フリーアドレスを導入してコミュニケーション活性化を成功させるための重要ポイント
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策の一環としてリモートワークを導入したことをきっかけに、オフィスを移転したりオフィス規模を縮小する企業が増えました。中には出社人数が減ったことで発生したスペースを有効活用して屋内で野菜やハーブを栽培するサービスを活用し、ただの職場でしかなかったオフィス環境を進化させる企業も。
今回は、そんなオフィスの新たな活用方法のひとつ、「フリーアドレス」について、どういうものなのか、また活用するにはどうすればいいのかをお話しします。
目次
実際に体験して見えてきたテレワークのデメリット
コロナ禍によりテレワークが広まり、オフィスに行かなくても仕事ができるという認識が浸透したことで「オフィス不要論」を掲げる人も出てきていますが、同時に、次のようなテレワークのデメリットも浮き彫りになってきました。
・コミュニケーションがしづらいことで社内の人間関係が希薄になる
・他部署とのやり取りが激減することでトラブルが発生しやすくなる
1つめのコミュニケーション不足についてですが、従来のオフィス勤務であれば、働く時間や場所が共通だったため、相手の様子を見た上で仕事のちょっとした相談がしやすく、さらには雑談を通して同僚や上司、部下の「人となり」が知りやすく、心理的安全性の確保ができていました。
ところがリモートワークだと相手の状況がわからないため、何か聞きたいことがあっても遠慮してしまう、といった状況が発生しやすいです。特に新人の場合、部署内のメンバーや上司との信頼関係が築けていないため、コミュニケーションが消極的になってしまいがちです。
2つめの他部署との連携不足による問題発生は、オフィス勤務であっても起きてしまう課題のひとつです。それでも同じ敷地内で働くことで、移動中や休憩、食事の時間に顔を合わせることをきっかけに打ち合わせのアポを取ったり、雑談からちょっとした情報共有ができていることで問題が表面化しにくくなっていました。それが、出勤しなくなったことで、表面化してしまったという声をよく聞きます。
こういった事情から、規模縮小はできても、完全にオフィスをなくすのは難しいという意見もあるのです。
テレワーク時代におけるオフィスの4つの役割
当社は全メンバーがフルリモートで働いているため、テレワークのメリットはしっかり享受しつつ、デメリットの解消方法に関するノウハウも蓄積してきました。
今回、テレワーク時代に求められるオフィスの役割について4つ挙げてみます。
【1】企業のビジョンやミッションの浸透
働く時間や場所に関わらず、企業というひとつの組織で働く上で、ビジョンやミッションの共有は欠かせません。組織として目指しているもの、何に注力しているのかを共有することで、メンバーに当事者意識が生じ、パフォーマンスの最大化につながるのではないでしょうか。
これからのオフィスの在り方のひとつとして、企業理念や経営戦略を発信し、オフィスに来ることでそれを体感できる場所であることが求められます。
【2】メンバーのコミュニケーション円滑化
前述のように、やはり同じ空間にいるといないとではコミュニケーションの発生率が大きく変わります。
特に未来について議論するディスカッションやキャリア面談など、膝を突き合わせての会話により新たなアイディアが生まれたり、何気ない会話からヒントを得ることが少なくありません。
つまりオフィスをただ単に仕事をするための場所とするのではなく、メンバー同士のコミュニケーションが活性化し、モチベーション向上につなげられる場所にすることが重要です。
【3】対外的な信用価値向上
3点目は、オフィスを持つことによって得られる対外的な信用価値です。
近年ではコワーキングオフィスやレンタルオフィスを導入する企業が増えてきていますが、やはり自社オフィスがある企業と自社オフィスがない企業を比較した場合、前者の方がより信用度が高いと感じられます。
また、顧客との打ち合わせ場所や資料などの送付先のような連絡先情報としても、固定オフィスがあると便利です。
【4】自由な働き方の象徴
「オフィスはあるけどリモートで働ける」と認識することで、自由な働き方をしているという自覚が生まれます。
好きな時に会社に来て働けるようにする、働くお父さん・お母さんのために小さなお子さんを預けられる託児所を併設する、定期的にオフィスでちょっとしたイベント(たこ焼きパーティや鍋パーティなど)を開く、軽くエクササイズをしたり仮眠が取れる場所を用意すれば、オフィスこそが「自由な働き方の象徴」になるのではないでしょうか。
