企業でワーケーションを実施する効果とは? ~これからの新しい働き方の提案~

目次

  1. 企業としてワーケーションを導入しようと考えた背景
  2. 企業でワーケーションを実現するための3つのポイント
  3. ワーケーションのメリット・デメリットを理解し、より効果的な実施へ
  4. ワーケーションを実施するためのステップ
  5. 「ワーケーション」はニューノーマル時代の新しい働き方

企業としてワーケーションを導入しようと考えた背景

「ワーケーション」という働き方を知っていますか。
英語のWork(仕事)とVacation(休暇)の合成語で(※)働く場所の自由度が高まるだけでなく、働く環境や時間など多様な働き方が可能になることで注目されています。

当社は新型コロナウイルスの影響で、観光業界に関わる皆様への打撃が大きなものだと感じており、これまでのフルリモートを前提とした事業運営を活かせないかと考えてきました。
そして、国が推進するワーケーションを会社として取り組み、また【雇用】に関する社会課題の解決を通じて、地方創生へも貢献していきたいと考えています。
今回は「ワーケーションを制度化するにはどうしたらよいか」「スケジュールや人数はどのように決めたら良いか」など会社として実施するためのノウハウをお伝えします。

※(参照)JTB総合研究所:https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/workation/ 
※(参照)沖縄・久米島で「ワーケーション✖社会課題解決~テレワーク研修・雇用創出~」の実証実験を実施!

【関連記事】
ニットに聞く「ワーケーション」の有効性と運用のコツ(@人事ONLINE)
→代表・秋沢崇夫と小澤が、ワーケーションの有効性や人事・総務担当者がワーケーション導入時に検討する課題の解決策や考え方を紹介しています。

企業でワーケーションを実現するための3つのポイント

①「目的」「ゴール」を必ず決める
まずは国や自治体の助成、支援を活用してワーケーションの知見、経験を増やしてから制度設計を検討していく。

②複数人、チーム単位でやるのがおすすめ
ポジティブな発想を生むようなブレストやディスカッションをするために複数人で行うと良いでしょう。本音が出やすくなるので、これを機に、キャリア面談もおススメ。

③ワークとバケーションをバランスよく設計
仕事だけでなく、現地ならではの遊びを必ず体験できるよう設計する。費用は必ずしも会社が全額負担する必要はない。目的とスタンスで考える。

ワーケーションを実現するためには企業側としては「勤怠はどうするの?」「成果があがらなかったらどうするの?」などという疑問も多いかもしれません。

これはリモートワークを導入しはじめた企業の方に向けたアドバイスと似ているのですが、これからはプロセスではなく成果で判断すべきだと思います。
下記の図のとおり、「高い生産性でチームとしての成果を出す」ことを企業として1つの評価軸にすることをおススメしています。
そのためにワーケーションをスタートする前に「目的」「ゴール」を決めることが重要なのです。

※参照:管理職必見! テレワークにおける理想のマネジメントとは?(@人事プライムコラム)

ワーケーションのメリット・デメリットを理解し、より効果的な実施へ

では企業でワーケーションを導入するとどのようなメリットがあるか見ていきましょう。オフィス出社では中々できない体験ができるのがワーケーションの魅力です。下記のメリットや効果は実際に当社がワーケーションを行って体感したことでもあります。

ワーケーションは仕事の生産性があがり、組織活性化につながる

では、企業でワーケーションを実施するとどのような効果があるでしょうか。主に3つの効果があると私は考えています。

1.組織活性化につながる
できれば複数人、チーム単位で行って、未来に向けてどういうことをやっていくのかといった、ポジティブな発想を生むようなブレストやディスカッションがワーケーションに向いていると思います。
普段とは異なる場所でディスカッションをすることで、リフレッシュとなり新しいアイディアもたくさん生まれました。企業の制度として取り入れる場合「3年目研修」「部の合宿研修」など2~3日日数を要するプロジェクト、チームで取り組む内容に適していると思います。

2.生産性向上につながる
また、バケーションつまり遊びの予定も入れているので、仕事とプライベートの時間にメリハリがつき、生産性を上げてはたらくことができました。普段、長時間労働をしがちな部署に向けた施策として、またリフレッシュを目的とした施策としてワーケーションを取り入れるのも良いでしょう。

3.企業ブランディングにつながる
企業としても現地の自治体と協力し、何かを成し遂げることは企業ブランディングに繋がります。
ワーケーション実施後にプレスリリースを公開、SNSで告知・拡散をすることでブランディングに繋がると考えています。

▼長野県にて「企業としてのワーケーション✖社会課題解決」を取り組んだ9日間のレポート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000059127.html(PR TIMES)

▼Twitterを活用した拡散
https://twitter.com/mica823/status/1369318283481071624

また、「ワーケーション」という新しい働き方を実施している企業は新卒など採用面でも「働き方の多様性を認めている企業」として捉えられ、企業イメージ向上のメリットがあります。

4.孤独感が解消される
現地に行って現地の人と触れ合ったり、複数人で一緒に行って対面で実際に話しながら仕事ができるため、孤独感を感じる機会が減ると思います。

仕事だけにならないよう「遊び」も取り入れよう

ワーケーションのデメリットとしては「真面目な人ほど仕事だけして終わってしまう」ことです。
コワーキングスペースやワークスペース、宿舎というように充電場所が限られるため、仕事ができる場所が限定されるため、意識して「遊び」を入れないと仕事だけのワーケーションになってしまいます。
普段と違う環境で集中できるというメリットもありますが、せっかく日常とは離れた土地に来ているのに仕事だけするのはもったいないと思います。(「遊び」も組み込んだスケジュール例は後述)

