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高年齢者雇用安定法の改正にあわせて再検討したいシニア人材の活用【前編】

70歳まで活躍できるキャリアプランとは? 高齢者雇用安定法の意義と2021年4月施行の改正点を整理

皆様、株式会社Works Human Intelligenceの伊藤裕之です。
20年近く、統合人事システム「COMPANY」の導入・保守コンサルタントとして、大手法人の制度変更、業務改善、運用などの課題と向き合ってきました。
今回の記事では、4月に施行が予定されている改正高齢者雇用安定法について概要を整理したうえで、各企業が高年齢者の持つ力をいかに戦略的に活用することができるかについて、前・後編にわたり考察を行います。

前編は、高年齢者雇用安定法の基礎理解として制度の成り立ちや概要、目的、そして今回の2021年4月施行の改正点について整理します。
人事・総務担当者にとって、施行に向けた準備や今後の制度・運用の見直しの際に、本コラムが検討や解決の一助となれば幸いです。

※こちらの記事は下記の人事トレンド紹介コラム「高年齢者雇用安定法の改正にあわせて、制度を戦略的に活用するための3大ポイントとは」を@人事の読者様向けに一部編集させていただいております。
https://www.works-hi.co.jp/businesscolumn/elderly_utilization

目次

  1. はじめに
  2. 現在の高年齢者雇用安定法の成り立ちと概要
  3. 高年齢者雇用安定法が存在する理由
  4. 2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正点

はじめに

2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行されます。
少子高齢化とそれに付随した労働力人口減少が見込まれる中で、高年齢者の経験や知見をいかに活用できるかという点は、各企業にとどまらず、日本社会における大きな課題といえるのではないでしょうか。
その一方で、本法律については、いくつかの義務(努力義務)が実施企業に求められており、改正内容についてどのような対応を行うべきか、検討を行っている企業も多いかと思います。
本稿では、上記改正内容の概要について整理したうえで、各企業が高年齢者の持つ力をいかに戦略的に活用できるのか考察していきます。

現在の高年齢者雇用安定法の成り立ちと概要

まず、現行の制度について整理していきましょう。
高年齢者雇用安定法は、1971年の制定以降、何度かの改正を繰り返してきました。現行制度は2012年に改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」によって、2013年4月から施行されています。
制度の骨子は以下①~③の3点です。

①60歳未満定年の禁止
②65歳までの「高年齢者雇用確保措置」

  1. 定年年齢を65歳まで引き上げ
  2. 希望者全員を65歳まで継続雇用する制度※の導入
  3. 定年制の廃止

現在、雇用している高年齢者を、本人の希望によって定年後も引き続き雇用する制度には、次のようなものがあります。
◆再雇用制度 :定年でいったん退職とし、新たに雇用契約を結ぶ制度
◆勤務延長制度:定年で退職とせず、引き続き雇用する制度
※継続雇用制度は希望者全員を対象とすることが必要です

③ 中高年齢者が離職する場合の措置

◆再就職援助措置
事業主は、解雇などにより離職が予定されている45歳以上65歳未満の人が希望するときは、求人の開拓など、その中高年齢者の再就職の援助に関し必要な措置を実施するよう努めなければなりません。(高年齢者雇用安定法第15条)

◆求職活動支援書
事業主は、解雇などにより離職が予定されている45歳以上65歳未満の人が希望するときは、求職活動支援書を作成し、その中高年齢者に交付しなければなりません。(高年齢者雇用安定法第17条)

◆多数離職届
事業主は、45歳以上65歳未満の者のうち5人以上を解雇などにより離職させる場合は、あらかじめ、その旨をハローワーク(公共職業安定所)に届け出なければなりません。(高年齢者雇用安定法第16条)
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上記のうち、「①60歳未満定年の禁止」はすでに一般的であり、「③中高年齢者が離職する場合の措置」は手続き面の措置であるため、各企業にとって検討すべきポイントは「②65歳までの『高年齢者雇用確保措置』」になると考えられます。

高年齢者雇用安定法が存在する理由

次に本制度が存在している背景を整理しましょう。

① 少子化に伴う労働人口の減少=高年齢者の雇用維持による労働人口の確保 

言うまでもなく現在の日本は少子高齢化社会であり、今後その傾向がより強くなると考えられます。これまでのような労働力は、以前と同じような仕組みだけでは確保することができません。

厚生労働省は、「高年齢者等職業安定対策基本方針(平成24年11月9日厚生労働省告示第559号)」にて、「若者、女性、高年齢者、障碍者など、働くことのできるすべての人の就労を促進することによって社会を支える『全員参加型社会』を目指す」と表明。高齢化=定年後も、健康で、かつ労働意欲を持った高年齢層が働き続けることができる「生涯現役社会」を追及する必要があると定義づけています。


(出典)令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-

上図でも、2010年以降で15歳~64歳人口が低下傾向にあることが見て取れます。

② 年金支給開始年齢の引き上げや支給額減少に伴う、高年齢者の生活維持サポート

増え続ける高齢者への年金支給に対する財源確保をどのように行うのか、という問題に対して、支給開始年齢の引き上げや支給額の減少といった対策を講じざるを得ない状況があります。

2012年の高年齢者雇用安定法改正においては、下図の通り翌2013年度(平成25年度)から公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられることによって生じる雇用と年金支給開始の空白をなくすために、65歳までの「高年齢者雇用確保措置」を用意したという背景がありました。
高齢者にとっても、年金だけに頼ることなく、雇用によって収入を維持できる仕組みが存在することは望ましいでしょう。


(出典)厚生労働省 東京労働局 高年齢者雇用安定法ガイドブック

③ 高年齢者の高い労働意欲

内閣府の調査によれば、下図の通り、85%近い高齢者が「65歳までは働きたい」と回答しています。
多くの高齢者に労働意欲があるのであれば、労働力減少に対する解決方法のひとつとして、高齢者の雇用を促進することは理にかなっているでしょう。


(出典)令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-

また、高齢者の雇用促進は各企業のみならず日本社会全体にとって重要な課題であるため、解決に対して積極的に関与していくこと自体が、企業として大きな社会貢献として評価されると考えることもできます。

2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正点

続いて、今年4月に施行される、高年齢者雇用安定法の改正内容について整理してみましょう。
ポイントとなるのは、各種年齢の上限が65歳から70歳に引き上げられるという点です。

ポイントとなるのは、各種年齢の上限が65歳から70歳に引き上げられるという点です。
【参照】70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf

①定年年齢を70歳まで引き上げ
②希望者全員を70歳まで継続雇用する制度の導入(ただし、特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
③定年制の廃止(※変更なし)

また、雇用以外の対応として下記2点が追加されます。

④高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に下記いずれかに従事できる制度の導入
 
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

いずれも努力義務ではありますが、これまでと異なる特徴として、直接雇用にはこだわらず、何らかの形で社会と高年齢者を結びつける仕組みを是としています。
これは、企業側の雇用継続に伴う負担を考慮するとともに、近年重視されつつある、多様な働き方に対して考慮した内容と考えられます。

後編は、高年齢者の雇用状況について厚生労働省の統計データを参照しながら、高年齢者雇用を企業がどのように実践すればメリットや価値を生み出せるのか、制度活用のポイントを中心に解説します。

【後編】「70歳まで活躍できるキャリアプランとは?今後の人事制度に求められる新たな仕組み」に続く

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