マネジャー昇格3年目までに覚えたい“普段づかい”のマネジメント 第3回
マネジャーとしていかに良いチームを作るか?
連載3回目の今回は、マネジャーとしていかに良いチームを作っていくか?ということに焦点を当てたいと思います。
参考:
第2回 第2回 煩わしい目標設定をマネジメントに生かすには?
第1回 マネジャーになってからのこと、ふりかえってみませんか?
目次
職場の人間関係についての2つの特徴
1回目の連載でもご紹介したフレームを覚えていただいているでしょうか?
マネジャーには以下の4つの成果が求められている、ということでした。
今回取り上げるのは、特に「メンバーの協働」つまり、職場の人間関係についてです。
▼マネジャーに求められる4つの成果
マネジャーにとって、職場の人間関係は、悪化すると業務上の支障が出るものですので、「あまりお互いの関係性が良くないな」「特に、AさんとBさんは犬猿の仲で、いつも険悪な雰囲気になるな」などアンテナは立ちやすいものだと思います。
しかしながら、以下のような特徴があります。
【1】人間関係なので、両者や多数がいる場でのコミュニケーションが見える化されないと、今何が起きているのか掴みにくい
【2】マイナスの状態は何とかしたいと思うが、それ以上に「良いチーム」を目指した動きにはなりにくい
【1】については、特にテレワークを推進している企業においては喫緊の課題になっていると言えるでしょう。皆さんの中にも、部下の状況を把握して、サポートするために1on1を増やしている、という方は多いのではないでしょうか?
しかし、それでは、部下が多いマネジャーは時間がいくらあっても足りません。自身のプレイング業務を抱える中で、1on1にも時間を割いていかなければならないという状況ですので、どうしても業務時間が圧迫されます。
テレワーク下で起きているマネジャーの不安材料
出社が前提だった時代は、実は、職場のメンバー同士でフォローし合っていたような状況もあったはずです。マネジャーが見ていないところで、お互いに助け合う風土が出来ていたのだとすると、その風土に救われていたといえます。
ところが、テレワーク下でのマネジャーは以下のような不安を抱えています。
業務管理面よりも、人・チームの側面の不安が勝っていると分かります。
人間関係の良かったチームも、メンバー同士の交流が減ってくると、だんだんその風土も失われて行ってしまうものなのです。いわばこれまでの貯金で食べていた、とも言えるでしょう。
マネジャー自身が組織の状態に目を向けて意識していなければ、状況も分からなくなってしまいます。
チームの状態を見るための7つの要素
マネジャーとして、皆さんの状態は以下のどちらでしょうか?
a.職場の人間関係が今どうなっているのか、つかめていない
b.職場の人間関係に問題があると思うが、思うように手が打てていない
aの方は、「メンバーの協働」に対する関心があまり高くないと言えます。問題がない場合は良いのですが、メンバーからの様々なサインを見逃していると、気づけば険悪な職場になっているということも考えられます。
一度、ここ最近メンバーからもらっている「人」の側面の相談事項を振り返っておくと良いでしょう。
もし、思い当たる情報がなければ「最近のチームの状態ってどう思う?」と投げかけてみるのも良いでしょう。自分が関与するところは話しづらくても、他のメンバー同士の情報は共有してくれるはずです。多角的に情報を収集しましょう。
実際にはbの方が多いのではないでしょうか?
