ポイント制人事考課システムを活用して離職率低下と社員のモチベーションアップを実現した事例紹介
【完結編】ポイント制人事考課システムの運用と効果。さらなる改善とモチベーションアップへ
【運用準備編】「ポイント制人事考課システム運用の前の大切な準備」の続きです。
半年間に及ぶ運用準備期間を経て2011年7月からの運用開始を控え、社内は最後の詰めに入っておりました。
ポイント制人事考課システムに対する経営幹部の認識統一、考課者に対する人事考課研修、3シフト体制だったためグループに分けて全社員への説明会開催と直前の6月はあっという間に過ぎて行きました。
本稿は完結編として運用後の変化についてお話しさせていただきます。
※こちらの記事は下記のブログ記事「ポイント制人事考課システムで離職率低下とモチベーション向上を実現した話(4-完結編)」を@人事の読者様向けに一部編集させていただいております。
https://tecci.net/point4/
御社の役に立つかもしれない、このポイント制人事考課システムの顛末を、よろしければお読みください。
目次
全社員へポイント制人事考課システムの説明会を開催
6月には全社員にポイント制人事考課システムの説明会を開催して周知しました。もちろん説明は人事部門が行いました。運用準備中に積極的に動くことを身に付けた人事部門は頼もしく感じました。
説明の要点を下記に挙げます。
- ポイント制人事考課の考課項目の説明。
- 頑張れば沢山もらえる。
- スーパーマーケットのAeonの166倍,TESCOの100倍の価値 1ポイント=RM1(*1)
- ショッピングポイントは買い物しないともらえないが、考課によるポイントは金銭の支出なしに獲得できる。
- 本採用、誕生日、皆勤・精勤の自動付与ポイントもある。
- ポイント通帳を給与明細書に表示。(当月獲得ポイント、当月交換ポイント、累計ポイント)
- 開始後1年、入社後1年は換金不可。
- 換金はRM10単位で1回の換金MAXはRM100。
- ポイント獲得のタイムテーブル例を用いて説明
(*1)RM1は1マレーシアリンギットで、当時のレートは1RM約27円。
【図:タイムテーブル例】
※ポイントの設定については「【誕生編】ポイント制人事考課システムの設計」をご参照ください。
【写真:社員説明会の様子】
運用後の変化。感動、そして離職率は6%→1%に低下
2011年7月1日よりスタートした「ポイント制人事考課システム」は、従業員のポイントに対する期待と、人事考課者の人事考課に対する不安、そして経営幹部のシステム運用で離職率低下と社員のモチベーションアップに対する期待を抱えながら稼働しました。
運用後の変化として、次のようなことがありました。
- 離職率が下がってきた。※詳細後述
- 雨が降ったり、渋滞があったりすると遅刻、欠勤していたのがなくなり、出勤率が上がってきた。
- 会話の中で「ポイント」という単語が出始める。
- 「上司が評価してくれない、評価がみんな同じ」と不満を感じていたスタッフが、制度が浸透するにつれ上司と部下の日常会話の中で「この提案、ポイントになるから頑張って仕上げてごらん」「この工程を覚えるとポイントが付くよ」等、様々な場面でポイント効果が効いてきた。
- 業務提案や安全衛生への提案が積極的になってきた。
- 社内研修が活発化してきた。
- 社外セミナーにも嫌がらずに参加するようになった
正直、思っていた以上の良い変化でした。
運用面では考課フォーマットの変更を行いました。スタート当初は一人/ページのフォーマットを使っていましたが、3カ月後には考課者からの提案で運用上とペーパーレスの観点から多人数/ページのフォーマットに変更しました。
確かに一人/ページでは人数が多い場合、考課表の枚数もそれに連れて増え、考課そのものに時間も掛かりますし、その後の人事部門のチェック作業等にも時間が掛かっていました。多人数/ページのフォーマットにする事で前述の問題解決だけではなく、考課面で被考課者間の比較も出来るようになりました。
その他、細かい部分で改善をしながらポイント制人事考課システムを運用し、1年が経ち貯まったポイントを換金できる日が来ました。
私も社員のみんながどんな様子で換金するのか気になって換金の場面に立ち会いました。その時のことは今でも覚えています。
一人ずつ順番に換金したのですが、自分の順番が待ちきれないのかニコニコしながら並んで待ち、そして換金した時の笑顔がなんとも言えず、満面の笑みとはこのことをいうのかと思う笑顔でした。
一度の換金の最高額は100ポイントのRM100ですが、自分で獲得したポイントがキャッシュになるのは本当に嬉しそうでした。
特に外国人労働者達の喜ぶ姿は感動さえ覚えました。
【写真:初めての換金時の様子】
こうして、ポイント制人事考課システムの運用により、運用前は6%台あった離職率も導入準備時から下がり続け導入1年後には1%台にまで下がりました。
2年目はモチベーションアップへの取り組み
2年目以降はモチベーションアップへの対応として次のことを進めました。
- 付与するポイント数にメリハリをつけるため考課項目によっては考課者複数名が審議して与えられたポイントから配分する。
- PDCA研修を開始。毎月PDCA勉強会を開催し参加者は役員、マネージャー、エグゼクティブは全員、その他希望者は自由に参加可能。
o PDCAを知る。(意外と知らない人が多く、知ったことにより仕事の進め方に効果が出ました。)
o 参加者全員に発表の場を与え、参加者は所属部門に関係なく発表内容について質問したり、アドバイスをし合う。 - 年次パーティーにあたるAnnual Dinnerで表彰
o PDCA発表会の中で印象的だった提案を役員、マネージャーが選択(RM300 5名程度)
o 長期勤務(5年,10年,15年,20年,25年)
o その他安全衛生に貢献をした者に対し表彰。
ポイント制人事考課システムにかかる費用は付与するポイント数にもよりますが、昇給ほどのインパクトはありません。
マレーシアでは一度昇給した給与を下げることは不可能に近いですが、ポイントは給与とは別ですのでその懸念もないでしょう。
さらに毎月の人事考課記録の保存は労働争議の多いマレーシアではその際の重要な資料となります。
【写真:人事考課資料】
ポイント制人事考課システムのまとめ
最後にポイント制人事考課システムについてまとめたいと思います
- ポイント制人事考課システムとモチベーションアップの機会を組み合わせることによって、離職率ダウン、モチベーションアップ、出勤率向上を達成できた。
- PDCAや提案を通し社内規定や作業標準の見直しを行うことができ、会社運営や実作業においても効率アップや作業ミス低減が図れ、労使双方にとって改善されている。
- 離職率ダウンにより求人に関する費用と時間が大きく削減できた。
- 人財が安定することで先を見た経営が出来るようになった。
- 人事考課の公平性の向上により、給与や考課に対する不平不満が減った。
- 自社の特徴や経営方針に基づいて考課項目やウェイト付をアレンジできる。 (パッケージシステムにはない良さを生み出せる)
- 長く続けられ確実に効果が出るシステム。
【図:離職率と出勤係数の推移】
最後までお読みいただきありがとうございました。
2011年よりはじめたポイント制人事考課システムは、今でも使われており離職率低下とモチベーション向上に寄与しています。
長く続けられ確実に効果が出るシステムと自負もありますが、このシステムについてさらに詳しくお知りになりたい方は遠慮なくお問い合わせください。【おわり】
有限会社トアシステム
https://toasystem.co.jp/toa
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