応募が来ないのは求人票のせい? エンジニアにスルーされる求人票はどこがいけないのか

paiza株式会社の谷口です。前回の記事で、エンジニアの採用活動を始める前に必要な下準備についてお話ししました。今回は、「求人票の書き方」についてです。

求人票は、優秀なエンジニアに自社の存在をアピールするための重要なツールです。採用担当のみなさんは、「エンジニアが思わず応募したくなる求人票」を書けていますか? エンジニアの知りたい情報が記載されていない、もしくは明確でない求人票では、どれだけ公開していても興味を持ってもらうことはできません。今回は、私がこれまでエンジニア向けの求人票を見てきてわかった、「エンジニアにスルーされてしまう求人票」に多い傾向と改善策について解説します。

前回記事:エンジニア採用を成功させるには?絶対にやっておきたい求人票作成前の下準備

目次

  1. エンジニアにスルーされてしまう求人票でよくあるパターンと改善策
    ┗【開発環境・応募要件】
    ┗【企業情報】
    ┗【年収幅】
  2. 過去の情報の使い回しによる情報のズレにも注意
  3. まとめ:エンジニア向けの求人票を書くときのポイント

エンジニアにスルーされてしまう求人票でよくあるパターンと改善策

「エンジニアにスルーされてしまう求人票」には、いくつかの特徴があります。ここからは、スルーされる求人票としてよくあるパターンとその改善策について、【開発環境・応募要件】、【企業情報】、【年収幅】の3つのカテゴリーに分けて紹介します。

【開発環境・応募要件】

  • 開発環境や応募要件にいろいろな言語が書かれている

プログラミング言語は、一つでも深く習得していれば、ほかの言語でも共通して使える場合が少なくありません。たとえ経験のない言語でも、業務を通して順応していくエンジニアは多くいます。

ただ、それを知ってか知らでか「メジャーな言語のうち、どれかを使った経験があればいい」とでも言わんばかりに、応募要件にあらゆる言語を並べている求人票を非常によく見かけます。自社の開発環境においても同様で、社内のエンジニアに記載を任せっきりになっているのか、あらゆる言語やフレームワークなどを羅列されている求人票が少なくありません。しかし、こういう求人票はエンジニアからは敬遠されがちな、よくない求人票です。

応募者が知りたいのは「どんな開発環境で仕事をすることになるのか? 例えばメイン言語は何で、サブ言語は何なのか?」といった情報です。求人票にいろいろな言語が書いてあると「結局何の経験が必要で、何をメインに使って開発しているの?」「何をやらされるのか分からないな」と不安に思われてしまいます。

社内にいろいろな開発チームがあって、言語や開発環境もさまざまなのでどうしても煩雑になってしまう場合は、求人票をチームやポジションごとに分けて作ることをおすすめします。そのほうが、個別の開発環境や役割にマッチするエンジニアと出会いやすくなるでしょう。

  • 応募要件で頻出する「〇〇言語経験2年以上」

新人すぎずベテランすぎず、開発チームのメンバーとして手を動かせる若手エンジニアは、多くの企業に需要があります。それくらいの世代のエンジニア であれば「特定言語の開発経験が2年程度ある」という人も多いでしょう。

しかし、求人票でそれだけを記載していればOKかというと、それは間違いです。本当に「〇〇言語での開発経験」が「2年以上」あれば、そのポジションの業務が務まるのでしょうか?

エンジニアは、年数だけでスキルや経験が測れる職業ではありません。長年コピペプログラミングや、開発したソフトウエアやシステムなどが正常に動くかをテスト・評価するテスターだけをしていて、なんとなく年数を重ねている人もいれば、短期間でサービスの立ち上げから開発、リリースまで経験している人もいます。しかし、「経験〇年」という条件しか書いていなければ、両方とも該当者になってしまいます。

この場合、例えば
・〇〇言語によるWebサービスのサーバサイド開発経験がある人
・業務・個人問わずゲームアプリの開発からリリースまでの経験がある人
・〇人以上の開発チームのリーダー経験がある人

