海外も視野に入れた組織づくり 時差を生かした業務遂行ノウハウとは
個人の働き方・生き方を尊重するために「海外」という視野を
皆さんの周りには「家族が海外転勤になったので会社を辞めます」「生活拠点を海外に移したいので、向こうで仕事を探します」と言って退職していった方はいますか。
優秀な人材が家族の関係やライフステージの変化で退職することを悔しく思ってきた人事の方も多いのではないでしょうか。
私は現在、株式会社ニットで広報をしています。私たちの会社は「HELP YOU」というオンラインアウトソーシングのサービスをメインで運営をしています。
他社と比較すると特徴的な「全員がフルリモート」という働き方。この働き方は、「HELP YOU」サービスが開始した6年前から導入しているため、全事業オンラインで運営をしています。
代表の秋沢が、前職を辞めた後に、アジアからアメリカを放浪していました。その旅の中で、パソコン一つで仕事を請けていたことから、「フルリモートで運営するオンラインアウトソーシングサービス」という着想をしました。リモートワークという働き方を通じて、プライベートを理由に仕事を諦めることがなく、自分らしい生き方・働き方が出来る人を増やしたいと考え、創業に至ります。そして、この考えが現在の「未来を自分で選択できる社会をつくる」というニットのビジョンに繋がります。
事業を開始して6年目の現在、日本全国にとどまらず、海外メンバーの数は世界33カ国・約70名にのぼります。
つまり、海外で生活をしながら、日本の仕事をしている方が大勢いる組織なのです。今回は、海外メンバーと業務を行うメリットや、日本とは時差がある中でどのような仕事の仕方やコミュニケーションをとればスムーズに業務を遂行できるのかのポイントなどをお伝えします。
社員一人ひとりの働き方や生き方を尊重していくために「海外」という視野を取りいれることで、より組織が柔軟に、そして強くなっていくと私は考えています。少しでもこの記事が皆様にとって有益な情報になれば幸いです。
※こちらの記事は下記のnoteの記事「朝起きたら仕事ができ上がっている!~海外メンバーとチームを創るメリット~」を@人事の読者様向けに一部編集させていただいております。
https://note.com/micakozawa/n/n6de716003349
目次
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- 「働き続けたい」という意思がある優秀な人材を逃さない
- 地球の裏側から入社できる
- 各国の時差の生かし方
①アジア時間(時差1-5時間)
②ヨーロッパ時間(時差6-10時間)
③アメリカ時間(時差13-17時間)
海外メンバーがいることを生かした社内施策やコンテンツ作り - 業務遂行のポイントをおさえれば、リモートワークは海を越える紹介
- 広がる採用の幅、採用後の対応はチームで考える
「働き続けたい」という意思がある優秀な人材を逃さない
ニットで働く海外メンバーは下記のようにアジア・ヨーロッパ・アフリカなどまさに世界各国にいます。
◆海外メンバーがいる国 |
メンバーが海外へ渡った理由は、パートナーの海外赴任に伴った転居や、現地の方と国際結婚を機に、自らの意思で海外在住の道を選択したなど様々です。
これはどの企業でも起こりうることかと思います。しかし、「日本の仕事を続けたかった」という方も多いのではないでしょうか。
海外メンバーがニットで働いている理由は、「これまでのキャリアを活かして仕事がしたい」というポジティブなものから、「現地で仕事が見つからなかった」「リモートワークの概念が広がったとはいえ、海外在住者を雇ってもらえることまで至っていない現実に直面した」など、ネガティブな背景もあります。
見知らぬ土地で一から仕事を始めるより、慣れ親しんだ日本の会社の仕事をそのまま海外でもできるようになったら、働くメンバーとしてもメリットがありますし、会社としても優秀な人材が働き続けてくれるというメリットがあります。
地球の裏側から入社できる
私自身も、リクルートを辞めた後に、中米ベリーズへ移住しました。その後、現地で起業し、1年半、海外に住んでいました。その間の4カ月間、北米~中米~南米~南極と旅人もしていましたが、南極から普通に会議したり、エルサルバドルの23時に慶應義塾大学の授業をやったりもしました。
また、ニットに入社したのは、中米のベリーズにいた頃。最初の3か月間は、時差15時間の地球の裏側から、営業を行っていました。
ちなみに訪れた国は66カ国で、プライベートを楽しみながら働くことができ、とても充実した時間でした。どこにいても、パソコンとインターネットがあれば仕事ができる環境というのは、自分がやりたいことを場所に捉われず実現できることなのだと実感しました。
【写真はイメージ】
各国の時差の生かし方
海外在住者と仕事をする上で、一番考えないといけないのは【時差】です。住んでいる地域ごとに大きく3つに分けてみました。
