エンジニア採用を成功に導く「スカウト」と「リファラル」活用のコツを解説
前回はおもな採用手法とそれぞれの特徴についてお伝えしました。
今回はその中でも特に近年エンジニア採用では欠かすことのできない、スカウトメールを使ったダイレクトリクルーティング、そしてリファラル採用について気をつけるべきポイントなどを解説します。
これから導入を考えている担当者の方はもちろん、すでに導入しているがあまり効果が出ていないという悩みを抱えている方も参考にしていただければと思います。
【前回のコラム】
エンジニア採用に適した採用手法とは? 特徴とメリット・デメリットを解説
目次
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- 調査結果から見る採用成功率が高い手段とは?
- エンジニア採用を成功に導くスカウトメール
・なぜスカウトを送るのかを明確にする
・求職者の立場に立って考える
・求人票へ遷移してもらえるスカウト文面の書き方 - リファラル採用で気をつけたいポイント
・ポイント1:応募者の動機づけを工夫してミスマッチを防ぐ
・ポイント2:リファラルでも選考を通した応募者の見極めは必要である
・ポイント3:社員が「知人を紹介したい」と思える環境を作る - まとめ
調査結果から見る採用成功率が高い手段とは?
コラム第1回で「エンジニア採用の難しさ」についてお伝えしたとおり、従来の求人票を公開して求職者からの応募を待つ採用手法のみに頼るのでは、やはり満足のいく結果は得られません。
2019年時点ではありますが、grooves社が実施した「ITエンジニアの中途採用に関する採用決定経路や採用率の調査」(2019年4月~10月にITエンジニアの中途採用を実施していた自社プロダクト開発をおこなうWeb・IT系企業45社が対象)では、採用成功率がもっとも高い手法は「スカウト(69%)」という結果が出ています。
(出典)「Web・IT系企業 × ITエンジニア200人の転職ルートを調査」(株式会社grooves)より
2位の「エージェント(61%)」に続いて、第3位は「リファラル(55%)」、次点で「媒体自己応募(47%)」となっています。特にリファラルについては、求人媒体を利用した自己応募より利用率はやや低いものの成功率が高い点にも注目しておきたいところです。
また、HERP社が2021年8月に公開した「エンジニアの採用における経路別の成果に関する調査レポート」では、採用できたエンジニアの人数が多い企業、すなわち採用成功企業は、複数の採用媒体を利用していることが明らかになっています【下図参照】。これは媒体によって強みが異なるため、目的に応じてうまく採用媒体の使い分けができているからです。
出典:「【HERP】エンジニア採用における経路別の成果に関する調査レポートを公開 〜リファラル採用が人材エージェント経由に次いで採用経路の第2位に〜」(株式会社HERP)より
採用手法のうち、エージェントについては、自社での対策というよりは担当エージェントの得意領域や質によって成功率が左右される傾向があります。よって今回は、スカウトとリファラルについてどのように運用していくとよいかを考えてみましょう。
エンジニア採用を成功に導くスカウトメール
多くの採用サービスでは、企業からユーザーへスカウトメールを送る機能が利用できます。
求人票を掲載するだけで終わらず、スカウトをうまく活用して、自社にマッチしそうなエンジニアを探し出し、企業側からアプローチをしていきましょう。
・なぜスカウトを送るのかを明確にする
これまでもお伝えしてきたとおり、エンジニアのような需要が高い職種は、知名度の高い企業でもない限り、求人情報を公開しただけではほとんどの応募者の目に止まらず埋もれてしまいます。
また、転職サービスにはすぐに転職したい人だけでなく、「気になる企業があれば転職を考えてもよい」といった、いわゆる転職潜在層も多く存在します。彼らは自ら積極的に企業探しをしているわけではありませんが、自社が求めている経験やスキルを保持した人材である可能性は十分あります。
求人票の存在を知ってもらうための有効な手段が、企業から直接個人にアピールできる「スカウト」です。候補者を増やすために、スカウトの活用は必須といってもいいでしょう。なお、ITエンジニア専門の採用サービスであれば、スカウト対象者のピックアップから配信までをサービスの一環として提供している場合もあります。
・求職者の立場に立って考える
これからスカウトメールを送ろうとしている相手がどんな人物か想定できていますか?