というように、入社後に求められるスキルや業務経験をベースに考えれば、本当に必要な人材のレベル感に近い応募要件になるはずです。

ここで注意しなければならないのが、応募要件が厳しくなりすぎていないかということです。要件は、当然ながら社内のエンジニアと一緒に考える必要があります。ただ、エンジニアにとってはこれから一緒に働いたり、仕事を教えたりする相手の要件なので、なるべく自分たちと同等レベルの経験やスキルのある人に来てもらいたい、前任者と同じくらいのレベルの人がいい、このスキルもあのスキルも持っていてほしい…と必要以上に条件を厳しくしてしまいがちです。

もちろん、必須な要件を外してまでレベルを下げる必要はありません。ただ、必須の応募要件を必要以上に厳しくすると、そのぶん当てはまる人も少なくなり、結果として応募が全然来ない……ということにもなりかねません。条件が厳しすぎて応募が来ないようであれば、まずはどれが本当に必須で、どれが歓迎要件になるのかを考えて分類してみてください。また逆に、応募は来るけど応募者のレベル感がマッチしていない場合も、必須要件を業務経験ベースで具体化して、追記・修正をするのがよいでしょう。

【企業情報】

応募要件はびっしり書いているものの、肝心の業務内容や開発チームの情報が少なすぎる求人票もよく見かけます。

エンジニアは求人票を見て
・どんな事業内容の会社なのか
・その中でどんな業務を担当することになるのか
・どんな開発チームなのか
・どんなふうに働くことになるのか

といった情報をもとに「そこで働く自分」をイメージします。そのため情報が少ないと、「どんな会社かわかりにくい」と不安に思われてしまいます。

応募が来る求人票には「どんな人を求めるか」という応募要件だけでなく、上記の項目を満たした企業情報がきちんと記載されています。「そういう話は面接で聞いてほしい」と思われるかもしれませんが、応募者からすれば「なぜあらかじめ求人票に書いておけないのだ」という話です。求人票の情報が少なくて不安を感じる企業に、わざわざ応募して詳しい話を聞きに行こうとは思われないでしょう。

【年収幅】

これは極端な例ですが、給与の欄に「300万〜900万」などと広すぎる金額を記載していませんか。「どんな技術レベルの人が来るか分からないから仕方ない」と思われるかもしれませんが、求人票記載の年収幅が広すぎると、エンジニアに「どうせ最低年収を提示されるのだろう」と思われてしまいます。これは応募要件と同じですが、幅広い年収幅の求人をひとつ出すのではなく「300万~500万の若手メンバー」「500万~900万のチームリーダー」といった感じでポジションごとに記載額をわけた求人票を複数作ったほうがよいでしょう。

過去の情報の使い回しによる情報のズレにも注意

ここまでのポイントを押さえているにもかかわらず応募が来ない場合は、求人票全体を見渡して、情報に矛盾やズレがないかを確認してみましょう。

よくありがちなのが、以前に募集した求人票や、別のポジションの求人票の内容を流用して使っていることによって、ズレが生まれているパターンです。ポジション名に対して、職務内容や訴求ポイントが合っていないと、エンジニアからは敬遠されます。
例)
・職務内容が複数の技術分野の業務をこなすフルスタック寄りなのに「ひとつの技術を極められます」と書いてある
・募集ポジションはチームリーダーなのに業務内容はCTO(最高技術責任者)レベルになっている

などといったズレが起きているかもしれません。

ズレた求人票を公開し続けていても、応募は来ません。できれば前回の記事で書いた事前準備のステップからやり直したほうがよいでしょう。

まとめ

エンジニア向けの求人票を書くときのポイント

  • 言語や開発環境はメインやサブに絞り、書きすぎないようにする
  • 応募要件は年数よりも必要なスキルや経験をベースに考える
  • 企業情報はエンジニアが知りたいことを念頭に置いて書く
  • 給与の年収幅は、求められるポジションや経験年数ごとに金額をわけて書く
  • 応募が来ない場合は必要に応じて準備のステップをさかのぼる

今回は、エンジニア向けの求人票の書き方をテーマにお話ししてきました。応募が来る求人を作るには、ITエンジニアと採用担当者、双方の協力が必要です。エンジニアにヒアリングした内容をそのまま記載するだけではなく、上記のようなポイントを押さえた応募が来る求人票を作っていただけたらと思います。

次回は、エンジニアを採用する際の手法とそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

>>>第4回 エンジニア採用に適した採用手法とは? 特徴とメリット・デメリットを解説

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