①アジア時間(時差1-5時間)
②ヨーロッパ時間(時差6-10時間)
③アメリカ時間(時差13-17時間)
この①~③で業務の進め方は随分と変わってきます。
出典:世界の時差表(http://www2s.biglobe.ne.jp/~yoss/worldtime/worldtime.html )
時差の乗り越えてどのように世界各国の従業員と仕事をするのか。ニットの事例をもとに紹介します。
①アジア時間(時差1-5時間)
時差をほぼ気にせずに一緒に仕事ができます。
▼タイ(時差2時間)の例
黄:日本タイムと一緒に仕事(打ち合わせ、商談など)
青:個人の仕事
②ヨーロッパ時間(時差6-10時間)
ヨーロッパ組が朝型で7時ぐらいから仕事を開始し、16時ぐらいに終える、ということができたら、かなりスムーズに仕事が回ります。特に、日本の夜しかできないこと(例:面接対応、一日の終了後のチェック対応など)をヨーロッパ組がやってくれる、というのは非常に助かっています。
▼ドイツ(時差8時間)の例
黄:日本タイムと一緒に仕事(打ち合わせ、商談など)
青:個人の仕事
赤:日本の夜タイムを活かす仕事(面接など)
③アメリカ時間(時差13-17時間)
アメリカの場合は昼夜が逆転してしまうので、概念を大きく変えないといけません。アメリカ組が、少し遅めの始業・終業をしてもらうことで、日本組と重なる時間が増えます。そして、時差を上手く使って【寝ている間に仕事ができている仕組み】を作ることが必須となります。
▼アメリカ(時差16時間)の例
黄:日本タイムと一緒に仕事(打ち合わせ、商談など)
青:個人の仕事
海外メンバーがいることを生かした社内施策やコンテンツ作り
その他、現地に海外メンバーがいるからこそできたイベントもあります。会社として社会貢献を考えたり、社内イベントのレクレーションを考えたりする際に「現地に会社のメンバーがいる」ことを生かせばより充実したコンテンツ作りができるかと思います。
◆バーチャル世界一周旅行
夏休み・冬休み・GWに、弊社の海外メンバーを繋いで、1時間半のオンライン世界一周旅行を実践しました。当日は1700人の人が集まる大イベントとなりました。
【公開オンライン“社内イベント”】無料で世界7カ国11拠点を巡るオンライン世界一周海外旅行=【第1部】9:00-10:00 アメリカ編、【第2部】18:00-19:00 ヨーロッパ・アフリカ編
https://at-jinji.jp/event/494
◆オンライン異文化交流授業
インドネシアの孤児院でボランティア活動をしているメンバーと宮城県富谷市の小学校とインドネシア個人の子どもたちを繋ぎました。
小学6年生の授業参観はインドネシアとの異文化交流!宮城県富谷市でオンライン授業を実施
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000059127.html
業務遂行のポイントをおさえれば、リモートワークは海を越える
私が所属する広報チームも、カナダのバンクーバー在住(時差16時間)のメンバーがおり、4人体制で運営しています。
会話できる時間は日本時間の9時から12時です。日本時間だとこの3時間が勝負です。
・認識の齟齬がないかをオンライン会話で確認
・アウトプットの方向性が正しいかを会話で確認
・日本組が日中に取り組む業務を確認して、夜に「○○の仕事を依頼する予定です」という業務のすり合わせ
・顧客対応
・未来に向けた会議
などです。重なる時間をコミュニケーションの時間と捉え、業務認識の齟齬がないかなどを積極的に確認していきます。
業務遂行のポイントは下記の4つです
①全員のタスク表を、全員で管理 ②「私、やっておくよ!」の精神 ③テキストコミュニケーションで的確な指示 ④愛と配慮 |
「テキストコミュニケーション」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
参考にしてください。
■テキストコミュニケーションを制する者はテレワークを制す!
https://at-jinji.jp/expertcolumn/255
広がる採用の幅、採用後の対応はチームで考える
【会社に通える人】という採用要件が取り払われることで、全世界の人が対象となり、圧倒的に採用の幅が広がります。採用をした後に、「どのようにマネジメントをするか」「どのように仕事の進め方を設計するか」「どのようにコミュニケーションを図るか」という点を会社だけでなく、チームみんなで考えることが大切だと思います。
日本の夜中に海外メンバーが仕事をし、日本の朝にその仕事を受け取って、日中に対応というサイクルが上手くできれば、日本に住んでいる人が寝ている間に仕事ができ上がるということなので、ものすごく効率の良いことですよね。
ぜひ、この機会に「海外」を視野にいれた組織運営を考えてみてもらえたら嬉しいです。
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