ミラキャリ通信 Vol.10
「転職」を考えている人は「副業」への関心も強い。「新たな経験や成長の機会」を期待
リクルートが発行する、会社を越えて企業に参画できるサービス『サンカク』に特化した活動レポート『ミラキャリ通信』のVol.10の内容を転載して紹介する(TOP画像も「ミラキャリ通信vol.10」より)。『ミラキャリ通信』は、『サンカク』が提供する社会人インターンシップやスポットディスカッションから見えるトレンドや副業の実態など、参加者の声と合わせて発信している。
参照『サンカク』:https://sankak.jp/
Vol.10は、【「転職」と「副業」「社会人インターンシップ」の関係性】がテーマ。転職希望者や活動者を対象に実施した調査から、「自身の経験を新たな場所で生かしたい」「新たな経験を積みたい」といったマインドを軸に、「転職」と「副業」は連鎖していることなどを紹介している。
目次
『サンカク』の現場から - Report from Sankak -
株式会社リクルート Division統括本部 HR本部 HRエージェントDivision ビジネスグロース部 サンカクグループ 責任者 古賀 敏幹
今回は「転職」と「副業」「社会人インターンシップ」の関係性についてお話しします。
『ミラキャリ通信』Vol.8でもご紹介したように、近年、「自己成長」を目的に副業に取り組む人が増えています。「転職」にしろ、「副業」「社会人インターンシップ」にしろ、キャリア構築の一手段。これらはまったくの別物ではなく、隣り合わせにあるものだと考えています。
直近3カ月以内に転職エージェントを利用して転職活動をしている人を対象に行った意識調査によると、「副業をしてみたいと思いますか。また、副業マッチングサービスを利用してみたいと思いますか」という問いに対し、6割近くの人が、「興味がある/転職活動中でも、自分に合った副業を行う機会を紹介してもらえるなら利用したい」と回答しました。
「自身の経験を新たな場所で生かしたい」「新たな経験を積みたい」といったマインドを軸に、「転職」と「副業」は連鎖していると見てとれます。
Q1.あなたは副業をしてみたいと思いますか。また、副業マッチングサービスを利用してみたいと思いますか。当てはまるもの全てお選びください(対象:直近3カ月転職エージェント・斡旋サービスを利用した742人)
出典:リクルート実施インターネット調査、直近3カ月転職エージェント・斡旋サービスを利用した人(n=742、2021年)
転職活動者が副業に興味を抱く理由と、『サンカク』ユーザーが社会人インターンシップに期待することは、共通して「新たな経験や成長の機会」。
社会人インターンシップでは、インターンシップ参加後に、そのままインターンシップ先の企業にキャリアチェンジされる方も多くいらっしゃいます。 それ故、サービスを運営していると「転職するためにサービスに登録しているわけではないのに、どうして転職するのか?」「副業や社会人インターンシップに参加する人は転職するために参加しているのか?」といった質問をされることがしばしばあります。
そのたびに「副業や社会人インターンシップなど自身の成長や本業では得られない経験を得るための社外活動と、転職は大きく離れているものではなく、隣り合っているものなんです」と回答してきました。先ほどの調査データに加え、改めてそれを示唆するデータが得られましたのでご紹介致します。
Q1で「転職活動を行っていて、かつ副業に興味がある」と回答した方に、副業に興味がある理由についてお聞きしたところ、半数以上の方が「現在の職場では得られない経験や成長の機会を得るため」と回答されました。
Q2. 副業に興味がある理由として、当てはまるものを全てお選びください。(対象:直近3カ月転職エージェント・斡旋サービスを利用した742人のうち、副業に興味がある667人)
出典:リクルート実施インターネット調査、直近3カ月転職エージェント・斡旋サービスを利用した742人のうち、副業に興味がある人(n=667、2021年)