ワーケーションを実施するためのステップ

それではさらに具体的に「ワーケーションを導入したいけど、何をしたら良いか」を見ていきましょう。

ステップ1:場所を決める

そもそも「ワーケーション」をどこで実施するか悩む方も多いかもしれません。会社として馴染みのある場所を選ぶのも良いですし、メジャーな場所を選ぶのも良いと思います。
当社は沖縄県久米島・長野県小布施町でワーケーションを実施しました。それぞれ下記の理由で選択しましたが、「この土地にこういった魅力を感じたから」という素直な理由も現地の自治体の方には喜ばれると思います。

◆沖縄
久米島での実証実験に参画させていただけるきっかけがあったため。また、ダイビングのライセンスを獲りながら仕事をすることを実現したかったから。代表の秋沢はワーケーション中にダイビングの免許を取得!

◆長野
東京から行きやすい距離であることと長野自体が自治体としてワーケーションに力を入れておられるので、現地に触れながら社会貢献できる道を模索しやすいかもしれないと思えたから。

ステップ2:ワーケーションの取り組み内容を決める

ではワーケーション中にはどんなことに取り組んだら良いかみていきましょう。雇用創出などのその土地ならではの業務だけでなく、通常の業務を行ってみましょう。通常の業務でも普段と違う場所で仕事をすることで何か気づきがあるかもしれません。

①現地で通常通りのテレワーク
→現地で通常通りのテレワークを実践できるように、コワーキングオフィスを準備したり、ホテルのWi-Fi環境や部屋の机や椅子が完備されているかを確認したりすることは重要です。

②現地で対面でのディスカッションやワークショップの機会創出
→社員同士で数日間ともに過ごすならば、未来に向けたディスカッションや現状の課題を洗い出すなど、膝を突き合わせて本音で語り合えるような時間の設計も有効です。

③現地の企業・自治体と協力して、現地在住者の方向けの課題解決を実施
→現地を訪れるからこそ、現地の方々に触れて、社会課題を我が事で捉えられるような機会を創出することも、企業としては重要。また、ワーケーション中の一過性の取り組みではなく、永続的な社会課題解決への貢献こそが、企業がワーケーションに取り組む意味であるとも言えます。

下記の図は長野での取り組み事例です。長野県だけでなく、県外の企業も巻き込むことでより広範囲に影響を及ぼすことができます。ネットが繋がる環境であれば、オンラインで講座もできますし、参加者の住まいに制限をかけることなく実施できます。

ステップ3:スケジュールを立てる

下記は2021年2月20日~28日まで長野でワーケーションを実施した際のスケジュールです。
赤い部分は「バケーション」なのですが、1日に1回はその時間を設けています。ホテルなどのWi-Fi環境が整った場所で仕事をすることも大事ですが、意識的にバケーションの時間をとることで、リフレッシュしたり、現地の空気を味わうことができます。
スケジュールは事前にある程度立てておきつつ、現地の人と触れ合いながら臨機応変に変更していくのもワーケーションの醍醐味だと思います。
そういった意味では「セルフコントロールができる人」がワーケーションに向いているように思います。

「現地の方との交流はどうしたら良いか」と悩んでいる方は、行く先の県庁や市役所の方にご相談することをおススメします。また、自分の会社に繋がりがある現地企業をリサーチしたり、その土地に住んでいるメンバーにアポイントをとるなど、交流の接点を探す方法は色々あります。
最近では企業ブランディングやイベントの集客をSNSで行っている自治体・団体もありますので、そういったソーシャルメディアを積極的に活用していくのも良いと思います。

例えば長野県ですと、下記のようにSNSを利用している市もあります。
長野県須坂市の公式アカウント:https://twitter.com/suzaka_city
イベント告知のツイート例:https://twitter.com/suzaka_city/status/1369515228673667072

「ワーケーション」はニューノーマル時代の新しい働き方

企業としてワーケーションを実施する前に、実は私は9月に1週間ほど沖縄でワーケーションをしていました。その時に普段と異なる環境に自分を置くことはとても刺激になると実感していました。今回2つの土地で企業として、チームとしてワーケーションを実施できたことを大変嬉しく思っています。
参照)GO TO東京開始!必見!ニット社員の沖縄ワーケーションレポート公開

「テレワーク」のように「ワーケーション」という新しい働き方は社員にとっても企業としてもメリットがあります。企業として取り組む場合はただの旅行にならないよう目的やゴールを決めるなどの準備が必要ですが、複数回または色々なチームで実践することでその企業ならではのワーケーションの仕組みづくりができると思います。
皆様ぜひチャレンジしてみてください。

編集部より

@人事ONLINEで公開中の記事「ニットに聞く『ワーケーション』の有効性と運用のコツ」では、
・ワーケーションでも変わらない社員の評価方法
・ワーケーションでこそやったほうが良い仕事と向いてない仕事。メリットとデメリットは?
・ワーケーションは生産性を上げられるのか? 費用負担はどう考えるべきか?
・ワーケーションの実施を検討する企業の人事担当者、経営者に向けて伝えたいこと

といった内容を秋沢氏と小澤氏に聞いています。
あわせてチェックしてみてください。

▼記事はこちら
https://at-jinji.jp/blog/37345/

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