なぜあなたの会社の「女性活躍」が進まないのか vol.1
女性が管理職になりたくない? キラキラロールモデルの罠
「女性活躍推進法」が2022年4月より改正されるにあたって、「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出」および「女性活躍推進に関する情報公表」が、“労働者101人以上の事業主”も義務対象になります。大企業のみならず、中小企業においても、女性社員の採用、育成、管理職への登用が不可欠となってくるでしょう。
また、この女性活躍は「法律があるから」というよりも、少子高齢化で労働人口が減り、また、マーケットも縮小していく日本社会において、女性をはじめとした様々な属性の人材が活躍していくことが不可欠な要素であることを意味しています。
とはいえ、
「女性活躍って何をすればいいの?」
「いろいろやっているけれど、効果が見えない・・」
「そもそも女性がリーダーになりたがっていない」
という話を、あちこちで耳にします。
皆さんの会社は、どのような対策・施策を行っていますか?
第一回目は、女性が管理職昇進に感じている不安について書いていきます。
目次
1.女性の管理職登用のリアル
▼写真はイメージ(提供元:123rf)
残念ながら日本のジェンダーギャップ 指数は156カ国中120位(2021年)と非常に残念な数字です*1。中でも、政治・経済分野のスコアが著しく低く、女性の政治家、経済リーダーの少なさが顕著です。
TBD景気動向オンラインの2021年8月の調査(調査期間は2021年7月15日~31日/ 調査対象は全国2万4,285社で、有効回答企業数は1万992社)によると、女性管理職の平均割合は8.9%、「女性管理職30%」達成企業はわずか8.6%という、非常に残念な数字となっています。
出典:「女性登用に対する企業の意識調査(2021 年)」株式会社帝国データ
しかし、このような企業の担当者に話を聞くと「女性を管理職にしたいけれど、女性がなりたがらない」「実力のある女性がそもそも少ない」「機会は平等なのに女性が機会を活かしていない」などといった声も。
一方、女性側からも「管理職にはなりたくない」「自信が無い」といった声が多いことも、調査で明らかになっています。女性の転職@Typeの調査(2021年6月4日~6月17日 / 有効回答数/864名)によると、管理職経験がないと回答した人に、今後管理職になりたいかを聞いたところ、「あまりなりたくない」「絶対なりたくない」と答えた、管理職になりたくない派が54.9%と、なりたくない派が過半数を超えました。
出典:「【864名調査】管理職になりたくない人が多数派? 女性の昇進意欲を左右する職場の要因とは」女の転職type
*1 世界経済フォーラム(WEF)が2021年3月31日公表した「ジェンダーギャップ(男女格差)リポート」より。
参考:「共同参画」2021年5月号(内閣府・男女共同参画局)
2. 女性の管理職になりたくない理由
では、なぜ管理職になりたくないのでしょうか?
その理由をご説明する前に、私たちの仕事についてご紹介します。
▼写真はイメージ(提供元:123rf)
私はMentor Forという会社で、「社外メンターの育成、企業マッチング」を行っています。これは、日本(世界)にいるキャリアや様々なライフイベントを経てきた女性を社外メンターとして、企業の女性管理職・候補の方々へマッチングし、メンタリングセッションを提供する事業です。
社外メンターが、企業の女性社員一人ひとりに寄り添い、1on1と呼ばれる対話を行い伴走します。会社(上司)には話しづらいプライベートも含めたキャリア不安、管理職としての悩みに寄り添い、メンターの豊富な知見をアドバイスすることで、女性社員の自己成長を支援しています。また、同時に、社外メンターを活用しながら、社内でもメンター制度がうまく回っていくような支援も行っています。
2018年にこの事業を開始し、現在に至るまで、様々な企業の女性社員の本音・胸の内に向き合ってきました。
そこで見えてきたことは、次のことです。
管理職手前の女性:
- 仕事への意欲・成長意欲は心に秘めて持っている人が多いが、管理職は興味が持てない。
- 同性のロールモデルが不在のため、管理職になるイメージを持ちづらい。
- 会社・社会が提案するロールモデルはキラキラしすぎて引いてしまう、真似できないと思う。
管理職の女性:
- 自ら積極的にというより、周囲から押されて管理職になるケースが多い。
- しかし管理職になってみると満足度や自信も高まる。
- 一方で、後輩のロールモデルになって欲しいと言われると身構えてしまう、力みすぎて疲れる、悩みや本音を相談できる相手がいない。
3. 女性を管理職に上げるためには、キラキラロールモデルが必要!の罠
400社に聞いた「企業の女性活躍推進」実態調査2021―『人事のミカタ』アンケート―(エン・ジャパン株式会社, 2021/3/21)によると、企業における女性社員の活躍推進における課題は「ロールモデルの不在」が大幅に増加し、2018年時の課題第1位「女性社員の目標設定」と入れ替わりました。
つまり、企業側は「ロールモデルが不足しているから女性活躍が進みにくい」と感じているようです。
たしかに、働く女性は増えていますが、管理職女性の数はいまだ少なく、社内に働く女性・女性リーダーのロールモデルが少ないことは大きな課題です。
一方で、「2.女性の管理職登用のリアル」で挙げた女性社員の胸の内を見たところ、ロールモデルがいること、に加えて「どのようなロールモデルが、どのように関わるか」ということが重要になることがわかります。
管理職にもなり、育児も家事も完璧にこなし、仕事もバリバリ。身嗜みも振る舞いも完璧で常に笑顔・・といった像をロールモデルに求めがちになりますが、それは逆効果になるのではないでしょうか。
社外メンターによる女性リーダー育成の事業を行っている観点から、どのようなロールモデルが、どのように関わると女性が自信を持ち一歩踏み出せるようになるか、というお話を、次回のコラムで詳しく書いていきたいと思います。
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