なぜあなたの会社の「女性活躍」が進まないのか vol.2

女性の挑戦モチベーションが低くなる職場の共通点

「女性活躍推進法」が2022年4月より改正され、“労働者101人以上の事業主”も義務対象になりました。これによって、大企業のみならず中小企業においても、女性社員の採用、育成、管理職への登用が不可欠となってくるでしょう。

皆さんの会社は、どのような対策・施策を行っていますか?
前回は女性が管理職昇進に感じている不安について書きましたが、今回は「女性の挑戦モチベーションが低くなる職場」の共通点について書きたいと思います。

「女性はやる気がないのでは?」「女性は働く意欲やリーダーへのチャレンジ精神が少ない」という声を聞くことがありますが、本当にそうでしょうか? 第2回となる当コラムでは、職場で女性をはじめとして、働く人がやる気を失いやすくなる原因やその解決法についてご紹介していきます。

目次

  1. 挑戦モチベーションとは何か
  2. 女性の挑戦モチベーションが低い職場の特徴
  3. 女性も、男性も、誰もが力を発揮できる職場にするために

1. 挑戦モチベーションとは何か

女性が管理職になりたがらない、女性は仕事への意欲が低い、新しいことへの挑戦を避ける傾向にある・・このような話を企業の人事担当者や経営層向けの研修、企業支援を通じて多々耳にします。

しかし一方で、このような悩みが出てくる場合、一度、このような問いかけをしてみてください。
「女性以外の社員も、新しいことへの挑戦意欲やリーダー職への意欲は高いのだろうか?どのような状態でも安心して挑戦できる心理的安全性はあるのだろうか?」と。

確かに女性の場合は、育児や出産、配偶者の勤務地や介護の有無などのライフイベントでキャリアへの影響が大きくなる傾向があるため、新しい挑戦や責務の大きい仕事に対して不安を感じやすいかもしれません。(本来ならば育児や介護などは、男性も、女性同様に大きな影響を持つべきで、女性に負担が偏っている構造の見直しも必要です)

しかし、様々な事情があっても、社員に「挑戦モチベーション」が育まれる環境もあります。挑戦モチベーションとは、コンフォートゾーン(快適で慣れている作業)から一歩出て、少し難しいようにみえることでも「やってみよう」と前向きに行動できる心のエネルギーです。性別関係なく「やってみよう!」と前向きなエネルギーが溢れる職場もあれば、一方で、男性は挑戦しやすいけれど女性はやる気がない・・そのような職場もあります。(性別関係なく男女ともにやる気のない職場ももちろんありますね)

2. 女性の挑戦モチベーションが低い職場の特徴

私たちMentor Forは、主に、女性管理職育成を目的とした社外メンターマッチングの事業を行っており、様々な企業様から「女性が管理職になる支援をするにはどうしたらいいか」と言ったご相談をいただいています。
私たちも、そのお悩みに応えるべく、これまでの現場経験の分析に加え、国内外の事例や研究をリサーチしてきました。

その結果、女性の挑戦モチベーションが低くなりがちな職場・チームには次のような共通点があることがわかりました。

共通点① 性別に関するアンコンシャス(無意識)・バイアスが男女ともに強い

アンコンシャス・バイアスは次のように説明されます。

自分自身は気づいていない「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」をいいます。 アンコンシャス・バイアスは、その人の過去の経験や知識、価値観、信念をベースに認知や判断を自動的に行い、何気ない発言や行動として現れます。

「アンコンシャス・バイアスとは」(株式会社クオリア)より

そして、特に性別に関する無意識バイアスとは、次のようなものがあります。

「女性がやっぱり育児・家事の主体だよね」
「女性にリーダーや難しい仕事、出張は向いていない」
「女性はお茶汲みやコピー取りなどのサポート的な役割を行うべき」
「女性は感情的、男は論理的」
「男性は大黒柱として家族を養うべき」
「男性なんだから子供が風邪くらいで仕事を休んではいけない」

ここまであからさまではなくとも、日々の職場の中で、来客があったときに女性社員だけに「お茶お願いね」と言ったり、重要な会議ではいつも男性がファシリテーターで女性が書記だったり、飲み会にママ社員が誘われなかったり・・・そのようなことはないでしょうか?
このようなことが積み重なると「女性には重要な仕事は無理だな」と職場全体に刷り込まれてしまいます。

共通点② 心理的安全性が低い

心理的安全性のある組織とは、恐れも不安もない組織のことで、安心して挑戦できる、組織の人たちが本音で向き合える、弱みも出せる状態です。
失敗したら責められる、忖度ばかりで違う意見を言ったら仲間外れになる、信頼よりも恐怖心と罰則で管理している、という組織は、心理的安全性の低い職場です。

共通点③ 仕事の基準がゆるい・曖昧・期待していない

心理的安全性が高い職場というと、「仲良しサークルでゆるい職場」だと勘違いをされることがありますが、それは誤解です。
会社組織である以上、仕事のアウトプットや基準は高いものが求められるでしょう。逆に、仕事の基準も曖昧、納期や品質が基準を満たなくても「まあいいや」で流す、そして女性社員に期待をかけていない、という状態だと、いくら心理的安全性が高くても、なぁなぁで緩い職場になるだけです。

3. 女性も、男性も、誰もが力を発揮できる職場にするために

ここまでの流れでお気づきかもしれませんが、性別関係なく、いえ、女性「も」自分らしく力を発揮できる職場とは、無意識バイアスが少なく、かつ、心理的安全性が担保されつつ、高品質・プロフェッショナルな成長が可能になる職場ではないでしょうか。

まず、無意識バイアスを排除するためには何ができるのか? 人は誰しもが無意識バイアスをもっていますが、「無意識バイアスとは何か」を知るところからスタートします。そして、無意識バイアスに気づいたら修正したり、あるいは、意思決定のプロセスに多様性を確保したりするなどしてバイアスが発動されにくい仕組みを作っておくことです。無意識バイアスについては書店でも様々な本が並んでいますし、私たちも手軽に学べるe-learingを展開しています。ぜひ学んでみてください。

次に、心理的安全性を高めるためには。チームの心理的安全性に関しては、実はリーダーの言動が7割影響すると言われています。リーダーがメンバーを恐怖や罰を軸にマネジメントしてしまうと、部下は表面的に言うことは聞くかもしれませんが、不都合な真実が報告されなかったり、上司の罰を恐れて挑戦をしなくなったりといったことが起き始めます。

罰と恐怖ではなく、しかるべきビジネスの目的とルールを設定した上で、それぞれが自分らしく力を発揮できるよう、リーダーはチームの雰囲気作りを意識することが重要です。

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