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マネジャー昇格3年目までに覚えたい“普段づかい”のマネジメント 第2回

煩わしい目標設定をマネジメントに生かすには?

前回は「マネジャーになってからのこと、ふりかえってみませんか?」と題して、これまでのマネジャーとしての手ごたえを確認するという内容でお届けしました。
振り返ることでいくつかの成果が確認できていれば幸いです。

第二回目は新年に合わせて、「目標設定」をどのようにマネジメントに生かすか?というテーマでお届けできればと思います。

目次

  1. なかなか時間が割けないメンバーの目標設定について「一工夫」する余地がないか
  2. 目標とマネジメント
  3. 目標とは
  4. エネルギーの高まる目標とは?
  5. メンバーと目標をめぐる会話を試みる
  6. 2つの質問でメンバーの目標に対するエネルギーと主体性を高める
  7. アドバンス編としての達成基準

なかなか時間が割けないメンバーの目標設定について「一工夫」する余地がないか

マネジャーとなると、毎期メンバーの目標設定をし、それをもとに評価をすることが必須になります。期の単位は企業によって異なり、3カ月~半年の単位で区切られることが一般的かと思います。
メンバーに目標を割り振り、どのようにその目標の達成に向けてモチベーション高く日々の業務に取り組んでもらえるのかを考えるのは、期初のマネジャーにとっての大きな仕事です。
一方で、期初はマネジャーとしてやることも多く、そこまでメンバーとのコミュニケーションに時間が割けないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、大事だが、なかなか時間が割けないメンバーの目標設定について「一工夫」する余地がないか考えていければと思います。

目標とマネジメント

多くの企業で取り入れられている「MBO」(Management by objectives and self-control)、いわゆる目標管理制度ですが、ともすると、「所定のフォーマットに期初に目標を記述する」「評価のタイミングになって、初めて見返し、目標の達成度を確認する(そして評価を決定する)」ということになっていないでしょうか?

「目標」は「評価」のためであり、メンバーの処遇を決める人事評価制度の一環である。面倒な運用が求められるという捉え方になるのも仕方がない面もあります(確かに、シートにいろいろ記入しなくてはならず煩雑です)。

ご自身が日々行っている「マネジメント」とはやや、かけ離れているという印象を持たれている場合もあるかもしれません。しかし、この「目標設定→評価」というサイクルを、うまくマネジメントに生かすことができれば、非常に強力な武器となります。

目標とは

まず「目標」について考えてみましょう。
ちょうど、年始のタイミングですので、「今年の抱負」などを考えられる方も多いのではないでしょうか?「今年はランニングを続ける」「語学学習を継続する」「新しい趣味を始める」「仕事で、チャレンジしたいことがある」など……。
その目標について考え、実現した状態を想像するとわくわくしてくるものではないでしょうか?
「目標」とは、本来、行動を起こすためのエネルギーを引き起こしてくれるもののはずです。

一方で、仕事における「目標」はどうでしょうか? どうしてもネガティブなイメージを持つ方も多いことでしょう。「達成しなければならないもの」「割り振られるもの」。現実的には、そのような側面が大いにあることは否定できません。
しかし、先ほど見たような「エネルギーを高める目標」が存在することもまた事実なのです。

みなさんにも、過去の仕事を振り返って「この目標だけはどうしてもこだわって達成したい」というものがあったはずです。そうした目標が設定出来た時、仕事に対するコミットメントが変わった経験は誰にでもあるものです。

エネルギーの高まる目標とは?

では、どのような要素があればエネルギーが高まる目標といえるのでしょうか?
参考にエネルギーが高まる目標の3要素をご紹介します。

▼エネルギーが高まる目標の3要素

【出典】従業員のエネルギーを高める「目標によるマネジメント」(リクルートマネジメントソリューションズ)より

このなかのどれが重要かは人によって異なります。例えば「社会に貢献できる」ことが大事な人は、その目標を達成することで社会にどんな貢献ができるか掘り下げて考えることによって、エネルギーが高まると思います。
しかし、自分がそうだからといって他の人にそれを強調して同じ効果が得られるとは限りません。その人は社会への貢献よりも自分の成長に関心があるかもしれない、というように、人によっても異なります。

メンバーと目標をめぐる会話を試みる

目標の3要素のうち、その人自身がピンとくるものを盛り込むことでエネルギーが高まる目標になる、ということをお伝えしました。
この3つの要素の観点をマネジメントに生かすという意味で、メンバーの目標について見ていきましょう(ご自身の目標を振り返ることにも有効ですのでおススメです。)

あなたのメンバーお一人を想起していただいて、その方の今期の目標を思い出してみてください。複数の目標があると思いますが、その中に、そのメンバーのエネルギーが高まりそうな目標はいくつあるでしょうか? もちろん、すべての目標がやる気が出るものになる、というのは現実的には難しいと思います。とにかく、やらなければならない! というもの当然あるでしょう。

ポイントは、合意した目標について本人のエネルギーが高まっているか、知っていますか?ということです。3つの要素でいうと、どれを大事にしていそうか? また、そのメンバーにとってどれがエネルギーの高まる目標なのか、は意外と掴めていないのではないでしょうか?

