エンジニア採用を成功させるには? 絶対にやっておきたい求人票作成前の下準備

paiza株式会社の谷口です。前回の記事で、エンジニア採用はなぜ難しいのかをお伝えしました。
みなさんがエンジニアの採用活動を始めるとしたら、最初に何をしますか?

「とりあえず求人票を書く、もしくはエンジニアに求人票を書いてもらう」
「社員から知り合いのエンジニアを紹介してもらう」

こうした行動も間違ってはいませんが、採用要件が明確になっていない状態で進めてしまうと、

「求人票を公開したのに応募が来ない」
「応募者をどう評価したらわからない・面接官の間で評価が割れる」

といったことでなかなか採用が進まず、滞ってしまいがちです。

確実にエンジニア採用をしていくためには、求人票作成以前の下準備が欠かせません。
今回は採用担当者向けに、実際にエンジニアの採用活動を始める前に必要な下準備をステップごとに解説していきます。

前回記事:ITエンジニアの採用はなぜこんなに難しいのか

目次

  1. Step1.「なぜ・どのように採用するのか」を明確化する
    ┗採用の背景
    ┗期間と採用人数
    ┗利用媒体
  2. Step2.自社の開発組織の構成や状況を把握する
    ┗事業における開発部門の役割
    ┗エンジニアのチーム構成
  3. Step3.募集ポジションの職務内容を開発者目線で整理する
  4. Step4.自社の魅力や訴求ポイントを整理する
    ┗中途転職を考えているエンジニア経験者に多い傾向
    ┗経験が浅い若手エンジニアやエンジニアを目指す未経験者に多い傾向
  5. まとめ

Step1.「なぜ・どのように採用するのか」を明確化する

エンジニアを採用すると決まったら、まずは以下のポイントを明確にしていきましょう。また、エンジニアチームとしっかりと認識を合わせておくことが重要です。

採用の背景

そもそも「エンジニアを募集することになった要因」を把握していますか? まずはエンジニアチームの責任者としっかり話してここを明らかにしましょう。

採用の発生要因は、ほとんどの場合以下の3つに当てはまります。

  • 欠員の補充(≒退職者の穴を埋められる人がほしい)
  • 新規事業の開始(≒新規事業を始めるのでその仕事をしてくれる人がほしい)
  • 今の事業の拡大(≒すでにある事業の規模を拡大するので人を増やしたい)

それぞれ、採用するエンジニアに求められる要素は少しずつ異なります。たとえば、欠員の補充であれば前任がしていた業務がベースになるのに対し、新規事業担当には一からサービスを作っていく能力が求められます。

期間と採用人数

次に「いつまでに何人採用したいのか」の目安を決めましょう。

ただ、採用活動は応募者あってのことですから、「今月中に3人ほしい!」などというのは現実的に考えると難しい目標設定です。

ご存知かと思いますが、採用活動はやることがたくさんあります。

まずはエンジニアたちの目に止まり、応募してもらえるレベルの求人票を作らなければなりません。採用効率を上げるには、転職サービスなどを通じて企業側からスカウトメッセージも送ったほうがよいでしょう。そして運よく応募につながれば、面接官と応募者間の日程調整、面接、結果の選考といった作業が発生します。加えて、当然ですが応募者だって現職を退職する手続きや引き継ぎなどが発生するのですから、内定即入社というわけにもいきません。

たとえば「これから初めてエンジニア向けの求人票を作る」ような状態からのスタートであれば、1〜2人の募集でも、2カ月以上の期間がかかると見ておいたほうがよいでしょう。

ただ、かといって「いつでもいいや、いつか採用できればいいや」と目安の設定もしないでいると、これはこれで永遠に決まりません。「特に具体的な採用期限はない」という場合でも、「今期の採用予算はこの額」と決まっているかと思いますので「半期ごとにどれくらい採用活動を進めたいか」といった形で考えていくといいでしょう。

利用媒体

現在、もしくは過去にどんな媒体やエージェントを利用しているのか、それぞれどれくらい応募があったか、選考に進んだのか、その中で採用に至った実績があるのか、洗い出して整理してみましょう。

「早く採用したいから、とにかく早く求人票を多くの媒体に出す」というのは得策ではありません。エンジニアを募集する際の求人票は、他の求人票以上に時間をかけてでも、詳細まで書いてから公開すべきです。どれだけ多くのサービスに求人票を公開したとしても、エンジニアが知りたい情報が書かれていなければ、応募にはつながりません。

また、最近の転職サイトやエージェントは、サービス(さらには担当エージェント)ごとに特徴や得意分野があります。採用したいターゲット層や募集するポジションによって使い分けたほうが、マッチ度の高い方と出会いやすくなります。

Step2.自社の開発組織の構成や状況を把握する

多くのエンジニアは「どういうチーム体制で開発をしているか」や「社内の他部署に対してどういう立ち位置で開発をしているか」を重要視しています。そういった情報を求人票に盛り込み、選考中にアピールしていくためには、自社の開発組織の構成・状況の理解が不可欠です。

事業における開発部門の役割

組織の中で、エンジニアチームはどんな立ち位置になっていますか?
たとえば、社内受託的な感じで別の部署が決めたものを決められたとおりに作るのか、それとも企画からエンジニアが入ることを求められるのか、分業が進んでいて担当業務が細かくわかれているのか、ある程度いろいろやってもらうことになるのか…。
特に「どんな経緯で業務が発生するのか、他の部署とはどのように関わりながら仕事をするのか」は、応募者にとって重要な情報です。自社のエンジニアに聞いておきましょう。