フリーアドレスとカルビーの導入例
フリーアドレスというのは、業務内容や気分に合わせて自由に席を選ぶ事ができるスタイルのことです。コロナ禍の影響により多くの企業で出社率が大幅に下がり、働き方が大きく変わったことをきっかけにオフィスで仕事をする価値を高めるための手段の一つとして、フリーアドレスに注目が集まりました。
コロナ禍以前より在宅勤務制度を開始していたカルビーでは、2021年6月にオフィスを2フロアから1フロアに集約させた上で、大きなリニューアルを実施しました。
各ワークスペースがランダムに重なる設計で、机の配置をバラバラにしたり動線を一直線にせず人と人との交わりが増えるレイアウトです。さらには執務スペースの席数は従来のオフィスの約半分にしてコミュニケーション向きの席の割合をさせ、一部の固定堰を除いてフリーアドレスとすることで新しい価値やアイディアの共創、イノベーションが起しやすい環境となっているようです。
参照:カルビー、本社オフィスを全面リニューアル!“畑”をモチーフに、新たな価値やアイディアがより共創しやすい空間へ(PR TIMES)
フリーアドレスのコミュニケーション活性化に必要な仕掛け
コミュニケーション活性化を目的としたフリーアドレス導入では、次のような仕掛けをすることでより大きな効果が得られます。
・雑談が生まれる空間を作る
コミュニケーションを取るには、相手と同じ場所に一定時間留まる必要があります。コピー機周辺や休憩室、食堂などは順番待ちなどの時間をきっかけにちょっとした雑談が生まれやすいです。
更に、会話が生まれやすいスペースの代表はやはり喫煙室でしょう。集まる顔ぶれが共通しやすく、定期的に同じ目的で訪れることから、肩書を問わず仲間意識が生まれやすいことから雑談しやすい環境となっています。
オープンミーティングエリアや給湯スペースも同様の理由でコミュニケーションが活発になりやすいですね。
・上司から積極席に声を掛ける
話を始めるきっかけが多い場所の一例として、オープンミーティングエリア、カフェスペース、休憩室が上がっており、普段別の部屋で仕事をしている相手と顔を合わせる機会となったり、打ち合わせの深刻さ内容、また「そろそろ終わりそうだな」といったタイミングが見えることで声をかけやすい場所となっています。
フリーアドレスオフィスを成功に導くための重要ポイント
上記以外にも、フリーアドレスオフィスを成功させるためのポイントには次のようなものがあります。
・一定期間以上同じ席に座らせない
食堂やカフェテリアなどで、気が付けばいつも同じあたりの席に座っている、という経験は誰しもあるでしょう。
これはフリーアドレスでも同様で、いつも同じ席に座っていては固定オフィスと変わりません。
「〇日以上同じ席・スペースに座らない」「私物を席に残さない」というルールを設けることでこの現象が回避できます。
・部署間合同ミーティングの導入
部署間での連携やコミュニケーションを円滑にするためにも、ビデオ会議ではなく一堂に会しての合同ミーティングを設けましょう。
月に1、2回程度であっても、プロジェクトの進捗状況や課題の確認を直接行うことで、その後のチャットやメールでのコミュニケーションがスムーズになります。
・仕事以外のことができる環境の整備
フリーアドレスでコミュニケーションを促進させるには、当然ですが「私語厳禁」な環境は完全に逆効果です。
仕事以外の目的で使えるエクササイズスペースや小さなキッチン、リラックススペースを設けることで、職場ながらもプライベートな一面を知ることができますし、それがきっかけとなってコミュニケーションが加速する効果が期待できます。
場所だけでなく機会も与えることで、フリースペースによるコミュニケーション活性化を成功に導こう
様々な人が集まるイベントやミートアップに参加しても、参加者同士が交流する催しがなかったため、結局誰とも話さず帰ってきてしまった、という経験を持つ人もいるのではないでしょうか。
このように、「フリーアドレスを導入しさえすれば自然と社員たちのコミュニケーションが活性化する」ということはありません。やはりある程度は企業側からあまり面識のない人とも関われる場を提供し、挨拶や雑談できる相手を増やすように働きかけることが重要です。
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