そこで、まずは目標設定の際に一方的な伝達ではなく、メンバーとのやり取りを行うようなコミュニケーションにトライしていただきたいのです。そうすることで、さまざまなことが見えてきます。「目標を伝える」という行為はマネジャーとしては必ず実行しなければならないことですが、そこに一工夫加えることで、その後の効果が全く違ったものになります。

2つの質問でメンバーの目標に対するエネルギーと主体性を高める

具体的には、
【1】その目標についてどう感じたか?
【2】
その目標達成を目指すことはエネルギーが高まりそうか?

といったことを、メンバーに尋ねるのです。

1つずつ、補足します。
【1】ですが、これはオープンに聞くことで、メンバーがその目標をどう捉えているのかが掴めます。そもそも、目標に賛同しているのか? その上で難易度などをどう考えているのか? このやりとりは、目標についての誤解・認識の違いをすり合わせることに有効です。「分かりました」といっていたのに、目的の理解が違っていた、難易度のとらえ方がマネジャーとメンバーで異なっていた、というのはよくある話です。
【2】に関連した内容が出てきたら、自然とエネルギーが高まるか? という話題に転換できれば良いでしょう。

【2】ですが、聞かれたメンバーも応えにくい質問かもしれませんし、構えてしまうかもしれません。その場合は、あくまで「メンバーを知る」ことが目的だと強調してください。
そのメンバーが何によってエネルギーが高まるのかを分かれば、今後どのような仕事を任せるか? どのように伝えるか? どのような目標設定が燃えるのか? を理解するヒントになります。
「とにかくNo.1を取ること」に燃える人もいれば、「この仕事で多くの仲間が助かるのです」と言ってくれた方が力は出る、という人もいます。エネルギーが高まる要素のどれが当てはまるのかを探る質問です。

目標の好き嫌いが分かるだけでも十分ですし、もし「こういうことではなくて、こっちがやりたい」という本人の意志がありそうなことが分かれば、望ましいです。

「やりたくありません」という答えが返ってくるのを恐れて、聞きにくい質問ではありますが、仮に聞かなかったとしても、その目標に対するエネルギーは低いままです。
目標の遂行中も、皆さんの期待に照らして、「どうもこの仕事の進捗は思わしくないな」ということになるぐらいであれば、最初に解消できておく方が望ましいのです。
もちろん、メンバーの返答に関わらず、今期はこれをやることになっている、ということが多いのも現実ですから、その場合は正直に必要性を伝えて実行してもらうことも必要です。
重要なのは、その期に取り組む仕事の中で、1つでもそのメンバーが「これはやってみたい」と思えるものが含まれていることです。

こうした、目標をめぐるやり取りが健全にメンバーとできるようになれば、
「この目標をわくわくするものにするにはどうしたらいいだろうか?」
「この目標に向かって頑張ることの自分にとっての意味は?」
など、さまざまに目標についてのとらえ方を膨らませるようなコミュニケーションをさらに増やすことで、メンバーの目標に対する捉え方も変わってくるはずです。

「この目標って、こんな風に捉えることはできますか?」「このAという目標より、Bという目標を追いかけるべきだと思うのですが」というような、メンバーからの目標に対する発案が生まれてくるのが理想です。

アドバンス編としての達成基準

最後に、アドバンス編として、「達成基準についてメンバーに考えさせる」ということをお伝えしたいと思います。

目標設定の際に、達成基準を設定する場合があると思います。標準的な成果だと「3」、それを上回れば「4」などです。
数値目標であればある程度、達成基準を置くことはたやすいですが、難しいのは定性的な目標です。皆さんも目標設定に苦慮されているのではないでしょうか?
この「達成基準をメンバーに考えてもらう」というのは、非常に効果的なやり方です。
その仕事がどこまでできればいいのか? ということを自分で考えることによって、コミットメントが高まりますし、具体的な進め方もある程度検討しておく必要があります。
ややレベルの高い取り組みですが、マネジャーが一人で目標について考えるだけではなく、実行の主体者であるメンバーにも参画してもらうことは目標を自分にとって大事なものだ、と捉えてもらうためにも有効です。

以上、ともすればマネジャーにとっても煩わしい「目標設定」を、「一工夫」してマネジメントに生かす、という切り口でお届けしました。
改めてメンバーと立てた目標について会話する時間をぜひ取っていただければと思います。

>>>第3回 マネジャーとしていかに良いチームを作るか?

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