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ポイント制人事考課システムを活用して離職率低下と社員のモチベーションアップを実現した事例紹介

【運用準備編】「ポイント制人事考課システム運用の前の大切な準備」

ポイント制人事考課システムを活用して離職率低下と社員のモチベーションアップを実現した事例紹介(誕生編)の続きです
【誕生編】ポイント制人事考課システムの設計

前回は「ポイント制人事考課システム」の基本設計の内容をお話ししました。
本稿では「ポイント制人事考課システム」を運用するにあたり、運用開始までの半年間を運用準備期間として実施したことを紹介します。
まず、次の3つのことについて徹底的に話し合い、経営幹部と共通認識をもち、運用に臨むことを考えました。

  • 企業はヒトなり
  • 公平な人事考課
  • 人事部門への教育

ポイント制人事考課システムを導入するにあたり、このような当たり前のことを再認識するうえでも必要なことだと考えたためです。

 ※こちらの記事は下記のブログ記事「ポイント制人事考課システムで離職率低下とモチベーション向上を実現した話(3-運用準備編)」を@人事の読者様向けに一部編集させていただいております。
https://tecci.net/point3/

御社の役に立つかもしれない、このポイント制人事考課システムの顛末を、よろしければお読みください。

目次

  1. 人事考課で一番大事な「人事考課は公平であるべき」
  2. 呆れた人事考課の実態
  3. 経営幹部、日本本社、ローカル社員へ納得してもらうために説明を繰り返す
  4. 公平な人事考課を実現するための対策
  5. 人事部門の意識改革のための教育

人事考課で一番大事な「人事考課は公平であるべき」

ポイント制人事考課システム運用準備としてするべきことは「公平な人事考課」をどう行うかでした。長年の習慣を修正することは一筋縄ではいきませんでしたが、「公平な人事考課」が出来ない限りどんな考課方法も意味を持たないと思い、少々強引に進めた部分もありました。

ポイント制人事考課システムに限った話ではなく人事考課で一番大事なことは「公平な人事考課」です。

呆れた人事考課の実態

従来より「7月実施の昇給・昇進」、「12月支給の賞与」のために年2回の人事考課が行われておりましたが、赴任1年目の6月、11月にその考課表を確認して驚きました。

普段「スタッフのAは出勤率が悪い」「Bはミスが多い」等と部下に対し不満をこぼしていたマネージャーの考課表は、外国人労働者を除いたローカルスタッフに軒並み最高評価を与えていました。他のマネージャーも多少の差はあるもののローカルを高評価、外国人労働者を低評価という状況でした。
これを各マネージャーに問うと、「考課が悪いと可愛そうだから」と平気で答える状況でした。

マネージャーによっては人事考課を自由に高くすること、自分の手中にその権限があることを部下に見せつけることで自分の威厳を保つ雰囲気すら醸し出していました。
このような状況が平然と罷り通っていた実態を知り呆れ返ったものでした。

経営幹部、日本本社、ローカル社員へ納得してもらうために説明を繰り返す

しかしこのような実態を長年放置していた経営者側にこそ原因があると思い、当時の経営幹部に実態を説明し、人事考課の重要性と公平性について納得できるまで話し合いました。

公平な人事考課を実現するためにこれまで一律に考課されていた外国人労働者もローカルスタッフと区別せずに考課し、その結果に応じて昇進・昇格・昇給を行い、賞与も考課に従って支払うように変更しました。
これにはコストが上がるという懸念から日本本社や他の経営幹部から反対意見がありましたが、当時のマレーシアでの外国人労働者の重要性を説明し、納得してもらいました。

反対意見はローカル社員からも出ました。その多くは外国人に越されたくないという極単純な理由ですが、根源的な理由でもありました。
一部の外国人労働者はローカル社員より勤務年数も長く、勤務成績やスキルの点でもローカル社員より優れておりました。
このような人たちがいたため経営幹部やローカル社員に「もしベトナムに工場を作ることになれば、彼らは間違いなく管理職や経営幹部になり得る人材である。同じ人間がベトナムでは管理職、マレーシアでは外国人というだけでオペレータのままでは企業にとっても大きな損失である」と説明し、ローカルとか外国人という区別をなくしてその人の実力を評価するよう共通認識を持つようにしました。

そのように考課基準の目合わせを目的に経営幹部、マネージャーと初心に戻って人事考課について研修を数カ月にわたり行いました。
考課以外にも当時は問題がありました。給与の支給額や昇進・昇格・昇給内容、賞与額まですぐに社員間に知れ渡っており、そのためにA社員を上げればBもという人事考課とは関係のない要素でマネージャーがバランスを取っていたのです。

