研修マスターの6つ星“指南術”

【第6回】「評価に不満」を持つ社員を、「いきいき」社員に変える評価面談

期の区切りで行う「評価面談」ですが、上司を対象に「評価者研修」、部下を対象に「被評価者研修」などを実施されている組織も多いのではないでしょうか。しかしそのような取り組みをしてもなくならないのが、評価への「不満」。実は「不満」を述べる社員には、ある特徴があります。そこで今回は、そのような特徴を持つ社員へ「評価面談」を通じて効果的に働きかけ、やる気を喚起し、積極的な取り組みを促進していくポイントをお伝えします。

不満を述べる人に不足しがちな「自立心」と「積極性」

評価面談の中身の多くは、本人評価と上司評価(二次評価)の結果のフィードバックと次の期に向けた目標設定とプロセスの確認です。このような話し合いの後、部下から挙がる不満の声に次のようなものがあります。「上司は自分の仕事をちゃんと見てくれていない」、「他の人との評価の違いがわからない」など。

 このような不満が出る背景には、期初の話し合いにおいて、上司が描いた成果のイメージと、部下が描いた成果(およびプロセス)のイメージにギャップが生じていたり、あるいは、上司が「サポートするから」と言っていながらサポートがなかったりなど、様々な要因があります。

 もちろん、ギャップが生じないよう成果イメージをすり合わせておくことや、期中にサポートを怠りなくするなど、上司側の働きかけの改善も大事です。しかし、部下にとって大事なことは、自立的かつ積極性を発揮し成果を上げること。仮に、上司が描く成果イメージと異なることがわかったのであれば、自ら成果イメージを具体的に把握することに努めたり、支援を求めたりするなど、自分から働きかける意識と行動です。

 実は、不満を述べる社員によく見られる傾向として、「自立心」や「積極性」の不足があります。 その不足している「自立心」や「積極性」を引き出す場として有効なのが、「評価面談」の機会です。

部下の「自立心」や「積極性」を引き出すためには?

就職活動期には、「夢や希望」、「目標」、「やりがい」、「働き甲斐」、「やりたいこと」、「向き・不向き」、「満たしたい条件」などについて自己対峙し「自分は何のために働くのか」という目的意識を明確にします。しかし、入社後その意識は徐々に薄れ「目の前の求めに応じること」に精一杯となります。この状態が長く続けば続くほど、「自立心」や「積極性」は失われていきます。

 それでは、その状態から「自立心」や「積極性」を引き出すためにはどうすればいいのでしょうか?まずは、改めて「働く目的」を喚起することです。といっても、いきなり「君は何のために働くのか?」と問いかけることではありません。上司として、部下一人ひとりがどんなときに「生き生きしているか」、それを観察するところからスタートします。

 「生き生きしているとき」を観察ポイントにおいていると、一人ひとりの長所が見つかります。 その長所に気づいたときに、手帳などに日付と状況を書きとめておきましょう。そのストックが多ければ多いほど、部下の「自立心」や「積極性」を引き出しやすくなります。

「作業」視点から「成長機会」への転換

どのような業務であっても、その業務に自分なりの「意味」を持たせることができれば、業務を通じて多くのものが得られます。例えば「プロジェクトの議事録作成」であれば、作成を通じ、プロジェクト全体を俯瞰する力を養ったり、プロジェクト遂行過程での問題発生の要因や解決ポイントを把握したりできます。あるいは社内外の人間関係づくり、文書作成力のスキルアップなど、得られる要素はたくさんあるのです。

 そして、その人なりの「意味づけ」ができると、工夫や改善が進みその人なりの「価値」が生まれ「評価」されます。上司はこのことを「当たり前」と思っています。しかし、「自立心」や「積極性」が不足している人は、「議事録を期日までに間違いなく配布すること」が自分に命じられたことであると解釈し、「意味づけ」ができていないことが多いのです。ここにギャップが生じています。

 そこで、任せている仕事の中に「その人なりの意味づけ」ができるよう、上司として働きかけることが必要です。

「将来」に触れることで「今」に意味が出てくる

それでは、どのように働きかければいいでしょうか。タイミングとしては、評価面談の後半、次の目標について話し合う前に、「少し長いスパンでの話し合いをしておきたい」旨に触れ、部下が自身の将来についてどのような展望を持っているかを聞く場を設けます。

 そこで、部下なりの方向性が明確な場合は、じっくり話を聞きます。反対に、言葉が出ない人に対しては、「入社動機」に触れたり、「将来どんなビジネスパーソンになっていたいか」や、「どんな仕事をしてみたいか」などをざっくばらんに問いかけたりします。また、観察から得た「長所」についてフィードバックし、自己理解を促すことも効果的です。

 その上で、今後、業務にどのような意味づけができるかを考えさせたり、上司側から「こういう視点もあるのでは」という選択肢を示したりします。

 この過程で大事なことは「上司の考えを押し付けないこと」。あくまで「部下本人の内側から引き出す」ことです。そして、引き出された内容が、上司としては物足りないものであったとしても、肯定すること。肯定した上で、場合によっては、定期的な話し合いの場を設ける提案をし、少しずつレベルアップを図ります。

 また、人によっては「頭が真っ白」になり、何も出てこないケースもあります。その際は、 結論を急がずに「問いかけ」の場とし、本人が自分の中で意味づけができるように促します。

 このように「将来」について考えてみることは、与えられている役割や業務に対して、意味や価値を見出すきっかけになり、意欲を高めます。これは、「自立心」や「積極性」の有無にかかわらず必要なことといえるでしょう。せっかく部下と一対一で話せる機会を、効果的に活用してほしいと思います。

 また、このような視点は、上司のみならず人材育成部門にとっても必要なこと。「上司が評価してくれない」という相談があったときにも、活用してはいかがでしょうか。

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