エンジニアのチーム構成

求人募集するエンジニアチームの構成を明らかにしましょう。
特に定義があるわけではありませんが、多くのエンジニアチームは以下の3つのどれかに当てはまることが多いです。わからない場合は、受け入れる側となるエンジニア組織のリーダーに「この中で言うとどれですか?」と聞いてみてください。

1)ノーマルタイプ
開発部門長、リーダー、メンバーなどの役職が明確に分けられている組織。大企業、メガベンチャーなど大きめの開発部門に多いタイプです。

2)フラットタイプ
開発部をまとめるリーダーはいるが、特に上下関係はない組織。成長中のスタートアップ企業などに多いタイプです。

3)独立タイプ
明確なリーダーはおらず、各自が独立して業務にあたっている組織。めずらしいタイプですが、本当に立ち上がったばかりの企業や開発部門、また研究開発の色が強い組織などではこのような構成の場合もあります。

 

そして、現状このチームにどんなエンジニアがいるのか、書き込んでいきましょう。わからない場合はエンジニアの方と一緒にこのような「組織構成及び担当者確認表」を作ってみてください。

 ※表はあくまでサンプルです。自社の事情にあわせて構成を変えてください。

さらに、「担当者別業務範囲確認表」を作ってみましょう。(領域は一例です。事業内容などによって追加・変更してください)

この担当者別業務範囲確認表を埋めることで、「各メンバーがどの業務を担当しているのか、何ができるか」を一覧化することができると同時に、「このチームで不足している業務ポジション」がどこなのかを洗い出すことができます。

たとえば下記の記入例の場合、「アプリ領域を担当するメンバーがいないから採用を強化したほうがよいのでは?」といったことがわかります。

社内のエンジニアと一緒にこうした表を作っていくと、開発体制を理解し、現状の開発体制でどの領域が弱いか(≒どんな人を採用すべきか)が明らかになります。逆に言うと、こうした情報を整理せず不明瞭なままでは求人募集の出しようがありませんし、応募が来たとしても、任せたい業務の説明があいまいになってしまいます。

Step3.募集ポジションの職務内容を開発者目線で整理する

入社した際にどんなサービスを担当するのかは職種に限らず求人票に記載する情報かと思います。さらに、エンジニアの求人票の場合は、どんな開発言語やフレームワーク、管理ツールなどを使うことになるのか…といったことも必ず記載しておきたい情報です。

また、既存のメンバーとの関わり方や、入社後に期待すること(やってほしいこと)も重要な情報です。どんなチームでどんなメンバーと関わりながらこんな仕事をしてほしい、現在の自社にはこの部分が足りないからそれを解決してほしい、受け入れ体制はどうなっているか(入社後のオンボーディングやフォロー体制など)…といったことまで明らかにしておきましょう。

注意すべきこととして、これらの情報は必ずエンジニアに聞いたうえで求人票に書いていくようにしてください。というのも、技術的な部分の課題や新しいメンバーに求める要素は、エンジニアでなければ正確に書くことが難しいからです。

ここが不明確なままだと、応募者から「どういう業務をするのかがよくわからない」「受け入れ体制が整っていないかもしれない」と思われてしまいます。逆にこのあたりの情報がしっかり伝えられると、応募者の不安を解消でき、「この会社ならやっていけるかも」というイメージがしやすくなって、応募者の志望度を高めることができます。

Step4.自社の魅力や訴求ポイントを整理する

ここまで来れば「自社が求めるエンジニア像」もかなり明らかになっているはずです。最後に応募者が転職について考えがちなことや、自社がアピールできるポイントを把握して、求人票の訴求ポイントを明らかにしていきましょう。

中途転職を考えているエンジニア経験者に多い傾向

  • 年収への不満
  • 専門性の高い技術や新しい技術が使える仕事がしたい(たとえばAI・機械学習・自然言語処理、分散処理など)
  • 周囲の技術レベルが低く刺激がない
  • 現職にエンジニアへの理解がない(エンジニアへの理解がある企業へ行きたい)

経験が浅い若手エンジニアやエンジニアを目指す未経験者に多い傾向

  • 開発の経験がない、もしくは浅いため研修や教育制度が充実している企業へ行きたい
  • まずは経験を積めるところで開発スキルを身につけたい
  • チーム開発ができるところに行きたい

自社に入社することによって、これらの課題が解決できることを訴えられれば、エンジニアからの応募率は確実に向上します。

また、自社のアピールできるポイントを考える際は下図のように

  1. 企業・事業の特徴
  2. 開発風土(開発チームの特徴)
  3. 職場環境(働きやすさ)
  4. スキルアップの支援環境

の領域で大きく分類して明らかにしておけば、ターゲットごとの求人票づくりにも役立ちます。

※図はクリックすると拡大します

ここまでが整理できれば、求人票を作成する下準備ができたと言っていいでしょう。

まとめ

今回は、エンジニアの採用を成功させるために必要な下準備をテーマにお話ししてきました。現在エンジニアの採用活動がうまくいっていないという方は、まずこの下準備の段階から見直して、ひとつひとつを明確にするところから始めてみると改善できるかもしれません。
次回は、今回の下準備をもとにした求人票の書き方について解説します。

>>>第3回 応募が来ないのは求人票のせい?エンジニアにスルーされる求人票はどこがいけないのか

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