この志向は『サンカク』を利用されているユーザーさんの特徴と非常に近く、改めて「副業・社会人インターンシップ」と「転職」は隣り合わせであり、緩やかにつながっているものだと思いました。
『サンカク』では、在籍企業から離れた場所で、興味はあるけれど本業では経験するチャンスがない課題に取り組む。そこで、「自分は結構できる」「社外でも通用する」と自信を得たり、あるいは現時点の自分に足りないものに気付けたりします。
また、自社以外の事業テーマや価値観、あるいは働く人たちに触れることで、現職よりも自分にフィットするもの、ワクワクできるものを発見できるかもしれません。
興味を持った会社や仕事に対して、いきなり「転職」はハードルが高いけれど、まずはディスカッションからスタートし、「もっとやってみたい」「もっと深くつながりたい」と思えば副業へ発展させる。
そのステップを経ることで、最終的に転職を決断したり、あるいは自社の魅力を再認識して元の場所で頑張れたりと、複数の道を比較検討した上で今後の方向性を決断しやすくなります。
新たな分野にチャレンジする際のハードルを下げ、次のステップへ進む段差を緩やかにする。それが、新たなキャリアを模索する皆さんにとっての、『サンカク』の価値でありたいと考えています。
『サンカク』な人図鑑 – Who join Sankak –
『サンカク』で得た気付きにより、キャリアチェンジを決意
実際に、首都圏以外のエリアに居住し、東京やその他エリアで副業をしている方にお話を伺いました。
奈良県在住で、大阪府内の企業に勤務する安倍 直希さん(33歳)です。実際、『サンカク』への参加を経て転職を成功させた方にお話を伺いました。
桐生 宜昭さん(30歳) は、『サンカク』のイベントでの気付きによって今後のキャリアの方向性を定め、転職を果たされました。さらには、副業として『サンカク』の運営にも携わってくださっています。そんな桐生さんに、副業が「キャリア」「転職」にもたらす効果を語っていただきました。
■お名前:桐生 宜昭(きりゅう よしあき) さん
■本 業(前職):人材系ベンチャー企業のIT担当
■本 業(転職後):外資系IT企業
クラウドサポートエンジニア
■『サンカク』活動開始時期:2020年2月~
—— 『サンカク』への参加に至った経緯と、『サンカク』で得たものをお聞かせください。
新卒で入社したのは大手損害保険会社です。法人営業をしていましたが、労働環境や風土が合わず、約30人規模の人材系ベンチャー企業に転職しました。
当初は営業でしたが「自分には向いていない」と思い、自ら手を挙げて「エンジニアになります」と宣言。以来、IT部門を一人で担当するようになりました。その会社に所属しながら、AI(人工知能)を手がける別の会社にも出向し、AI開発プロダクトを手がけていました。
経験値を高めるために何か副業をしたいと考えていた頃、『サンカク』でAI開発企業の社会人インターンシップイベントの募集を発見。「同業他社はどんなことをしているのか知りたい」という、純粋な興味から参加しました。
そのときのテーマは「機械学習モデルの効果的な運用方法について」のディスカッションでした。そのテーマに対し、僕は「いかに精度を高めるか」を想定していたのですが、その会社が課題意識を持っていたのは「運用手法」。「いかに学習モデルの処理スピードを上げられるか、いかに要件に合うような運用手法を可能とするか」が主眼だったのです。
これは大きな気付きになりました。それまではデータサイエンティストの道へ進みかけていたのですが、「そっちじゃないな」と。当時、周囲のデータサイエンティストを見ると、業務としては学習モデルの精度改善を主に行っていましたが、今から自分も同じことをやるのはあまり得策ではないと感じました。モデルの精度を高めるのはその方たちに任せ、これからは「運用」のニーズが高まると考え、運用する側のインフラ、中でも今後の主流になる「クラウド」分野でキャリアを築こうと決めたんです。それが自分の市場価値アップにつながると確信しました。
結果的に、2021年5月、クラウドサービスの有力企業に転職を果たしました。
—— 転職前には、「副業」も経験されていますね。副業のメリットは、どんな点にあると思われますか?
