マネジャー昇格3年目までに覚えたい“普段づかい”のマネジメント

マネジャーになってからのこと、ふりかえってみませんか?

本連載は、「マネジャー昇格3年目までに覚えたい“普段づかい”のマネジメント」というタイトルの通り、マネジャーの方、もしくはその候補者の方を中心の読者としてお届けするものです。すでに、マネジメントを担われている方は、ご自身のマネジメントを少し立ち止まってふりかえる機会にしていただければと思います。
加えて、人事のご担当者にとっても自社のマネジャー育成を考えるヒントとしてご活用いただければ幸甚です。

目次

  1. マネジャーの日常
  2. マネジャーを取り巻く現状
  3. マネジャーとしての前進を測るものさし
  4. マネジャーとしての「成果」とは?
  5. ふりかえりの中から、マネジャーとしての手ごたえを得る

マネジャーの日常

オンラインミーティングに参加しながら、メンバーからかかってきた電話にも都度対応したり、手元のPCではメールやチャットの返信をいくつも同時並行でこなしたり……。私がたまたま、入ったカフェで見かけた部下がいるマネジャーの方の様子です。

常にいくつものボールを持ち、それをジャグリングのように捌きづづける姿がイメージされました。そうして何とか業務を回しているところに、突然のトラブル報告が舞い込んできて、急ぎ対処に追われる。すき間時間を確保して、書こうと思っていた企画書が、結局手つかずで終わり、着手できるのは、すべて処理を終えた夜……。

こんな日常を過ごしている、マネジャーの方は多いことでしょう。
「実務に追われる中で、果たして自分はマネジャーとしてうまくやれているのだろうか?」
そんな思いにとらわれることもあるかと思います。

今回の連載を通じて、忙しいマネジャーの皆さんに、客観的にご自身の状況を捉え、日常の中で少し何かを変えてみることで、前進感を持っていただければ幸いです。

マネジャーを取り巻く現状

マネジャーの日常で取り上げたような現実ですが、「こんなに忙しいのって自分だけ?」「要領が悪いからなのか?」と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。

客観的に見てみると、現代のマネジャーは「過重負荷状態」にあると言っても過言ではありません。マネジャーの皆さんが忙しいのは、ある程度は構造的な問題であり、ご自分だけの問題ではないのです。

大きく、以下の3つのことがマネジャーの忙しさの要因と言えると思います。
【1】課題の複雑化
【2】メンバーの多様化
【3】プレイング業務の増加

【1】課題の複雑化

日々実感されていることかと思います。マネジャー自身も経験の乏しい仕事の割合がどんどん増え、メンバーとともに頭を悩ませながら解決する仕事が増えていることでしょう。かつ、中長期のこともマネジャーに考えてもらいたいという期待は高まっており、なおのこと難しくなっています。

【2】メンバーの多様化

国籍などの分かりやすい属性に加え、雇用形態や、ライフステージなどによって、それぞれのメンバーの置かれた状況は様々です。そうした状況を無視して同一のマネジメントを行うことは現実的ではありません。また、Z世代に代表されるような若手の価値観の変化にも対応してく必要があります。

【3】プレイング業務の増加

昨今は、ほとんどのマネジャーが自身の担当業務を持つ、プレイングマネジャーです。量的・質的にメンバーには任せられないような業務を受け持っているのですが、ここに時間を費やさざるを得ない。場合によっては、無意識のうちにプレイング業務だけに時間を取られていることもあるかもしれません。

どのようにして、この過重負荷状態を抜け出していくのか?は、この連載を通じて一緒に考えていければと思いますが、認識していただきたいのは、「マネジャーである皆さんは、このような状況の中で、精一杯に責任を果たそうとしてきた」ということについて、まずは、自分自身を肯定しても良いのではないかということです。

マネジャーになると、直接自分が手を下せる仕事は少なくなり、「これが自分の挙げた成果だ」と実感できる機会は減っているはずです。そうすると、自分は前進しているのだろうか? という疑念もわきます。マネジャーは業務も複雑化する分、自身の変化もつかみにくい立場にあるのです。

マネジャーとしての前進を測るものさし

ここまで、マネジャーとして頑張ってきた自分。では、その前進をどのように把握すればいいのでしょうか? 

