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パンデミック前の対面主体研修に戻ってはいけない3つのポイント

職場活用/課題解決/ブラッシュアップ/初トライ/展開の5つの場面を支援する『5 Moments』で有名なコンラッド・ゴットフレッドソン博士は、研修定着や効果測定が難しいのは研修が現場から離れているからであり、効果的でスピーディな学習と現場実践のためには、知識のインプットより職場の成果に重点を置くことが重要と力説しています。

また研修効果測定の『SCM:Success Case Method』で有名なブリンカホフ博士も、現場で研修成果の出た成功事例を分析し要因を抽出して展開することが研修成功の早道と提唱、これまで数多くの実践を積み重ねてきています。

これらの実践的な考え方は経営者も現場も非常に納得できるものです。研修の成功とは経営や現場のニーズに応えた現場の実践で成果が出ることであり、最新のニーズを把握することが出発点になるということです。

しかし最近、人材育成担当者と来年度の研修企画について会話すると、対面研修へ戻る話が多く出てきて、そのたびに心の中で危険信号が点滅します。ポイントは対面研修ではありません。心配なのは、良く考えないでパンデミック前の研修にそのまま戻ろうとしているのではないか・・・ということです。

ここでパンデミック前の研修になぜ戻ってはいけないのか?
その理由と具体的なアドバイスをお伝えします。

目次

  1. やりっぱなしの単発研修にしない
    【今後のヒント】
    (1) 知識研修を数回に分ける    
    (2) 反転授業にする               
    (3) 研修後のフォロー
  2. 対面集合研修をデフォルトにしない
    【今後のヒント】
    (1) リモート研修をデフォルトにする
    (2) 知識のインプットをオンデマンド研修にする
    (3) 少人数のグループコーチングを入れる
  3. 研修内容の完成度を優先にしない(最新のニーズ・環境を目指した効果アップ)
    【今後のヒント】
    (1) 研修内容が現在のワークスタイル・経営方針・事業戦略に合っているかどうかの確認
    (2) 従業員のニーズをよく把握して、研修内容をブラッシュアップする
    (3) ニーズ把握から研修終了までのスピードアップ
  4. まとめ

やりっぱなしの単発研修にしない

パンデミック前の状況:対面研修の7割以上が単発やりっぱなし
一部の長期的なシリーズ研修(例:新任管理職研修、次世代リーダー研修、グローバル人材育成)もありましたが、単発のやりっぱなし研修が圧倒的に多かったです。感覚で言うと対面研修全体の7割以上でした。

問題:やりっぱなしの問題を一言で言うと成果が出にくいこと
これはあたりまえのことですが、成果を出すために定着フォローが必要ですが、忙しい講師と受講者を複数回対面させることは困難です。
また面白いことに立派な外部会場+カリスマ講師+インパクトの強い非日常的な研修の場合に特に成果が出しにくいです。なぜなら当日のインパクトも強く記憶にも残りますが、多くの受講者はその特別な体験をいつもの職場でどのように活かしてよいのかがわからないのです。

今後のヒント:
(1) 知識研修を数回に分ける

知識系の研修の場合、やりっぱなしだと研修効果が劇的に下がります。理由は単純で一回インプットした内容を時間と一緒に忘れてしまうからです。その忘却曲線に負けないための工夫ポイントは一回にインプットする情報量を絞ることと忘れそうなタイミングでプチレビューをしながら次回のインプットをすることです。

(2) 反転授業にする   

多くの研修には講義のようなインプット部分と演習のようなアウトプット部分がありますが、反転授業というのはインプットとアウトプットを分ける研修スタイルです。
反転授業のインプットは事前に自己学習で行い、手段として課題図書、事前課題、eラーニング、マイクロラーニングなどが使われています。インプット後に集合研修でアウトプットの演習、ディスカッション、質疑応答、ロールプレーなどを行います。
この利点は受講者一人一人の知識レベルに合わせてインプットができることと、インプットだけで終わらなくてその後に必ずアウトプットがあることです。これによって受講者の理解が深まるし、スキル定着にもつながります

(3)  研修後のフォロー

もう1つのやりっぱなしをしない対策は自動的なフォローです。自動設定のメールやアンケート1つで良いので、研修をやりっぱなしで終えないようにしましょう。
代表的なフォローパターンは

  • 内容のリマインダー:研修の1カ月後に研修内容の簡単なサマリーやケースを送ることで受講者に研修内容を思い出させます。
  • ヒントとアドバイス:研修1-2カ月後に研修内容を職場で活用するためのヒントやアドバイスを送ることで受講者の職場活用が少し上がります。
  • ヒアリングアンケート:研修2-3カ月後に簡単なヒアリングアンケートを送ることで受講者は研修内容を職場でどのように活かせているかを把握します。さらにうまく使っている声や事例をピックアップして受講者に共有させるとますます研修効果が上がります。

▼やりっぱなしの単発研修にしないための今後の3つヒント

対面集合研修をデフォルトにしない

パンデミック前の状況:当社の2019年実施研修の9割以上は対面
当社は20年前からリモート研修を視野に入れていましたがパンデミック前の2019年の実施した研修の9割以上は対面集合研修でした。その後2020年の春から一気にリモート研修にシフトしましたが、この数カ月は対面研修の割合が少し戻ってきて、来年度に対面研修を増やそうとしているお客様が多くなっています。

問題:対面集合研修は長所はあるが、短所も多い
例えば、運営と準備が大変、集合させる移動時間と費用が必要、会場の確保とセッティングが面倒、受講者の期待が高すぎて対応が難しいなどです。