たとえば、「Javaの開発経験があり、転職先もJavaで開発業務を続けたい」と考えていて、プロフィールにもそう書いている人へ「Rubyエンジニアを募集しています!」という内容のスカウトを送ってしまったとします。受け取ったエンジニアからすると「なぜ自分に送ってきたのだろう」と思うでしょう。それどころか、プロフィールも見ずにスカウトを打つ企業だと不信感を持たれてしまう可能性すらあります。
極端な例と思われるかもしれませんが、このように条件のズレたスカウトを送ってしまうケースは少なくありません。
まずは送信前にどんな条件で絞ったユーザーにスカウトを送りたいのかを明らかにしましょう。ただし、絞り込み条件を厳しくしすぎるとスカウトを送れる相手が極端に減ってしまいます。多くのスカウトを送っているにもかかわらず反応がない場合や、逆にスカウト条件にあてはまる人がほとんど見つからないような場合は、求人要件から見直す必要があります。
転職のきっかけが「スカウトをもらったから」という方は多いため、スカウトを積極的に利用して、優秀なエンジニアと出会う接点をできる限り多く持つことをおすすめします。
なお、求人用件の見直しについては下記の記事を参考にしてみてください。
「エンジニア採用を成功させるには? 絶対にやっておきたい求人票作成前の下準備」
https://at-jinji.jp/expertcolumn/312
・求人票へ遷移してもらえるスカウト文面の書き方
スカウトメールから求人票に遷移してもらえるか否かを左右するのがスカウトメールの文面です。スカウトは受け取った人に興味を持ってもらう必要があるため、思いつきで書いても意味がありません。
たとえば、長々と会社説明や製品説明が書かれている一方、肝心の募集職種や仕事内容について説明が少ないスカウトメールは、大量に送ったところであまり反応は期待できません。そのようなメッセージを読んでも、ユーザーはその企業で働くイメージがわかないからです。
求人票にも言えることですが、スカウトメールにはエンジニアが応募前に知りたい情報、その企業で働くイメージがしやすくなる情報を書きましょう。反応が多いスカウトメールは以下のポイントが押さえられています。
・会社説明や事業説明については簡潔に書かれている
・募集しているポジションに就くとどんな仕事をすることになるのか分かる
・エンジニアチームがどんな環境で、どんな働き方ができるのかが分かる
・入社後はどんなキャリアパスが用意されているのかイメージができる
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リファラル採用で気をつけたいポイント
リファラル採用は、すでに自社で働いている従業員の友人や知人を紹介してもらう採用方法です。
うまくいけばコストを抑えてよい人に出会えますが、当然ながら社員に「誰か紹介してほしい」と言うだけで自然と人が集まってくるわけではありません。ここからは、リファラル採用で気をつけるべき3つのポイントを解説します。
ポイント1:応募者の動機づけを工夫してミスマッチを防ぐ
応募のきっかけが「人のすすめ」だと、応募者の志望度やモチベーションが上がりきらず、最終的な決め手に欠けてしまいがちです。
また、社員から話を聞いているとはいえ、事業や業務の内容が正しく伝わっているとは限りません。そのため応募者に知ってほしい情報を正確に伝え、理解してもらった上で採用を進めなければ、ミスマッチが起きてしまうケースもあるでしょう。
これを防ぐには、選考段階で自社の説明やアピールをしっかりする必要があります。
ポイント2:リファラルでも選考を通した応募者の見極めは必要である
社員が紹介できる範囲といえば、学生時代の同級生や、前職での同期・先輩後輩といった人が多いため、経験や得意分野が似通った人たちが集まりやすい傾向にあります。
特に募集しているのが新たなポジションや社内にいないタイプの人材の場合は、リファラルといえど選考を通して適性や素養をしっかり見極めなければなりません。
「社員の紹介なら質は大丈夫だろう」ではなく、他の採用方法をとる場合と同じく事前に「どんなポジションにどんな人を採用したいのか」を明確にしておきましょう。
ポイント3:社員が「知人を紹介したい」と思える環境を作る
リファラル採用が決まれば社員と紹介者双方に報奨金を出す制度を取り入れている企業も増えてきました。しかしそれでも全然紹介がないと嘆く採用担当者の方もいます。
採用活動というとつい社外へのアピール方法を考えがちですが、すでに働いている社員たちが「働きやすい、友達にも紹介したい」と思える職場環境を整えることも重要です。社員が自分の会社を本当によいと思っていれば、友人にも話をするはずだからです。
同時に、運用方法についてもあらかじめ検討しておく必要があります。もし紹介された人が選考で不採用になった場合に紹介者とのあいだでトラブルに発展する可能性もあります。
実際にMyRefer社が実施した「コロナ禍のリファラル採用調査」によりますと、「会社を紹介する上で何がハードルとなるか」という質問に、「紹介したあとフォローすることが面倒」「友人が落ちたら気まずい」「採用の責任を負いたくない」といった声があがっています。
(出典)「【コロナ禍のリファラル採用調査】コロナ禍での採用課題を背景に、企業の4割がリファラル採用の活用検討」(株式会社MyRefer)より
こういった事態を避けるためにも、社員個人に任せるのではなく、たとえば以下のように会社制度としてルールの明確化をおこなうことが大切です。
- 紹介で一次面接は免除になるが、それ以降は通常通りの選考となるため不採用の場合もあると周知する
- インセンティブ(報奨金)の支払い条件を明示する(例:試用期間後に紹介者・採用者の両者に10万円ずつ など)
- 社員がリファラル採用に関して人事や採用担当者に気軽に問い合わせできる窓口を設ける
また、会社説明やよくある質問への回答はドキュメントかURLひとつで情報共有できる状態にしておくなど、紹介してくれる関係者の負担を減らすための工夫もしておくといいでしょう。
まとめ
エンジニア採用の中でも特に有効手段である、スカウトメールとリファラルでの採用のポイントは以下の通りです。
・なぜスカウトを送るのかを明確にする
・求職者の立場に立って考え、条件の合致するスカウトを送る
・エンジニアが興味を持てる情報を記載し、求人票への遷移を促す
・応募者の動機づけを工夫してミスマッチを防ぐ
・選考を通して応募者の見極めは必要である
・社員が「知人を紹介したい」と思える環境を作る
これらのポイントに気をつけて自社の採用要件にマッチしたエンジニアの獲得につなげていただければと思います。
次回からは、エンジニアの採用面接で気をつけるべきポイントについて解説していきます。
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