『サンカク』の体験が面白かったので、パートナー制度に応募し、「サンカク副業社員」※としての活動も始めました。
※サンカク副業社員:『サンカク』会員の中で、『サンカク』のビジョン・ミッションに共感し、単なるユーザーとしてだけでなく運営の主体者として関わりたいと希望された方を対象に、副業という形式で『サンカク』の運営に関わることができる仕組みです。主に『サンカク』のメインコンテンツである社会人インターンシップのプログラムについて、株式会社リクルートの社員および『サンカク』を導入する 企業と協働しながら実現する役割を担っていただいています。
副業をするメリットとして感じていることは、
- 他社のカルチャーを知れる
- 本業とは異なる「頭の使い方」を経験できる
- 本業では接する機会がない人たちと接し、新鮮な刺激を得られる
- 本業以外の職種経験を通じ、自分の適性を知れる
- 「案外自分って他社でも通用するじゃん」と、自信が付く
- 「本業以外でお金を稼ぐことができた」と、自信が付く
総じて「自信を得た」と言えますが、その自信は転職活動の後押しになりました。
転職を考え始めた頃、自信がある部分とない部分、半々だったんです。エンジニアへのキャリアチェンジを決意し、独学で知識・スキルを身に付けてきたことに関しては自信を持っていた。でも、活動範囲は小規模ベンチャー内にとどまり、やってきたことのスケールは小さいし、社会的ステータスもない。自分の市場価値はどう評価されるのだろう……と不安がありました。
けれど、副業に踏み出したことで、自分のスキルが社外で認められ、報酬を得られるだけの価値があるとわかりました。「どこかは採用してくれるだろう」と楽観的になれましたね。
面接でも、一つの会社・仕事にとどまらず、向上心を持って外の世界にチャレンジしたことを、堂々とプレゼンできました。
——希望通りの企業に転職し、新たなスタートを切られたばかりですが、今後も副業を続けますか?
続けていきたいです。本業ではできない経験を積むことで、そこで身に付けた力を本業に生かしたいと思います。例えば、「企画する」「チームをまとめる」「後輩を育成する」など。それに、副業は視野を広げ、将来の選択肢を増やしてくれるものだと捉えています。
僕はよく言えば「柔軟性がある」、言い方を変えると「こだわりがない」。変化していくことが好きなタイプです。その時代時代に合わせて働き方やキャリアを選び、うまく波に乗って生きていきたい。だから、副業を「トレンドをキャッチするアンテナ」として、時には「逃げ道」「リスク分散手段」として活用していきたいと思います。
—— 副業しようかどうか迷っている皆さんにも、メッセージをお願いします。
とりあえずやってみてください。自分もそうでしたが「何だか面白そう」から、気軽に手を出してみればいいと思います。
気軽に手を出すためにも、“暇”になることが重要だと感じます。人間、追い詰められていると視野が狭くなり、そんなタイミングでは掴み取れるチャンスも掴めなくなると思います。だからこそ、意識的に“暇”な時間を確保してあげることが第一歩だと感じます。僕もこれまで副業的な活動にいろいろと手を出して、うまくいかなかったものも多いけれど、気にしていません。失敗しても、副業であれば痛みはない。本業もあるし、副業も「次」があるのですから。
適性なんて、やってみるうちに見つかるものなので、まずは一歩踏み出してみるといいと思います。
—— 桐生さん、ありがとうございました。
桐生さんのように、さまざまなメリットを感じて副業へ踏み出す方が増えています。
一方の企業側の動向はどうなのでしょうか。リクルートが実施した「2021年度の中途採用計画」の調査からみると、半数以上の企業が2021年度に新しい取り組みを計画しており、その中で「兼業・副業容認などの人事制度改革」が18.6%と最も多いことが分かりました。
企業側の動向からも副業へのチャンスは広がっていきそうです。
(出典:リクルート「2021年度の中途採用計画」)
【ニュースレター:「ミラキャリ通信 Vol10. 「転職」を考えている人は「副業」への関心も強い 副業が「転職」「キャリア」にもたらす効果」より|2021年8月30日・株式会社リクルート】
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