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ポイント制人事考課システムを活用して離職率低下と社員のモチベーションアップを実現した事例紹介

【序章】人事考課に『ポイント=社員の個人保有点数』を必要とした理由と背景

@人事読者の皆様、はじめまして。有限会社トアシステムの手塚と申します。
SE出身の私が2009年に某日系企業の新製品生産の新プロジェクト立ち上げの為にマレーシアに駐在することになり、社長としてプロジェクトを成功させるために最初に直面したのは「人事の問題」でした。

「ポイント制人事考課システム」は、マレーシアで離職率の高さ、社員のモチベーションの低さに悩まされ、その解決策として苦しんだ末に生み出したシステムです。
マレーシアだけでなく、東南アジア諸国でも同様の苦労をされている社長さんや人事部門の方は多いのではと思います。
現在の日本では離職率は気にならないかもしれませんが、社員のモチベーションアップに活用されてはいかがでしょうか?

※こちらの記事は下記のブログ記事「ポイント制人事考課システムで離職率低下とモチベーション向上を実現した話(1-序章)」を@人事の読者様向けに一部編集させていただいております。
https://tecci.net/point1/

御社の役に立つかもしれない、このポイント制人事考課システムの顛末を、よろしければお読みください。

目次

  1. 夢と希望に満ちたマレーシア生活のはずが
  2. なりふり構わずトライした人員募集-
  3. 求人目標達成、それでも続く求人活動
  4. 退職理由のリサーチ

夢と希望に満ちたマレーシア生活のはずが

夢と希望に満ちた海外生活のはずが、まさか半年間休み無しになるとは思いもしませんでした。
働き方改革という言葉はまだありませんでした。
このときの状況をお話しすると、新製品生産ライン立ち上げで日本からは連日のように設備が送られてきたり、クリーンルームはじめインフラ準備や材料調達等モノに関しては大変ではありましたが、日本からサポート要員も来て時間経過とともに形になっていきました。

一方、ヒトについては新しい生産部門の設立でヒトを集め、研修し、9月からの量産立ち上げに間に合わせなくてはなりませんでした。猶予は6カ月、目標人数は40名でした。
ちなみに日本はリーマンショック後の就職氷河期が始まりつつあり、マレーシアの状況とは逆でしたので、日本本社からは求人は問題なく期限に間に合うだろうと思われていました。

そんな日本本社の思いとは全く別の現実があったマレーシア。
求人すれどスムーズに体制が整うまでには行き着きませんでした。
ヒトが集まらなかった頃の率直な感想です。

  • なぜすぐ辞める?(ひどい例だと昼休みから戻ってこない)
  • なぜ入ってこない?
  • なぜ長続きしない?(最初から腰掛けの若者が多かったです。彼らは政府系の仕事が決まるまでのつなぎと正直に言います。ある意味素直で気持ちがいい。)
  • なぜやる気を出さない?
  • 言われたことだけやる。
  • 昼間サボり残業・休出したがる。(残業・休出の割増賃金を狙ってきます)
  • イベント頑張る。(Annual Dinnerは楽しかったですが)

なりふり構わずトライした人員募集

一日が過ぎるのが早く感じました。面接に来ないことには始まりませんのでとにかくあの手、この手とできることは片っ端から実行しました。

  • 大手新聞(The Star, 星州日報,Harian Metro)への募集広告掲載。
  • Job Streetでの求人情報掲載。
  • ちらし配布(ポスティング、レストラン)。
  • 求人看板掲示(会社入口、周辺)。
  • 派遣会社への依頼。
  • 外国人労働者採用活動(直接採用、派遣)。
  • 人的資源省に外国人労働者枠拡大申請。
  • 従業員、外部からの紹介(紹介料付き)。
  • Homepage,Facebookに求人情報掲載。

募集のために山間部にも足を運びました。
まさかそこで自分自身がマレーシアに来る前にネットで読んだ笑い話と同じ目に遭うとは思いもよりませんでした。
その笑い話というのが、「漁師とビジネスマン」というもので、知っている方も多いでしょう。

