離職率30%から3%の優良企業へ復活させたスタートアップ社長が教える!
『社員の自己実現を導く組織づくりとは』Vol.4
社員との対話から、「組織」と「個人」の願望をマッチさせ続けることの重要性に気づいた私は、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作ったあとも、さらに社員と組織が同じ方向を向く上で大切なことは何かを考えるようになりました。
そこで次に行ったのは、「会社の情報を透明化する」です。
【これまでの内容】
Vol.1:https://at-jinji.jp/expertcolumn/303
Vol.2:https://at-jinji.jp/expertcolumn/304
Vol.3:https://at-jinji.jp/expertcolumn/307
目次
なぜ会社の情報を透明化する必要があるのか
会社の経営計画や現在の経営状況を社員に伝えることは、個人と会社の目標をすり合わせる上で、とても大切なことです。
多くの企業では、重要な情報が経営幹部のみに共有され、社員には伝わっていないケースがありますが、それでは組織として一枚岩になることはできません。会社で起こっていることを理解していないのに、組織の目標を“自分ゴト″に置き換えられる人はいないからです。
では、会社情報の透明性を保つためにはどうすればいいか。これはしっかりとした場を設けて、丁寧に説明するしかないと思います。私の知る限り、その説明責任を怠っている経営者やマネージャーが本当に多いのです。ちなみに、「伝える」ことと「伝わる」ことは全く異なります。
一方通行ではなく、丁寧な相互コミュニケーションの場を設ける
私も長い間、丁寧な説明ができていませんでした。
manebiでは、前々から情報の開示自体は行っており、誰でも見られるクラウドストレージに経営計画や財務情報を保管して、確認するように指示していました。その時の私は、それで社員に情報が伝わっていると考えていました。
でも実際は、置いた資料を見てくれる人はほとんどいませんでした。
最初は、「こちらは共有しているのだから、見ない方がいけない」と考えていましたが、改めて社員の立場になって考えてみると「それもそうだよな」と思うのです。いきなり数字や資料だけを共有されて、「確認しておくように」と言われても行間や意味が分からないのは当然の事でした。
私は代表として様々な情報や知識、環境など全体を俯瞰する立場にいるが故に理解できているだけで、入社年次や部署によっては、持っている情報量や、知識に違いがあり、解釈に大きな差が出るはずです。
そのことに気づいた私は、会社の状況について皆に説明する会を設けました。
「会社の状態はこうで、こういう目的に向かって動いている。だから今はこれを優先したい」という経営判断を、決断の背景から、きちんと全員の目の前で話したのです。
すると、その場で社員から様々な質問が返ってきて、活発な議論が生まれました。社員も皆すぐに会社の目的と現在地点を理解しようという姿勢になり、実際に理解してくれるようになりました。
振り返ってみるととても簡単なことだったのです。「一方通行ではなく双方向のコミュニケーションをする」、「一人一人の疑問に答える」、「抽象的ではなく具体的に伝える」。そういう場を設ければ良いだけでした。
組織の目標とカルチャーの共有のため、具体的にやっていること
そこからは説明の場を積極的に設けるようになりました。毎週全員参加の朝礼でしっかりとメッセージを発信し、スプレッドシートやスラックで社員の疑問を集めて回答する掲示板も作りました。
また、3か月に一回は全社員を集めて6時間に及ぶ全社ミーティングを行っています。これはOKRという目標の設定・管理手法をとっていて、1年間の全社目標と各チーム目標を立てた後に1クオーターごとにも全社と各チーム目標を設定し、常に全社が今の最優先事項に集中できる様にメンテナンスするための全社員ミーティングです。各チーム目標が自らボトムアップで、今大切なストレッチの効いた目標設定をし、前のめりで仕事をしていくことを促します。
組織が膨らんでくると、各チームで独自の文化が出てきますが、それらを正しく育てるためにも定期的に全員で話して、組織の状況と目標、そして一人一人の願望を共有する努力をしています。
最近は大企業から転職されてくる方も多いのですが、こうした社内の取組には皆さん驚かれます。「毎週代表からメッセージをもらえることにビックリした」とか「役員の社内チャットが全員にオープンになっていることが凄いと思った」という感想をもらうのですが、それだけ弊社が、情報開示と目標の共有に力を入れている証拠だと思います。
採用にも変化が現れるなど好循環が生まれた
コロナによって物理的に集まることができなくなった今でも、オンライン上でこれらの取り組みは続けています。
もちろん実行し続けるのは相当な労力が必要となりますが、続けていけば、必ず社員一人一人のモチベーションに表れます。また会社に対する愛着やエンゲージメントというものにも繋がっていきます。
現にmanebiでは第3回のコラムでお話した「MVVの策定」と、今回の「会社の情報を透明化する」によって、離職率30%の壊滅的な状態から1年ほどで、「manebiが好きです」と言う人が明確に増えていきました。離職率も激減して、本当に嬉しかったです。
また、さらに嬉しかったのが、社員がリファラルで仲間を集めてくれるようになったことです。
エージェントなどを経由するとゼロからmanebiに合う人を探さなくてはいけませんが、理念と目的に共感した社員が声をかけてくれるので、最初からカルチャーフィットした方が集まるようになりました。リファラル採用は「本当に良い会社だ」と社員本人が思っていないと中々実現しないものです。
この頃から採用も一気に変わっていきました。リファラルで人が集まるようになったおかげで、闇雲に募集する必要がなくなったのです。選考基準も大きく変えて、1次選考の書類審査のハードルを厳しくしたり、執行役員面接や最終面接は4人の取締役の全会一致でないと採用しないなど、採用の運営・品質を向上することができました。最近では、目に見えて会社の理念と目的への共感が強く、自主自立の精神がある方が入社してくれています。
こうしてmanebiはスタートアップ企業がぶつかるとされる「30人の壁」「50人の壁」もスムーズに乗り越え、一枚岩となった社員の数が60名を超えていきました。現社員の42%がリファラル採用で入社しました。
全ては組織の理念と目標を明確にし、情報の透明化の努力を行ったことで、良い循環が生まれるようになったのです。
次回はいよいよ最終回です。
最後は、「自社社員をどう育成していくか」と、「経営者やマネージャーが組織づくりにおいて持つべき覚悟とは何か」について、私の経験から感じたことをお話したいと思います。
>>>『社員の自己実現を導く組織づくりとは』Vol.5 へ続く
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