研修マスターの6つ星"指南術"

【第3回】「私ブランド化」でやりがい向上!

「うちの会社もCMしてくれないかな~」、「ゆるキャラ作ったら売れるかも」。若手社員対象の研修で「どんな会社にしていきたいか」について話し合ってもらうと、必ず「知名度がある会社」という意見が出ます。「知名度があればね~」というのは、研修参加者に限らず多くの社員が感じていることなのかもしれません。

日本の法人数は約259万社(国税庁平成25年度データによる)。うち、資本金が1億円以上の企業は0.9%で約2万社。いわゆる業界大手は、2万社のうちのトップ数社です。そう考えると、「知名度」を上げるためには、相当の投資が必要です。

しかし、投資を行わなくても「知名度」を上げることができるとしたら。今回はお一人お一人の取り組みによって「知名度」を上げるアイデアを紹介します。

組織を「ブランド」にしていくためには…?

それでは「知名度」とは一体なんでしょうか?一般的には「ブランド」とも言われます。「ブランド」とは、もともとは、自分の家畜と他人の家畜を区別するために焼印を押したことが起源とされています。そして現在は、自社の製品やサービスと、他社の製品やサービスとを区別する中で、ある製品やサービスが、他よりも優れていると評価されると「ブランド」として認められます。

では、組織を「ブランド」にしていくためには、どんな取り組みをすればよいでしょうか?
それは、「他よりも優れている点」を見つけ、磨くことです。

実は、社員の多くは「自分の会社が他よりも優れている点」をほとんど認識していません。日頃接するお客様から「もっと安くできないか」「もっと納期が短くできないか」「もっとサービスできないか」などと言われるうちに、「自分の会社に価値がない」、あるいは「お客様はコストにしか興味がない」と思ってしまうからです。

しかし、そのようにおっしゃるのはお客様に都合があるからです。そのため、お客様の要望と自組織の価値は切り離して考える必要があります。その上で、次の2つのことを考えます。

1つ目は、「私」のいいところを見つけること。2つ目は、「私が接する人」の、「一人先の人」を意識すること。ここで1つ補足します。「私」と表現したことで、違和感を持たれた方もいらっしゃることでしょう。「私」はあえて「個々人」に焦点をあてるために用いています。その理由は、個人が起点となり取り組むと、よい影響が拡がりやすいからです。

それでは、1つ1つ具体的な取り組みポイントとともに理由をみていきましょう。
1つ目の「私のよいところを見つける」は、仕事でやりがいを感じること、得意なこと、好きなこと、ミスや失敗をしないこと、時間を忘れて取り組めること、楽しい・おもしろいと感じること、またプライベートでも同様に考えできるだけたくさんのことを見つけます。手帳やノートに書き留めておくと効果的です。その上で、「私のよいところを仕事に生かすとしたら?」と考えます。

たとえば、お笑い好きであれば「周りの人を楽しませよう」、メカ好きであれば「組み立て作業は任せてもらおう」などです。自分のよいところを、人のために生かす取り組みです。

さてその上で、2つ目の「私が接する人の、一人先を意識する」です。この取り組みのポイントは、仕事を進める際に「自分が接する人の次」をイメージして取り組みます。

たとえば、報告書類を上司に提出するのであれば、その報告書類を次は誰が見るのか。その次に見る人を「楽しませる」ことはできないか。あるいは、「次に見る人が知らない情報をデータ化して、合わせてレポートしておこう」というように、です。

このように、自分のよい部分を生かして取り組んでいると、それが他の人の印象に残ります。さらに、その印象が蓄積され一定量を超えると「あの人といると、楽しい」、「これは、分析に強いあいつに任せよう」といったように、自分の得意な部分が生きる仕事をどんどん任せられるようになります。これが「私ブランド化」のイメージです。

さらに、「私ブランド化」が進むと、気持ちの余裕が生まれ、組織のよい面を見つける感度も高まります。今まで気づかなかった組織の価値に気づき、それを自分の得意なことにつなげて、よりよくできないかを考えることで、組織の価値×私ブランドとなり、新たな価値が生まれる可能性があります。

ブランド力のある会社とそうでない会社を、人材の面から比較すると、個人の資質や能力にそれほど大きな違いはありません。しかし、ブランド力のある会社は、一人ひとりが、自分のよい部分を知り、それを、組織の意向の中で発揮しようと努力しています。その努力の差が蓄積され、結果として大きな差になっています。

実はこの方法は、仕事でお世話になっている経営コンサルタントの方に教わりました。その方は、自分の得意分野を2つ見つけて、それを徹底的に磨き仕事の中で活用したそうです。その結果、クライアント企業から高い評価を受け、業績に大きく貢献しました。その後、コンサルタントとして独立されましたが、著書は累計100万部以上、担当セミナーも常に盛況です。長く、活躍できるコンサルタントとしてのポジションも確立され、その存在はブランド化しています。

以上のことから、私たち一人ひとりが自分のよいところを見つけ、それをうまく生かそうとすると、ブランド力は自然と高まり、CM以上の効果を生む可能性があります。

組織で取り組む場合は、社員教育の中で上記の着眼点を取り入れる、あるいは、職場で取り組む場合は、職場のメンバーからそれぞれのよいところをヒアリングし、それを生かす取り組みをすることも効果的でしょう。「私ブランド化」進めてみませんか?

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