そこで、ご参考にしていただきたいのはリクルートマネジメントソリューションズが提示する「トランジション・デザイン・モデル」です。

トランジション・デザイン・モデル

画像:トランジション・デザイン・モデル(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)

トランジション・デザイン・モデルの特徴は3つです。

  • ビジネスパーソンには役割のステージがある
  • 「役割遂行期」から「役割移行期(トランジション)」そして次の「役割遂行期」と、ステージの転換には時間を要する
  • とくにマネジャーへの転換は一番変化が大きい

マネジャーに昇格されてからの1~2年は通常、マネジャーのステージへの転換期間です。転換期の入り口が、トランジション入口のサインです。マネジャーのステージの場合には、明確にそのサインがわかるものが多いです。

マネジャーへのトランジション入口のサイン(抜粋)

  • メンバー(部下)ができる
  • 人事評価権を持つようになる
  • 組織の目標や方針を策定したり、上位組織の方針策定に参画したりするようになる
  • 社内外の関係者が、こちらを意思決定者と見てくるようになる
  • メンバーが自分に言うことと、同僚に言うことが違うようになる(本音を言わなくなる)

そして、出口のサインは、マネジャーへの転換を乗り越えた、という証拠です。チェックが入る項目が複数あれば、もうすでにマネジャーとして乗り越えたことがかなり多い、と言えます。

マネジャーへのトランジション出口のサイン

☐組織としての成果(目標達成・取り組みが進む)が出てくる
☐つくりたい・目指したい組織像を描ける
☐メンバーに口を出さない・先に言わないといった我慢ができるようになる
☐メンバーの成長を喜べる
☐上司への要望の通し方や説得の仕方などの勘所がわかってくる
☐上司から自組織の成果を認められる
☐メンバーと率直に会話ができるようになる(メンバーがフィードバックを前向きに受け止めてくれる/メンバーが耳の痛いことも言ってくれる、など)
☐メンバー同士が、自発的に協力し合うようになる
☐メンバーの成長を実感する(言わなくても動く、楽しそうに仕事をしている、協力して仕事をしている、成果を出す、など)
☐メンバーのよい評判を、自組織外から聞く

いかがでしょうか? すべてとは言わずとも、心当たりがあるものがいくつかあることでしょう。もし、1つでもチェックがつけられるものがあれば、間違いなくマネジャーとして前進している部分だと言えると思います。

ここで着目していただきたいのは、この出口のサインですが、必ずしも「組織として成果が出ている」だけではないことです。

マネジャーとして預かっている組織で、大きな成果をあげそう簡単なことではありません。間接部門を預かる場合は、数字で成果が表しにくいこともあるでしょう。
それなのに、「目立った成果もあげられていないし……」と、マネジャーとしての自分を過小評価するのは、とても残念なことです。

マネジャーとしての「成果」とは?

我々が定義する「マネジャーに求められる4つの成果」というフレームがあります。

図表:「マネジャーに求められる4つの成果」(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)

ポイントは、「メンバーの協働」「メンバーの成長」もマネジャーとしての「成果」である、ということです。

どうしても、業績だけを「成果」と捉えると、「そこまで大きな変化はないかもしれない」という感覚になりがちですが、このような観点をもって見てみると、実は「成果」と呼べるものが他にもあった、そして大きく進捗したところもあった、と気づくことがあるのでお勧めです。

マネジャーとして、すでに1~2年の経験を積んだ方には、これまでご自身が着任してから、どのような成果が出せたのかを、箇条書きでこのボックスごとに入れてみることをお勧めします。小さいものでもOKです。

まずは、その成果を眺めて、そしてメンバーとともに取り組んだ過程に思いを馳せてみてください。自分が思っている以上に、多くのことを進めてきた、もしくは様々なことに対処をしてきたのではないでしょうか。

ふりかえりの中から、マネジャーとしての手ごたえを得る

このように、慌ただしい日常の中で、少しだけ立ち止まって、ふりかえっておくことは、これから先を考える上でも有効です。

先ほど、書き出した成果を眺めて、以下のことを想起してみてください。

  1. なぜ自分はそれが気になったから対処しようと思ったのか?
  2. その対処を通じてどういう状態にしたかったのか?

1.は、自身の興味関心の範囲や、放っておくとついそこに集中してしまうところ。もしくは、こだわりなどが背景にあるかもしれません。

2.は、何かしらの対処をして問題を解決し、実現したい状態があったはずです。その先に、ご自身の理想とする職場の状態や達成したい事柄があるはずです。

どちらの要素も、今後自分らしいマネジメントを確立していく上では、非常に重要です。

今回は、とかく忙しい日常に埋没しがちなマネジャーの皆さんと、引いた目線で現状を捉えてみる、ということをご提案してきました。
少し肩の力が抜けたり、ご自身の取り組みに対して手ごたえのようなものが芽生えたりしていれば幸いです。

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