1on1の現状と今後 vol.2

1on1の今を知る

1on1という言葉が日本で広がったのは2017年に当時ヤフー株式会社の本間浩輔さんが出版された「ヤフーの1on1」という本がきっかけで、今や全国で約70%の企業が導入する施策にまで成長しました*。
連載の第2回目では今日に至るまでの日本における1on1拡大の軌跡と、1on1導入調査結果と個社ヒアリングから見えてきた導入企業の現状をご紹介していきます。
*「1on1ミーティングに関する実態調査」(リクルートマネジメントソリューションズ)

参考:第1回 1on1の可能性とは

目次

  1. 日本における1on1拡大は「ヤフーの1on1」とコロナ禍がきっかけ
  2. 1on1はコミュニケーション活性化ツールから再びマネジメント変革ツールへ
  3. 約60%の企業において上司部下コミュニケーションの増加などの良い効果が出ているが課題も見えてきている
  4. 1on1が既に形骸化している企業も一定存在している

日本における1on1拡大は「ヤフーの1on1」とコロナ禍がきっかけ

1on1は2017年頃当時ヤフー株式会社の本間浩輔さんが出版された「ヤフーの1on1」がきっかけで日本に広まっていきました。これが1回目の導入ムーブメントです。

VUCAと呼ばれる変化の大きなビジネス環境にいち早くさらされた業界の中で成果を生み出し続ける組織とはなにか?という問いが生まれました。正解のある業務をわかっている人が他の人に教えるということができなくなったためです。全員答えをもっていないのでみんなで知恵を出し合ってコミュニケーションしながら進めていく仕事の進め方に会社として変えていきたい、そのための一つのツールとして1on1を導入する、という企業が多くみられました。
実際、当時1on1の実施目的をヒアリングした際にキーワードとしてよく出てきていたのは①自ら主体的に考え、行動する社員の育成(自律促進)、②社員のモチベーション向上、③上司・部下の信頼構築の3つで、2022年現在の今も変わらず多くの企業の1on1導入目的になっています。

第2回目の導入ムーブメントが起こったのは、コロナ禍がきっかけでした。
コロナ禍以前は部下と毎日顔を合わせることが前提で、日常的な表情や、電話の内容・声色等で状況を把握し必要な時に声をかける「相手の状況を察する力」や「空気を読む力」等でマネジメントをされてきた方が、コロナ禍でテレワークが進んだことで急にそのマネジメントスタイルを使えなくなりました。従って、部下と物理的な距離が離れていても様子が把握できるツールとして1on1が次々に導入されていったのです。
コロナ禍によって、上記の①~③の目的に加え、④部下のコンディション把握のためのコミュニケーション機会を創る、という目的が加わったのです。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ 1on1ミーティングに関する実態調査(2022)

図表:リクルートマネジメントソリューションズ提供

1on1はコミュニケーション活性化ツールから再びマネジメント変革ツールへ

今、現在はどうでしょうか。引きつづき1on1を導入される企業が多い中でも、導入目的は変化を感じます。

リモートワーク偏重からオフィスとの出社も織り交ぜた「ハイブリッドワーク」に各企業が転換している最中であることや、1on1の効果と定着には時間と労力を要するという認知が広まりつつある為だと推察します。そのため、人・組織課題解決/育成のためのマネジメントツールとして1on1が自社にとって適切か、目的を慎重に検討する企業が増えました。個社ヒアリングでは、次のような目的で検討しているという企業がありました。いくつか事例を挙げますと、喫緊の課題対策としての1on1、例えば、若手の離職へ歯止めをかけたい、そのためにまずは本音で対話が出来ている上司部下の関係性を築いてほしいという目的。長期的な課題への対処策としての1on1、例えば、世の中の急激な変化により従来あった仕事がなくなりつつあることから、自分が興味を持てる仕事を自ら探し、チャレンジしていってほしいというキャリア自律支援目的、等です。

約60%の企業において上司部下コミュニケーションの増加などの良い効果が出ているが課題も見えてきている

前述の「1on1ミーティングに関する実態調査」で1on1の効果について尋ねたところ、60.1%が「上司と部下のコミュニケーションの機会が増えた」、46.5%が「部下コンディションの把握ができている」、40.2%が「上司と部下が本音で話せる関係になっている」、と回答しており導入の結果、何らかの効果があったと回答している企業が多く見られました。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ 1on1ミーティングに関する実態調査(2022)

一方で、上司のスキル不足や1on1の時間の捻出、満足度にはまだ課題があるという結果にも着目しなければなりません。上司のスキル不足が課題だと回答している部下側の意見として、業務の進捗を確認される場が増えただけで1on1が苦痛、上司の話をひたすら聞くだけの接待1on1、本音ではなく上司の意向をくみ取って会話をする忖度1on1になっている、などと聞くこともあります。一部の企業では、部下が最高のパフォーマンスを仕事で発揮する支援のための場だったはずの1on1の場が導入からの時間の経過とともに変質しているケースもあるようです。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ 1on1ミーティングに関する実態調査(2022)

1on1が既に形骸化している企業も一定存在している

導入まではうまくいったものの、1on1の形骸化に悩む企業も増えてきています。具体的には「導入後1~2回は1on1を実施したけど、現在では実践されていない」「A部では実施率が高いけどB部では全然実施されていない」、更には「既に現場の実践状況が全くわからない」などです。

次回からは、1on1がうまくいく・いかないの差は何から生まれるのかを具体的なケースを元に解説していきます。ぜひ転ばぬ先の杖として次回もお読みいただけますと幸いです。

>>>第3回 1on1導入のパターンとうまくいかない企業の特徴

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