公平な人事考課を実現するための対策

そのため就任2年目の6月に行った昇進・昇格・昇給の人事考課から次のような対策を行いました。

  1. 人事部門は賃金台帳や考課表など人事に関する資料を机の上などへの放置を禁止し、鍵付きのキャビネット内に必ず保管する。そして人事情報を口外しないこととする。社内に情報が漏れている場合は人事から漏れたと認識する。
  2. 昇進・昇格時には対象者一人ずつとマネージャーと経営幹部とで面談を行い、評価された点、改善点を説明する。この際この内容について機密保持契約を行い情報が漏れた場合は昇進・昇格を取り消すこともあり得ることを承諾する。

これが功を奏したせいか、その後人事情報が漏れることは無くなっていきました。

このように、赴任2年目の人事考課から考課基準の改善に取り組んでいたため、「ポイント制人事考課システム」では、まず第一に考課者に人事考課について基本からしっかりと再教育することにし、それを根付かせていくためにもこれまでの年2回の人事考課を毎月行うことにしました。

翌年1月から毎月行っている経営幹部との経営会議で、ポイント制人事考課システムの説明と人事考課について時間を取り研修することにしました。

最初に彼らに再認識してほしかったのは、ありきたりな言葉ですが「企業はヒトなり」でした。

マレーシア人は大きく分けてマレー系、中華系、インド系で構成されていて、日本人には理解しがたい人種間の隔たりがあります。こう言い切ってしまうのも問題かもしれませんが、個人的な見解として読んでいただければと思います。

皆様ご存知のブミプトラ政策※もその一因です。
ここで政策のことを述べることはしませんが、同じ国民の間で公然とまかり通る不公平のなかで、一つの企業内で「公平に」「平等に」と声高に叫んだところで心から理解されたかは疑問が残ります。

とはいえ企業で一番大事な経営資源はなんと言ってもヒトであり、そのための人事考課ですので、一番最初に抑えておかなくてはならないポイントでした。
研修会の一番最初に「企業はヒトなり」の説明をしてから、ポイント制人事考課システムの説明をしました。

※1971年から行われた、マレーシアでマレー人を優遇する経済政策

人事部門の意識改革のための教育

もう一つ重要なこととして人事部門の意識改革がありました。
私のいた会社だけでは無いと思いますが、人事部門はどちらかというと新入社員採用活動を除くと受け身になりがちで他部門から言われたら動き出すという姿勢なのではないでしょうか。そんなこと無いと思われた方がいらっしゃいましたら失礼をお詫びします。

そこでただやみくもに「やれ」と言っても人事担当者も何をすべきかわからないと思いましたので、経営資源のヒト・モノのモノを扱う購買部門の業務と対応付けて、どのように自発的に動くべきかを整理して説明しました。
購買部門が日常行っている業務プロセスを人事に置き換えた場合として下表をもとに説明しました。

こうして表にし、何回か説明を行ったことで人事担当者も受け身として仕事をこなすのではなく、自らが進んで業務プロセスに従って他部門と同じように業務を行うべきという意識が芽生え、先手を打ちながら仕事をするようになりました。

例えば入社予定者がいた場合、以前はその日になって入社予定者が来ないことがわかり、予定していた業務が無駄になっていましたが、説明後は入社予定者に前日に連絡して明日の何時までに会社に来るようにと知らせることで仕事を無駄にしてしまうことがなくなりました。これなどは購買部門の入庫確認を真似たものですが、人事担当者自身もそうすることで仕事がスムーズに進んでいくことを覚えたようでした。

また、以前はある部門から求人要望があるとすぐに求人の承認を受けに来ましたが、他部門の責任者と相談して異動の可能性も考慮した上で求人の承認を受けに来るようになりました。

このように経営幹部、管理職、人事部門への説明と根回しの部分にエネルギーを費やしました。
元々SE出身の私は常に「GIGO」(ギーゴ、ゴミを入れればゴミが出る)という思想を持っており、ご存じの方もおられると思いますが、これはどんなに素晴らしいシステム(機能)であっても、入ってくる情報が間違っていたら結果も間違いが出るというもので、今回の場合で言うと、人事考課に対する誤認識、不公平は社員の人生すら破壊しかねないと考えていたからでした。
結果、みんなの協力と努力があり運用開始の目途が付きました。

半年間に及ぶ運用準備期間を経て2011年7月からのポイント制人事考課システムの運用開始を控え、社内は最後の詰めに入っておりました。完結編として運用後の変化について紹介する、次回「ポイント制人事考課システムの運用と効果。さらなる改善とモチベーションアップへ」へ続きます。

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