仕事がデキる人事・総務のビジネスメール術(Web版)

【第5回】人事・総務が社労士や弁護士にメールでスムーズに相談する方法

最近、社労士や弁護士などの専門家がメールで相談を受け付けるサービスが増えています。忙しい人事・総務にとって、時間や場所をとらず相談できる手軽さもあるので、利用したいものですが、メールは直接会話をするわけではないので、相手との距離感も分かりません。また、こちらの発言から意図をくみ取ってアドバイスをしてもらうということも難しくなります。そのようなとき、どのようなメールを送ればスムーズに相談できるのかが今回のテーマです。

情報を整理し、「伝えること」「聞きたいこと」を明確に

【社労士への相談メール】
従業員Yが同じビル内にある2つグループ会社(A,B)でそれぞれ正社員、パートとして働いています。グループ会社の代表(使用者)はそれぞれ違います。この場合、従業員の労働時間の規制はA社、B社合計して40時間に限定されるでしょうか。それぞれ個別の事業所で40時間となるのでしょうか。ちなみに、A社の労働時間は毎週30時間と固定しています。実は今回、私の所属するA社でとりまとめて給与計算をするため、労働時間を計算した際に、B社の仕事分が多く、B社の仕事で休日出勤した8時間を入れると48時間になってしまっていたことが発覚しました。これが労基法違反になるかという心配をしています。ただし、A社としては同じグループのB社のことは、あずかり知らぬ時間での労働時間と考えています。

上記のメールは、メーカー勤務の総務担当者Aさんが相談のために送ったメールです。しかし、社労士からは「この内容ではよく分からないため、直接話をしないと回答できない」と返信が来ました。では、どのような書き方をすればよかったのでしょうか。ポイントを5つあげながら解説をしていきます。

(1)聞きたいポイントを明確に

専門家に質問をするとき「何が分からないかが『分からない』ため、とりあえず全部を伝える」ということをしがちです。しかし、専門家は知識を前提に回答することはできても、質問が具体的でなければ的確に答えることができません。さらに、メールは対面と違って表情など言葉を補う情報がありません。

要点がつかみにくい文章から相手に意図をくみ取ってもらうというのは非常に難しく、誤解が生まれたり無駄なやりとりが増えたりする原因となるでしょう。自分が何を聞きたいのかポイントをしっかり絞り、要点を明確に伝えることが重要です。

(2)問題点は、何が聞きたいのかが分からないこと

このメールで質問したいことは「本ケースが労基法違反にあたるのか」であることが、全体の内容と「これが労基法違反になるかという心配をしています」という文章から推測できます。

しかし、実際にメールの中で質問として出てくる表現は「A社、B社合計して40時間に限定されるでしょうか」、「それぞれ個別の事業所で40時間となるのでしょうか」で、一読しただけでは何が聞きたいのか分かりづらくなっています。質問がぼやけていると何を答えたらいいのか分かりません。

(3)求める回答から質問を作る

専門分野の質問ゆえに、自分が聞きたいポイントを絞り込むことが難しい場合は、相手からどのような回答がほしいかを想定してみてください。この場合であれば、社労士からの返信に「本ケースは労基法違反になりません」もしくは「労基法違反になる恐れがあります」と書いてあれば、求める回答がもらえたことになります。ということは「本ケースは労基法違反になるでしょうか、ならないでしょうか」という質問をすればよいことになり、質問が明確になります。

(4)伝える情報を分類する

聞きたいことが明確になったら、その質問を詳しく説明します。その際のポイントは、事実と推測や感情、これまでの経過と今回の相談事例、判断材料となる必要な条件など、伝えるべき情報の種類を分けることです。その上で、それぞれの内容をまとめて箇条書きにすることができれば、第三者にとって客観的かつ分かりやすいメールになります。

事例では「これが労基法違反になるかという心配をしています」とありますが、これは個人的な懸念、感情であり本題ではないと解釈される可能性があります。こちらの意図する解釈をされなければ、求める答えがもらえません。それなら「労基法違反にならないか教えてください」と事実と情報をはっきり分けて質問した方がよいでしょう。
心配であるなら、その理由を深く考えてみると大切なポイントが見えてきます。メールで相手に伝えるのではなく、自分に対して投げかけてみましょう。

(5)視覚的な配慮を

伝えるべき内容を分類できたら記号や改行、箇条書きを使って視覚的に分かりやすいメールを作っていきましょう。一文は短くすることで、主語と述語の関係が明確になりやすく、それだけでも理解しやすくなります。相手に熟読させたり、何度も読み返させたりすることがなければ、自然と分かりやすいメールとなり、ストレスを与えることなくスムーズなやりとりができるでしょう。

相手から引き出したい答えをイメージして質問を書く

【回答例文】
給与計算方法についてお問い合わせいたします。
本ケース(従業員・Y)について
労基法違反になるか、ならないかを教えてください。

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 事実関係
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・私の所属する会社Aの従業員(Y)は正社員
・Yは会社Bでパートとしても勤務
・会社A・Bはグループ会社、同じビル内
・会社A・Bの代表(使用者)はそれぞれ違う
・労働時間は毎月、A社は30時間、B社は10時間以内で規定
・給与計算はA社(弊社)でとりまとめて行う

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従業員(Y)の労働時間
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A社30時間+B社18時間=48時間 

・B社の仕事で休日出勤の8時間込み
・A社として、この8時間は把握していない

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 質問
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A社30時間+B社18時間=48時間

この計算方法でよろしいでしょうか。
この場合、労働法違反になるのでしょうか。

計算方法は以下(1)(2)のどちらになるかご教示ください。

(1)A社+B社=40時間以内
(2)A社=40時間、B社=40時間 →A社+B社=80時間

よろしくお願いいたします。

専門家への相談をメールで送るときは、どのようなアドバイスをもらいたいのかを具体的にイメージしてから、そのアドバイスを引き出せるよう逆算して質問を書いてみましょう。質問することが目的になってしまうと、メールの意図が分かりにくくなるので注意してください。

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