1on1の現状と今後 vol.3

1on1導入のパターンとうまくいかない企業の特徴

ご自身の会社に1on1を導入・定着させようとしたら、何をしますか?
2017年以降、1on1導入企業は様々なチャレンジを繰り返し、自社にとってベストな方法や現場フォロー施策を模索してきました。
連載の第3回目では導入定着支援の中で見えてきた、1on1がうまくいく企業では何をしているのか。うまくいかない企業では何が足りていなかったのか、をご紹介していきます。

参考:
第1回 1on1の可能性とは
第2回 1on1の今を知る

目次

  1. そもそも「1on1がうまくいかない」とはどんな状態か
  2. 実施率が低い会社では何が起きているのか
  3. 会話内容が業務進捗確認になっている企業では何が起きているのか
  4. 実は一番怖いのは「現場の状況が分からない」こと
  5. 1on1がうまくいっている企業の特徴

そもそも「1on1がうまくいかない」とはどんな状態か

そもそも、1on1がうまくいっていないと考える企業は、何からそう感じているのでしょうか。

良く使われる判断指標の一つ目は1on1実施率です。目標実施率は企業によって様々ですが、70%前後の実施率を目安にしている企業が多く、導入から1年程度経過した段階で目標値を下回るとうまくいっていないと感じる企業が多いです。

二つ目の判断指標は会話内容です。テーマが業務進捗確認に終始し、部下の成長支援のための会話がなされていない場合には、うまくいっていない、もしくは未熟な1on1になっていると判断していることが多いです。つまり、多くの企業では量×質の掛け合わせで1on1の良し悪しを決めています。

実施率が低い会社では何が起きているのか

1on1の実施率が低い状態になるのには理由があります。

1on1実施が組織または個人の判断に委ねられている。もしくは事務局は必須と謳うが、実施チェック機能がなく口だけになっている。いずれも、現場への遠慮、反発の声への恐れなどから1on1の実施を現場に要望し切れず、中途半端な施策になっていることが要因です。
このような場合、導入当初2~3回は1on1を実施するものの、その後は元から人材育成やコミュニケーション課題への感度が高い組織長がいる組織や、リーダーのみ1on1を実施している状態になり、実施率は低位で継続していきます。

1on1は、普段会話の少ない層に対してアプローチしたい施策なはずです。組織や個人の判断に実施を委ねざるを得ない、または現場に実施を要望し切れない場合には1on1導入そのものを見直すか、現場サイドの支援者を見つけるなどの対策が必要です。

会話内容が業務進捗確認になっている企業では何が起きているのか

1on1の会話内容が業務進捗確認になるのは必然とも言えます。

コミュニケーションの量を増やすことのみ現場に指示されており、日常的なコミュニケーションと1on1の差が現場に理解されていない、もしくは差はわかっているけど、慣れ親しんだコミュニケーションに戻っていることが多いです。
今まで上司部下の会話と言えば、仕事の報告・連絡・相談しかして来なかったのに、突然、傾聴や相手に焦点を当てて質問をしろと言われてもベースとなる上司の対話スキルが不足しています。よって、多くの企業が1on1=業務進捗確認になってしまうことに苦しんでいます。

業務の進捗確認ではない1on1が実践出来る人は、意識/無意識は別として、これまでの日常の会話の中でトレーニングを積んできています。筆者自身も、以前は業務進捗確認が会話の中心だったため、相手の成長に焦点を当てた会話を意識し始めた当初は使わない脳を使っている感覚になり非常に疲れたことを思い出します。2~3年日々の会話の中で意識した結果、今では無意識的に事柄について聴きながら話をしている相手自身にも焦点が向くようになりました。

対話スキルは一朝一夕に身につくものではなく、継続的な実践トレーニングが必要です。
会話内容が業務進捗になっていることを問題だと感じている場合、

  1. そもそも1on1で目指したい対話イメージは社内で共通化出来ているか
  2.  基礎スキルを身に付ける機会を与えているか
  3.  自分のスタイルに戻ってしまっていることに気付いてもらう仕組みがあるか

の3点を点検してみてください。
また、会話内容そのものよりも、1on1導入時の状況から少しでも現場の対話スキルが上がっているか否かに焦点を当てたうえで現状を改めて確認してみてください。やらされ1on1になって、日常的なコミュニケーションと1on1の差がないようでしたら、テコ入れが必要です。

実は一番怖いのは「現場の状況が分からない」こと

実はもっとも1on1導入・推進において危険なのは、誰も現状を把握していない状態です。「導入はしたものの、現在の現場の様子がわからない」「現場ではやっていると思うけど、よく知らない」など、実はかなりの企業からそういった声を聴きます。上位層の鶴の一声で1on1導入が決定された企業や親会社の意向で1on1を導入した企業に多く発生しています。

「現場実態不明パターン」に陥る企業は1on1を導入すること自体が目的となっていることが多く、1on1導入ガイダンスや研修を企画・実行するものの、導入することに精一杯で、継続のための仕組み作りを後回しにしています。
継続についてはまた考えれば、と思っているうちに時が経過してしまい、現場の実態が分からなくなっているのです。
この状態になってしまうと、何か次の手を打とうにも現場の実態把握から開始しなければならず時間がかかります。今から1on1を導入しようとされている企業においては、現状把握をする仕組みだけは整えていただきたいです。

1on1がうまくいっている企業の特徴

1on1がうまくいっている企業は、自社で1on1を導入するとしたら何が起こるか? 現場からの反発も織り込んだうえで予め綿密にシュミレーションし、必要な対策を予め講じています。うまくいっている企業は、現場からの反発がない企業ではなく、将来起こる問題を所与と捉えたうえで、タイムリーに適切な対処を取れる企業なのです。

ある製造業での事例をご紹介します。社長・人事は1on1を導入したいと思っていましたが、現場の工場長が反対、中核となる工場全体が1on1に難色を示していることがありました。この企業は、社長は若く前任から交代したばかりで、工場長の社歴は長く現場からの信頼も厚い、という状況でした。
社長や人事が1on1をやる、とアナウンスをしても現場には響かないことを想定し、事前に人事と工場長の間で腹を割って会話をする機会、現場の実態をヒアリングする機会を設けました。工場長から直接話を聴いてみると、工場内で進めているコミュニケーション施策が別にあり、その施策と重複するにも関わらず相談もなく人事が1on1を勝手に推し進めてきたと感じ、難色を示していたとのことでした。
この時は直接工場長との対話の中で、工場独自施策と人事施策の目的が変わらないことを確認、また、1on1の実施場所がないという悩みに対して、時間を限定し食堂を解放することなどを協議しました。その結果、目的の実現に向けて人事からの支援をお約束し、無事に1on1を進めていただけることになりました。

この事例の他にも、たくさんの企業の導入・定着を支援する中で、我々は1on1導入企業が辿るおおよその道筋が見えてきています。そして、その道筋に照らし、何が必要かおおよそわかってきました。次回は、その具体的な内容についてお伝えします。

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