今後のヒント:
(1)リモート研修をデフォルトにする

様々な研修がある中で当然、対面集合研修が最適な場合があります。対面研修が特に適しているのは受講者の交流が必要な場合、体を動かして実際の設備などを触らせたい場合、イベントやスポーツのような特別な場所と組み合わせたい場合などです。このような場合には是非研修を対面で実施しましょう。目的が理解され記憶に残り、効果が持続します。
しかし従来の多くの研修内容は情報伝達、知識インプット、簡単なスキル習得ですのでわざわざ対面で行う価値がなくてリモート研修がちょうど良いです。
特に若手社員/新入社員は学生時代からリモート主体で育ってきたので、対面には非常に大きな期待を抱いています。対面を実施する場合にはそれを裏切らないように是非気をつけましょう。

(2)知識のインプットをオンデマンド研修にする

さらに言うと情報のインプットや知識系の研修の場合にリアルタイムで講師と一緒に実施する必要がないケースも多くあります。簡単なインプットの場合にはリモート研修もしないで自己学習でいつでも簡単に一人で受講できるオンデマンド研修にしましょう。

(3)少人数のグループコーチングを入れる

1つおすすめする研修スタイルは事前オンデマンド+少人数の短時間リモートフォローというスタイルです。イメージは上記の反転授業のバリエーションで受講者は事前にオンデマンドで内容をインプットして、その次に研修でフォローします(下図参照)

▼対面集合研修をデフォルトにしないための今後のヒント


【解説】従来の単発研修から、事前にオンデマンドで内容をインプットしてから少人数の短時間のグループコーチングを実施すると効果的だ

パンデミック前なら24人の1日対面研修は普通でしたが、これを細かく分けます。例えば、受講者6人のチームに分けて、それぞれのチームと1時間のリモート研修を2回行うイメージです。こうすると講師の拘束時間が変わりませんが受講者に丁寧な個別フォローができます。
フォロー範囲も研修内容だけではなくて各受講者の職場でどう使えば良いか、使ってみてどうだったかも含めると効果的です。受講者にとっては拘束時間が短くなるし、他の受講者の状況も共有できるので、研修が仕事に活かせやすくなり研修成果が高まります。

参考記事:久しぶりの対面集合研修が失敗する4つの原因と解決のヒント
https://at-jinji.jp/expertcolumn/378

研修内容の完成度を優先にしない(最新のニーズ・環境を目指した効果アップ)

パンデミック前の状況:完成度の高い研修を作るために何年もかけていた
1990年代に人材育成業界の大先輩に言われて記憶に残っていることは「良い研修を作るのは最低10年かかる」ということでした。細かい年数を置いていても、完成度の高い研修を作り上げるために何年もかかるということは、パンデミック以前ではある程度、研修業界の常識だったと思います。

問題:急激に変化してゆくビジネス環境のニーズに内容が合わない
ここで少なくても2つの問題があります。
1つ目は昔作った研修内容は今のビジネス環境のニーズと合わないことです。(例:MBWA[歩き回ることによるマネジメント]はリモートワークでは全く役立たない)
2つ目の問題は環境変化が早い場合に研修が完成した時にそもそものニーズが変わって、研修を職場で役立てられないことです。

今後のヒント:
(1) 研修内容が現在のワークスタイル・経営方針・事業戦略に合っているかどうかの確認

既存の研修の大半が使えるはずですが、一度全ての研修内容を確認してみませんか? リモートワーク、ハイブリッドワーク、最新のITツール、経営方針や事業戦略にふさわしくない研修内容が結構あるはずです。ちょっと古い内容を見つけた場合にチューニングする、入れ替える、削除するなどの対応をしましょう。

(2) 従業員のニーズをよく把握して、研修内容をブラッシュアップする

ある研修の教材の中の事例がちょっと古ければ内容を少しいじれば済みますが、もっと根本的な話は受講者の新しいニーズや求められている能力が入っていないことです。

例えば、パンデミック前に多くのマネージャー研修はMBAのような知識ベースでした。しかし現在マネージャーに一番求められていることはハイブリッドワーク環境の中での実践的なヒューマンスキルです。来年度に向けてこの2つのことを考えてください。

  • 各研修で強化している能力が今でも本当に必要ですか?
    →不要の場合にその研修をやめましょう
  • 今受講者が職場で求められている能力をこの研修を受けて身につけられますか?
    →そうじゃない場合に新しい研修を企画しましょう

(3)ニーズ把握から研修終了までのスピードアップ

冒頭でお伝えしたように研修の成功とは経営や現場のニーズに応える現場の実践で成果が出ることであり、最新のニーズを把握することが出発点になるということです。
しかしながら(当社で実施した)過去の代表的な研修は企画から研修実施後のレビューまでの期間が1年以上でした。場合によっては2年がかりで実現したものもあります。
しかし現在の事業戦略・目標・組織変更は四半期から1年未満で毎年のようになされますので、現場実務のニーズも刻々変化してゆきます。このような職場の旬のニーズにタイムリーに応えられるためには完璧主義を捨てて、スピーディにベストを尽くすマインドに切り替えましょう。

イメージ的にはニーズを聞いたら、1カ月後に研修の初回を実施して、3カ月以内に研修終了するぐらいの勢いが適切です。ビジネス成果に貢献するためにはこのくらいのスピード感が必要で、そこが以前に戻ってはいけない最大の理由の1つでもあります

▼研修内容の完成度を優先にしないための今後のヒント

まとめ

来年度の研修企画を考える時に対面集合研修、リモート研修、オンデマンド研修の色々な可能性があります。そこで是非パンデミック前の研修にそのまま戻らないで、この3年間の学習効果を活かして2023年ならではの素晴らしい研修企画を作ってください。

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