつき辛いでしょう。
採用活動自体だけでなく、並行して事業内容や環境、制度、条件等、自社の魅力を再構築していくことも本質的な採用成功へ向けて必要になります。【おわり】
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