【漁師とビジネスマン】
メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。
その魚はなんとも生きがいい。
それを見たアメリカ人旅行者は、
「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」
と尋ねた。 すると漁師は
「そんなに長い時間じゃないよ」と答えた。
旅行者が
「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」
と言うと、漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」
と旅行者が聞くと、漁師は、
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって… ああ、これでもう一日終わりだね」
すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。
いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。それであまった魚は売る。
お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。
その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。
そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。
その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキシコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。
きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」
漁師は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「20年、いやおそらく25年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」
と旅行者はにんまりと笑い、
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。どうだい。すばらしいだろう」

人材募集に行った山間部の住民は昼間からコーヒーを飲みながらチェスのようなゲームに興じていて、若者たちはバイクを楽しそうに乗り回し、とても工場の中で働くような感じではありませんでした。
長居をすると一緒に行ったスタッフが感化されては困りますので早々にその場を後にしました。

求人目標達成、それでも続く求人活動

人事部門の地道な求人活動の甲斐や社員からの紹介、ベトナムやミャンマーに赴いての採用で何とか量産開始の9月までに40名+αの採用をすることができました。

量産も軌道に乗り始めた頃、人事から「何人辞めるようです」と時々報告が入るようになり、最初のうちは対症療法如く減少した人員の補充でしのいでいましたが、さすがに急に辞められたり入社したと思ったらすぐに辞めたり(短い人では2時間)されると徐々に補充が追いつかなくなってきました。

それでも当時は日々の生産を計画通り達成していくことで生産部門は手一杯の状況で、補充また補充の連続でした。そのため、それに費やすコストも必要だからと支払っていましたが、月当たりの求人費用は当時のオペレータ十数人分にもなっていました。ちなみにこの頃の月平均離職率は6%台でした。

生産開始から1年が経つ頃には昇給などでキーマンをつなぎ留めておいたせいか少しずつ生産も安定して来ました。
ローカルワーカーの出勤率の悪さと怠慢さには目に余るものが有りましたが、安定的な生産を支えていたのはベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、ネパールの外国人労働者達でした。彼らは少々きついシフトであっても不平不満も言わず快く引き受けてくれました。生産開始当初から働いている外国人労働者はスキルの点からもローカルワーカーを凌いでいましたので、従前昇給や賞与の際彼らは人事考課に関係なくほぼ一律に評価されていましたが、これを改めローカルと同等の評価をすることとし彼らのモチベーションをさらにあげることとしました。

この決定にはローカルから不満が出ることも有りましたが、根気強く説明し納得してもらいました。内心不満を持って辞めていくローカル社員が多く出るのではという懸念がありましたが、その時はその時と腹を括って進めました。不満を持つローカル社員がいる一方でこの決定について賛意を持つローカル社員がいたことも私に大きな勇気を与えてくれました。

退職理由のリサーチ

ヒトを呼び込むことも大切ですが、その一方でせっかく入社したヒトの流出も止めなくてはなりませんでした。
そのため人事担当者に指示し辞める原因をリサーチすることにしました。
結果は次の通りでした。

Q:なぜすぐに辞めるのか?
スタッフ:給料が安い

昇給は一時的には効果がありますが、他社員との調整もありますし、マレーシアでは減給することは至難の技で、すぐに労働争議になります。

スタッフ:残業が少ない。

その一方で普段休んだり、雨が降ったとか渋滞があってと言っては遅刻をしていました。

スタッフ:仕事が面白くない、きつい、同じことの繰り返しでつまらない。

オペレータ業務なので同じ作業の繰り返しもありますし、入社したてだから研修も必要でした。

スタッフ:政府の仕事が見つかった。

若い人ほど腰掛的に就業するケースが多かったです。

Q:不満に感じたことは?
スタッフ:上司が評価してくれない、評価がみんな同じ

人事考課や力量評価に問題があるのかもしれないと気づかされました。

スタッフ:まじめに仕事していない人がいる。

それで評価が同じだとしたら良い人が辞めてしまうという不安がつのりましたし、事実そのようなケースが散見されました。
いろんな要素が絡み合ってるが、どうしたら良いのか?

次回、「【誕生編】ポイント制人事考課システムの設計」(2020年11月5日公開予定)に続きます。

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