人間関係に関する打ち手を考えるのは確かに容易ではありません。ですから、一体チームの何に自分は問題を感じているのか?を棚卸ししてみることをお勧めします。
参考にここでチームを見るための7つの要素をご紹介します。
1.開放 | お互いに思ったことを言いあえているか |
2.相互信頼 | お互いをチームに必要な存在として尊重しあってるか |
3.目的共有 | チームでどこを目指しているのかという目的が共有されているか |
4.協働意欲 |
お互いの仕事やその状況に関心を持ち、進んで協力しあうとともに、お互いの強みや持ち味を生かそうとしているか |
5.完遂 | 決めたことはすぐに実行し、ルールや期限を順守しながらやり切ろうとしているか |
6.挑戦 | 新しい試みを実行しながら、挑戦的な課題にも諦めずに取り組み、決められた以上のより高い成果を目指して知恵を出し合い創意工夫を行っているか |
7.相互成長 | 成功事例・失敗事例の体験の共有や、相手の成長のための支援・率直なアドバイスを通じて学びあっているか |
ご紹介した7つの要素に照らしてみて、今、自分が気になっていることはどれにあたるかを考えてみると、チームの状態がより具体的に見えてくるのではないでしょうか?
「お互いに言いたいことは率直に言えているが、連携する動きが少し弱いんだよな」という場合は、「1.開放」「2.相互信頼」は十分だが、「4.協働意欲」があまり高くないのかもしれません。
あなたのチームの良い点と気になる点は7つの要素に照らすとどうなっているでしょうか?
「根っこ」→「幹」→「葉」の順にアプローチをしていく
次に、冒頭で問題提起した以下の状態についてです。
【2】マイナスの状態は何とかしたいと思うが、それ以上に「良いチーム」を目指した動きにはなりにくい
具体的には、先ほど示した良いチームの7つの要素において、モチーフが木になっていますので、それを使って説明します。
木の絵が「根っこ」「幹」「葉」に大別されていますが、これはまさにチームが育っていく過程を比喩的に表したものです。
チームの「根っこ」に当たる「1.開放」「2.相互信頼」の無いチームが、高いレベルの「6.挑戦」ができるかというと、疑問です。
つまり、「根っこ」→「幹」→「葉」の順に育てるアプローチをしていくことが必要です。
見誤ってはいけないのは、自分のチームが今どこはOKで、さらに良くしていきたいのはどの部分か? ということです。
上述したように、より高い成果に向けて、挑戦を促そうとしても、相互に信頼できるチームになっていなければ、途中で高い成果を前にくじけてしまうでしょう。
順を追ってみていきましょう。
チームのどこをさらに良くしていくか
■根っこを強くする
「1.開放」「2.相互信頼」は密接に絡み合っています。よく知っているから、お互いにものが言いやすい、ということでもあります。意外にここをおろそかにするチームはあります。
反対に、強固なチームは、お互いを理解することに時間をかけます。新たにメンバーが加わった際には、じっくり時間をかけてお互いを理解(これまでの仕事経験、仕事へのこだわり、強みと苦手な事、など)を交換する時間を取っても良いでしょう。
■幹を太くする
「3.目的共有」「4.協働意欲」が幹です。
ここは日々、組織運営するマネジャーの出番が多いところです。③については、チームで取り組むテーマの目的を折に触れて話し合う、思い出すといった働きかけが必要になるでしょうし、「4.」の協働意欲はお互いの状況に関心をもって助け合う、ということですから、マネジャーが率先してお互いに情報共有をすることを促す、そうした場面をつくるということが求められます。
■葉を茂らせる
「5.完遂」「6.挑戦」「7.相互成長」
ここまでくると、チームとしては、仕上げの段階です。
これまでの根っこを強くして、幹を太くしてきた成果を結実させる時と言えるでしょう。
「5.完遂」でチームメンバーにやり切ることを要望するのも良いでしょうし、「6.」で新たなテーマにチームとして挑戦することを決めるのも可能でしょう。さらに「7」の相互成長では、お互いの成長に向けて率直にフィードバックし合うことを推奨するなどが考えられます。
以上を参考にしていただき、ぜひ、チームのどこを強化しようとしているのか、という意図をもって、日々関わるようにトライしてみてください。
そして、多忙なマネジャーの皆さんのやることがさらに増えるのではなく、チームの力が高まることによって、メンバーを頼れるようになる状態を一歩ずつ実現していただければと思います。
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