女性からも選ばれ続ける職場づくりのコツとは
目次
働く女性を取り巻く現状
少子化にともなう労働人口の減少により、企業における人員の確保が大きな課題となっています。
人員を確保するためには、企業だけではなく、社会全体で女性が働きやすい環境をつくり上げていくことが重要なのではないでしょうか。
政府も2014年(平成26年)、内閣府男女共同参画局に「すべての女性が輝く社会づくり本部」を設置。さまざまな状況に置かれた女性が自らの希望を叶えて輝ける社会の実現を目指しています。「女性の力」を十分に引き出し、社会の活性化につなげることが狙いです。
参照:女性の活躍促進(男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/sokushin.html
このように国も女性の活躍を推進していますが、現実を見ると、まだまだ十分であるとはいえません。実際に、友人や知人のなかには結婚や出産を機に退職し、その後の復職に苦労する方も多くいます。
内閣府男女共同参画局が発表した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2018(概要)」を見ると、育児休業制度を利用して就業を継続している者の割合が大きく上昇していることがわかります。一方で、第1子の出産をきっかけに仕事を離れる女性の割合が46.9%と、依然として高い状況が続いています。
【図表1 出産前有職者に係る第1子出産前後での就業状況】
【出典:「共同参画」2019年5月号】
第1子出産前後の就業異動の状況について見ると、雇用形態が変更されるケースは少ないことがわかりました。例えば、正社員の場合は、育児休業取得後も正社員として働き続ける人が多くいます。
一方で、パート・派遣職員として働いていた人は、育児休業制度の利用率自体が低く、出産後、仕事から離れてしまう人がほとんどです。
【図表2 第1子妊娠前の従業上の地位別にみた妻の就業異動の状況】
【出典:「共同参画」2019年5月号】
私としては正社員・パート・派遣などの雇用形態にかかわらず、どんなライフステージでも働き続けることができる環境づくりが必要だと考えています。
企業としても同じ人に継続して働いてもらうことで、ノウハウの蓄積が期待できます。これにより組織として安定するだけでなく、社内に「働き続ける女性」のロールモデルが存在することで「この企業なら自分も活躍できそう」と後に続く女性の採用候補者も増えることでしょう。
そこで、この記事では女性が働き続けられる環境づくりのコツをお伝えしてまいります。
女性も働きやすい環境づくりのポイント
21世紀職業財団が実施した「男女正社員対象 ダイバーシティ推進状況調査(2020年度)」によると、「あなたは、管理職になりたいですか」という質問に対し、女性は「管理職になりたい」と「管理職に推薦されればなりたい」と回答した人の合計が29.5%で男性の37.4%に比べて7.9%少ないことがわかりました。
【図:男女・企業規模別の「あなたは、管理職になれるとしたらどう思いますか。」の回答】
【出典:21世紀職業財団「男女正社員対象 ダイバーシティ推進状況調査(2020年度)」の男女別企業規模別(P7)より】
女性活躍推進法が2016年4月に施行して4年経過してもこうした意識の差があるだけでなく、実際に職場の男性・女性が任されている仕事にも差が出ています。
【図:男女・企業規模別の「あなたの職場では、重要な仕事は男性と女性どちらが担当することが多いと思いますか。」の回答】
【出典:21世紀職業財団「男女正社員対象 ダイバーシティ推進状況調査(2020年度)」の男女別企業規模別(P17)より】
「男性だから、女性だから」という理由でひとくくりにすることはできませんが、「こういう傾向もある」という認識を持っておくだけで、コミュニケーションがスムーズになるケースもがあるでしょう。
以上のデータを踏まえ、男性の上司が女性の部下をマネジメントするうえで、意識したいポイントを4つご紹介します。
(1)期待を言葉にしてあげること
テレワークは働くメンバーの顔が見えないため、日頃から現在のタスク状況などを積極的に発信したりすることが大切です。こうすることにより、テレワークでも有事の際にメンバーをフォローしやすく(またはされやすく)、業務を遂行することができます。
また、業務量を可視化しておくことで、マネージャーも「最近業務多いようだけど、大丈夫かな?」など気にかけるきっかけになります。
(2)コミュニケーションの頻度を増やす
月に1時間のコミュニケーションより、毎日5分のコミュニケーションを重視しましょう。会話の頻度が増えることで信頼関係の構築につながります。コミュニケーションといっても「新しい仕事は順調?」「この資料すごくわかりやすいね!」「商談を成功させてくれてありがとう!」などの些細な会話で構いません。成果に対する賞賛や感謝の気持ちを伝えることでモチベーションの向上につながります。特に、感情が伝わりにくいとされているテレワークでは意識して言語化することが大切です。
「わかってくれると思った」ではなく、良いと思った点はしっかりと伝えましょう。
参考:テレワークの組織創りを基礎からお伝え!
現場での具体的なマネジメント方法を公開します。【現場リーダー編】
https://at-jinji.jp/expertcolumn/247
(3)女性特有の体調不良に配慮を
月に1度の生理。人によっては出社するのが辛いほど体調不良になる方もいます。もちろん、薬を飲んで症状を和らげることは可能ですが、それでも体調がすぐれなかったり、気分が憂鬱になったりするのです。
また、妊娠中の方は、仮につわりが軽かったとしても、大きなお腹を抱えたまま仕事をすること自体が重労働です。本人が元気に振る舞っていたとしても、無理をしすぎないようにケアをし、急きょ休んだ場合にもフォローができる体制を作っておきましょう。
このように女性にはなかなか自分でコントロールできない身体の不調があります。「テレワークなら通勤もなく、家で休み休み仕事ができるから問題ないだろう」と思われがちですが、体調不良の際には業務量を調整するなど配慮が必要です。
(4)一人ひとりが置かれた環境を意識する
人によって家庭の状況はさまざまです。同じ育児中でも、子どもの人数や年齢、性格によって忙しさ大変さは異なるでしょう。なかには持病があったり、体調を崩しやすかったりする子どももいます。また、家族を介護している人もいるでしょう。側から見たら同じライフステージでも、一人ひとり環境が異なることを念頭に置き、臨機応変に対応できるようワークシェアリングを行うなど日頃の業務設計を工夫する必要があります。
優秀な人材から選ばれる企業になるために
新上記の通り、出産・育児や介護などのライフステージの変化に合わせて、柔軟に対応できるよう備えておくことは事業継続のためにも必要だと考えています。
退職後も希望に応じて復職できるリターン制度を設けたり、1時間から有給がとれるような制度を作ったりたり、社員の要望を踏まえ全員が働きやすい環境づくりを企業が推進していくと良いでしょう。リモートワークの導入や副業の容認も、そうした取り組みの一つです。
世の中は目まぐるしく変化し続けています。「今までこのやり方だったから」という考えに囚われている限りは、今後の成長はなかなか厳しいでしょう。過去の常識に縛られた会社運営は、社員の離職や、組織の弱体化につながります。優秀な人材から選ばれ続ける企業になるためには、一緒に働く仲間に対する心配りが何より重要です。
女性に限らずさまざまな事情を抱えた社員一人ひとりが働きやすい環境づくりを目指しましょう。
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