新入社員の早期定着には「3つのつながり」が必要?
オンボーディングのプロセスとは?
前回の記事では、オンボーディングの基礎知識や重要性についてご紹介しました。オンボーディングの狙いは、新入社員のモチベーション維持を助け、組織の一員として溶け込ませ、早期定着・即戦力化を図ることです。オンボーディングは異文化への適応のプロセスとも言えます。まさに、オンボーディング期間を通じて、新入社員は、新たな組織という「異文化」に溶け込んでいくために、一種の「社会化」を経験しているとも言えます。
では、そのオンボーディングのプロセスにおいて、押さえるべきポイントは何なのでしょうか? これから2回に渡り、オンボーディング施策を検討する上で重要な3つのプロセスや、各プロセスの施策をみていきたいと思います。
目次
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- オンボーディングで必要な3つのつながりとは?
- 【プロセス1】組織とのつながり
施策【1】トップからのブリーフィング
施策【2】組織のバリュー(行動規範)を明確に伝える
施策【3】組織の全体図を伝える - まとめ
オンボーディングで必要な3つのつながりとは?
オンボーディングの施策は、各社によって様々であり、各組織のカルチャー、サイズ、業界にあわせてカスタマイズしていくことが重要です。しかし、オンボーディングプロセスを設計する上で、1.組織理解(組織とのつながり)、2.人間関係の構築(人とのつながり)、3.成功体験(成果とのつながり)といった、3つのつながりを構築していく視点がポイントです。
<図:オンボーディングの3つのプロセス>
- 組織とのつながり:組織の目的、所属する部署や担当業務を理解し、組織における自分の役割やミッションを理解するプロセス
- 人とのつながり:社内のオフィシャル・インフォーマルな人間関係を構築していくプロセス
- 成果とのつながり:組織からの課題やチャレンジに応え、自分の能力を発揮し、ミニ成功体験を通じて自信を高めるプロセス
これら3つのプロセスを意識しながら、新入社員の心理的変容のタイミングにあわせて、自社ならではの施策を考え、実行し、社内に浸透させる(仕組み化する)ことが大切です。
では、3つのプロセスにおいて、具体的にどのような施策ができるのでしょうか?
今回は、プロセス1(組織とのつながり)について詳しくみていきます。
【プロセス1】組織とのつながり
このプロセスの目的は、新入社員が組織のミッション・ビジョン・バリューなどの「大目的」を理解したうえで、組織における自分の「役割」を発見し腹落ちさせることです。組織や部署の目的を「伝える(オリエンテーション)」だけでなく、自分事として浸透させるためのプロセスとして捉えることが大切です。
では、どのような施策があるのでしょうか?
施策【1】トップからのブリーフィング
ある調査(※1)では、企業における85%の従業員が、「役員や経営者が、定期的に企業の最新情報やアップデートを伝えてくれるとやる気が向上する」と回答しているとの結果が報告されています。オンボーディングプロセスにおいても、企業のトップ自らが時間をとって、創業ストーリー、現状のミッションやビジョン、事業戦略を共有し対話する機会が重要です。
ブリーフィングを行う際にも、経営者が一方的にしゃべるようなスタイルではなく、トップが言うべきことを伝えつつ、新入社員から質問を受けながら、社員が企業を理解できているかを確認していくような対話形式が望ましいといえます。
また、ランチタイムなどを利用して、カジュアルな雰囲気の中で、経営者と社員が、お互いの家族構成、これまでのキャリア、趣味、経験などを共有し、お互いの人柄やパーソナリティを知り、感情的なつながりを構築する工夫をするのもよいでしょう。
※1:smarp “Internal Communication: Definition, Challenges and Top Reasons Why It’s More Important than Ever”(https://blog.smarp.com/internal-communication-definition-challenges-and-top-reasons-why-its-more-important-than-ever)
施策【2】組織のバリュー(行動規範)を明確に伝える
ビジョン・ミッションを伝えることと等しく大切なのが、組織の「バリュー(価値観・行動規範)」を伝えることです。オンボーディングプロセスにおいて、CEOやリーダーが、自社の価値観や行動規範に込められた意図や想いを伝え、組織のメンバーとしてどのような行動が推奨され、またNGなのかといった、組織内の暗黙知を形式知として伝えることがポイントです。これにより、新入社員は、組織の歩き方が書かれた「地図」を手にすることができます。
NetflixやLINEなどのスタートアップ企業では、「カルチャーデック」という企業のミッション、ビジョン、価値観を説明したスライド集またはハンドブックを作成しており、このカルチャーの浸透に投資をしています。例えば第一歩として、パワーポイント1枚にまずはカルチャー(行動規範)を、キーワード・キーフレーズレベルで言語化することから始めてみてはいかがでしょうか。
施策【3】組織の全体図を伝える
特にコロナ禍のリモート環境においては、SlackやZoomなどで、直属のマネージャーや担当者との1対1のコミュニケーションはあったとしても、なかなか組織の全体像を把握することは難しいといえます。対面コミュニケーションが限られている中、組織全体の雰囲気や人間模様を感じ、うかがい知ることも困難です。
そこで、組織の全体像や、全体でどのようなプロジェクトが動いているのか、各プロジェクトや部署のメンバーは誰なのかといった情報を改めて言語化していくことも良いでしょう。新入社員にとって、自分が組織全体のどこに位置付け、どのような役割を担っているのかを理解できるだけでも安心感が増すことでしょう。
また、社内の人間関係や力関係など、所謂「インフォーマル」な情報を得ることも実は重要だったりもします。そのように、新入社員が組織全体に関するフォーマル・インフォーマルな情報を入手できるような工夫をしてみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回は、オンボーディング施策を設計する際に押さえたい3つのつながりについて紹介しました。一つ目のつながりである「組織とのつながり」は、特に経営者やトップなど上層部の巻き込みも必要となります。人事担当者として、まずは経営者にオンボーディングの重要性や意義を伝え、施策に巻き込んでいくことも大切な戦略の一つです。最初から完璧にやろうとせずに、経営者の特徴やスタイルに合った形で、まずはひとつでも導入できるところから始めてみてはいかがでしょうか?
次回は、オンボーディングの3つのプロセスのうち、残り2つ「②人間関係の構築(人とのつながり」)と、「成功体験(成果とのつながり)」について、施策の紹介を交えながら深掘りしていきます。
>>>新入社員の命綱?オンボーディングで構築したい4つの人間関係とは?(2月4日公開予定)
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