【第5回】研修マスターの6つ星"指南術"

「何コイツ」と思った新人を、「チームメイト」にしていくコツ

GWが明けると新入社員の指導も本格化してきます。この時期によく聞く声が「世代間ギャップを感じる」というもの。それは一体なぜなのでしょうか?そして、ギャップを感じたらどうすればいいでしょうか?今回は、配属から間もない時期の指導上のポイントをお伝えします。

新入社員が配属前に「自分から報告に行く」ことを学ばなかったとしたら

先日、中学生と一緒にセミナーを受ける機会がありました。滅多にない機会なので彼らの様子や反応についても興味を持って参加していました。そのセミナーでは自己分析の個人ワークがあったのですが、そのワーク中のこと。中学生の何名かが黙って手を挙げました。すると、先生がそのメンバーの近くに行き質問に答え、また別のメンバーのところに行き質問に答え、を繰り返していました。その様子を見た時に、「なるほどそういうことか・・・」と新入社員研修でのワンシーンがフラッシュバックしたのです。

そのシーンとは、入社時研修の「報連相」を学ぶパート。このパートの導入部分で「自分の仕事が終わったらどんな行動をしますか?」の問いかけに「手を挙げる」との回答。その他の意見を求めても出てこない。このようなことが増えています。従来は「指示した人のところに行く」という回答が一定以上の割合でありました。

しかし、最近になって急に「手を挙げる」以外の行動をイメージできる人の割合が減っていたのです。自分から報告に行かない人が増えている。上述の先生方の対応を見て「なるほど」と腑に落ちました。

以上を前提に、仮に配属前に「自分から報告に行く」ということを学ばなかったとしたら、指導者は「何で報告に来ないんだ(今どきの若い子は)」と思うかもしれません。一方新入社員は「放置された」と思う可能性があります。

考え方や行動のギャップがあって当然

このような、育ってきた環境の違いによる考え方や行動のギャップはその他にも起きています。たとえば研修中に「メモを取って」と言ったら、スマートフォンのカメラで撮影しようとした話。インターン生として他企業での仕事の経験がある新入社員に「こんなやり方意味がない」とか「こんな仕事の仕方遅れてる」と言われて指導しにくいといった話。「ワークライフバランスを大事にしたいので残業はしない」と配属後早々に宣言した話など、きりがないほどです。

それでは、こうしたギャップに私たちはどう対応していけばいいでしょうか?

まずは、「ギャップがあって当然である」ことを理解しておくこと。その上で、お互いの考え方や行動(価値観)を否定しない。これに尽きると思います。最初に相手の考え方や行動を否定的に捉えると、相手のやることなすことが受け入れにくくなります。ですので、まずはギャップがあってもそれを否定せずに客観的に捉えること。これが大事です。その上で日常的なコミュニケーションを取りながら、「知らないだけ」であれば、社会人として求められること、組織としての考え方などを伝え、相手に意見やこだわりがあるならば、相手の話に耳を傾けつつ、接点を見つけ、すり合わせていく努力を続けることです。

さらに5W3Hを活用した育成も

その際、もう少し具体的な観点があったほうが取り組みやすい場合は、以下が参考になります。 いわゆる「5W3H」を活用し、組織としての考え方や業務について整理する方法です。

目的:何のためにやるのか
背景:なぜそれをやるのか
対象:誰のためにやるのか
目標:何を、どこまで、いつまでにやるのか、どの程度の質・量か(その理由)
現状:今、どういう状況や状態か
手段:どんな手順でやるのか

マネジメントの父といわれるP.F.ドラッカー氏は、マネジメントをする上で(1)われわれのミッションは何か(2)われわれの顧客は誰か(3)顧客にとっての価値は何か(4)われわれにとっての成果は何か(5)われわれの計画は何か、を常に明確にするようにと説いています。

これを、より具体的にしたものが5W3Hの考え方です。この2つの考え方を自分の中に落としこんでおくと、新入社員に伝えるとき、確認や質問を受けるとき、お互いの考え方をすり合わせる必要があるときのベースになります。

私の場合は、研修に対して否定的な態度を取るメンバーが参加されている場合に、特に意識して上記の考え方を念頭に置き、目的を見据えたメッセージを繰り返し伝えています。すると、あるタイミングで、お互いの距離が近くなるのを感じることが多々あります。このような経験からもこの方法はお勧めできます。

と、今ではこのような形で色々とお伝えしている私も、入社時は「新人類」と言われ、組織のお荷物として扱われてきたバブル世代。上司や先輩から見ると自分勝手に考えて行動する「異星人」だったと思います。そんな私に、上司や先輩は、「知らないんだから仕方ないよね」と言って、1つ1つ指導してくれていたことに、今になって気づきます。

このように、会社に入りたての頃はお互いに知らないことが多いもの。だからこそ、同じ目的を見据え、「知らないことは伝え合う」「確認し合う」といったスタンスで指導に取り組んでいくと、いいチームワークで仕事ができる「仲間」になれます。ぜひ「いいチームメイト」になれるような関係性を築いていってください。

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